第百四十四話 いざ、魔王領探索へ!
「ねえねえ、彼方くん〜! コンビニの中の温度が暑いよ〜! 何とかしてよ〜!」
いつも通りの見慣れたコンビニの店内。
その中を、暑さのせいで太ももを露わにした、ミニスカの玉木紗希が、だらしなく床に尻もちを着いている。
見た目は完全に、ぐで〜んと冬場のストーブ前に座り込む家猫みたいに溶けてるな。
「……はいはい、暑いのは俺も十分に分かってるよ。暑い時に『暑い』と言葉にして口に出すから、余計に暑く感じちゃうんだぞ。だからその言葉をこれからコンビニの中で呟くのは禁止な」
「ええ〜〜っ! だって本当に暑いんだもん〜! 魔王領ってこんなに暑い所だったなんて私、聞いてないよ〜! 暑い暑い暑いよ〜!」
ダメだこりゃ……。
でもたしかに、今のコンビニの中の温度はかなり暑かった。
夏場にクーラーで涼もうと思って、近くのコンビニに駆け込んで。もし、店内がこんなに暑い温度設定だったなら。
俺なら一発でその店の入り口から、外にUターンだな。下手をしたら、そのコンビニにはもう二度と寄り付かないかもしれないぞ。
全身からじんわりと艶やかな汗をかいている玉木は、扇風機の前で、冷凍アイスをむしゃむしゃと頬張りながら、俺に愚痴をこぼしてくる。
溶けたアイスの汁が手についていて、見るからに辛そうな表情をしているな。
頼むからコンビニの床を、お前の食べかけアイスから溶け出した汁で、汚したりしないでくれよな。それ、後で掃除をするのは……どうせ俺なんだし。
「――彼方様。事務所のパソコンで、コンビニ支店1号店のクーラーを最大にしてみましたが……。すいません、やはりこれ以上、店内を冷やすのは無理みたいです」
コンビニの事務所で、店内のエアコンの温度設定を調節してくれていたティーナが戻って来た。
「そうか……。それじゃあ、しょうがないな。ティーナ、ありがとう。どうやらしばらくはこの暑さを、みんなで我慢するしかないみたいだな」
「ええ〜〜っ! このままだと私、服をどんどん脱いで露出しまくりの変態女になっちゃうよ〜! ……ハッ、分かったわ! さては彼方くん最初からそれが狙いで、コンビニの店内温度をこっそり上げて、女性陣の服を脱がそうと画策していたのね。今回の魔王領の旅に、女の子ばかりを連れて来たのはそういう訳だったのね!」
「……いやいや。コンビニの外の気温を上げるなんて、俺の能力じゃあ無理だって! コンビニの外の景色を見てみろよ。むしろエアコンが効いているコンビニだから、まだ無事で済んでいるんだぞ? 外に出たらマジで洒落にならない灼熱地獄が広がっているんだからな」
俺はコンビニの店内にいる、魔王領の探索メンバー達。
『剣術使い』の雪咲詩織と、『回復術師』の香苗美花。
そして玉木と、ティーナに向けて改めてコンビニの外には出ないようにと注意をする。
正直、この暑さで参っているのは玉木だけじゃない。
コンビニ共和国を出発して。さあ、いざ魔王領へ!
……と、意気揚々とコンビニ支店1号店のキャタピラーをフル稼働させて。魔王領の境界にある、高い山脈を俺達は乗り越えてみたら。
目の前に広がっていたのは、一面黄色い砂の海だった。
つまりは、魔王領に入った瞬間。
俺達一行は、だだっ広い大砂漠地帯のど真ん中に入り込んでしまった訳だ。
流石にこれにはマジで参った。
これじゃあ、完全にサハラ砂漠じゃないかよ。
コンビニ戦車のキャタピラーは砂に完全に埋もれたら動けなくなるし。足場をちゃんと見極めて、動かさないといけないから、どうしても慎重に進まざる得ない。
最悪、完全に砂にハマってしまったら……。以前のようにコンビニをいったん収納して、外に出し直せるから。コンビニ支店は本店と違って、少しは融通も利くんだけどな。
魔王領に入った途端に、まさかこんな灼熱の砂漠地帯が広がっているだなんて――。誰も予想だにしなかった。
今まで魔王領に入って、誰も戻ってきた人間がいないのだから。魔王領の中の情報が全く無かったのは、しょうがないのかもしれないけれどさ……。
本当に、こんなのは全くの想定外だ。
せめてもの救いは、コンビニの中にエアコン機能がある事だな。
コンビニの店内はエアコンをフル稼働させているので、外の暑さを何とかしのぐ事が出来ている。
そして無限発注出来るコンビニ商品のおかげで、飲み物や食べ物、そしてつめたい冷凍食品や氷なんかには不自由をしないしな。
コンビニ支店1号店には、俺が魔王の谷の底から脱出した時の標準装備が全て揃っている。
地下階層こそ無いが、以前と同じように異次元に繋がる謎の場所に収納したり。また外に出し直す事も出来るしな。
そしてコンビニの店内で発注を出来る商品は、本店と同じように最新の商品を扱う事も出来るようになっている。
おかげでいつものごとく、コンビニ様様ではあるが。飲食や、居住環境に困る事なく俺達は旅を続ける事が出来るという訳だ。
……だが、魔王領に侵入した俺達には、他の誤算もあった。
それは新しく追加をされたコンビニの電話機能が、魔王領に入った途端に使用出来なくなってしまった事だ。
それだけじゃない。コンビニの事務所のパソコンや、俺のスマートウォッチから送信するメール機能も。コンビニ共和国に残っているコンビニの本店に送る事が全然出来なくなっていた。
俺は最悪、困った事が起きた時は、すぐにレイチェルさんに電話して。的確なアドバイスが聞けると思っていたんだけどな……。
魔王領には、電波を遮断するような何か不思議な結界でもあるのかもしれないが。原因は今の所、分かっていない。
こうなるとコンビニ共和国と連絡を取る手段は、ドローンを遠隔操作で飛ばして。何とかあの高い山を飛び越えてくれないかを試してみるしかないだろうな。
でも、電波が遠くまで届くのかも怪しいし。結構、難しいかもしれない。
ただ、コンビニの中の電気設備は問題なく使用出来ている。
そんなに遠くまで離れなければ、俺のスマートウォッチとコンビニ支店1号店との間であれば通信機能も有効だ。
つまりはコンビニから離れすぎてしまうと。俺達は通信手段もなく、本当に迷子になりかねない。
だから俺達は、全員でコンビニからあまり遠くには行かないようにしよう……っていう結論になった。
「それにしても店長……。恐ろしい魔物達がひしめいていると噂の魔王領の中に入ったというのに。まだ魔物と一回も遭遇をしないのは、何だか不気味ですね……」
さっきまでずっとコンビニ戦車の屋上で周囲の警戒をしてくれていたアイリーンが店内に戻ってきた。
「たしかにな。俺もそれはずっとそれを疑問に思っていたんだ。コンビニ共和国にいた時は、空から無数の魔物が群れを作って襲ってきた事も何度かあったし。魔王領の中に魔物がいないなんて事はないと思うんだが……。これは一体どうなっているんだろうな?」
「コンビニ共和国を空から襲ってきたあの魔物達は、周辺を警戒する偵察部隊だったのかもしれません。……もしそうなら、魔王領の中にいる魔物達は何者かによって管理をされている可能性もあります。侵入者である私達を、組織的に襲ってくる可能性は十分にありますので、警戒は怠らない方が良いと思います」
「――分かった。空からドローンで周辺の観察を怠らないようにしておくよ」
俺のコンビニは、また更にドローンの数が大幅に追加されたからな。
新しく追加をされたドローンは、コンビニ本店からでなくでも、コンビニ支店の屋上からも出撃させる事が出来る。
さすがに、アパッチヘリや装甲車は大型過ぎて。支店からは出せないけどな。
ドローンは結構な数を飛ばす事が出来るから。俺はコンビニ支店1号店の周辺の空に、偵察用のドローンを大量に飛ばして周囲の監視を強める事にした。
そして――。
まるでサハラ砂漠のような砂の海をコンビニ戦車でゆっくりと進行すること……数時間。
コンビニの上空を旋回していたドローンの監視カメラに、初めて黄色い砂以外の物が映り込んだ。
「――彼方様、見て下さい! 何かの遺跡のようなものが前方に見えます!」
事務所のパソコンで、偵察ドローンの映像をチェックしていたティーナが大声で俺に呼びかけてくる。
「遺跡……? 砂漠のど真ん中にか!?」
俺は急いで、ティーナが見つめるパソコンのモニター画面を一緒に確認する。
そこには大きな石で作られた、まるで古びた寺院のような建物が建てられていた。
黄色い砂漠の中にらポツンと建てられているその建造物は、今までに全く見た事もないような不思議な形の建築様式をしている。
「偵察ドローンの映像からだと、遺跡の全体には特に何か目立つ不審物がある訳でもなさそうだな。――ん? えっ、これは……!?」
俺は思わず声を上げて、その場で驚く。
遺跡の最上階。ちょうどビルの屋上にあるヘリポートのように円形の丸いスペースに。白い装束を身にまとった、複数の男女が10人くらいが固まって立っていた。
全員黒い目隠しをしていて、目が見えないようにされているみたいだけど……。
一体、何であんな高い所に人が立っているんだ?
いやいやいや。驚くべき所はそれだけじゃないぞ!
「魔王領の中にも、人間は住んでいたのか……。でも、どうしてあんな所に……」
「――店長、大変です! 砂の下から何かが這い出てきます!!」
コンビニ戦車の周辺の砂場が、大きく震えるようにして突然揺れ始める。
まるで地震が起きたかのように。コンビニの店内は大きく揺れて、事務所のパソコンや机が大きな音を立てて軋み始めた。
「きゃああああ〜〜〜〜!!」
「彼方様! 砂の中から大きな巨人がたくさん這い出てきています!」
コンビニの周辺にある砂場が異様な大きさに膨らみ始める。
その数は1つや、2つではない。
無数の砂が盛り上がり。地面の下から何かを押し上げるようにして『ソレ』は、いきなりその大きな姿を地表に現した。
「おいおい、これじゃまるで……巨人の『ギガンテス』じゃないかよ!」
砂の下から湧き出てきたのは、巨大な3つ目をした茶色い肌の巨人達だった。
ギリシャ神話に登場する、巨大な巨人達。
RPGゲームの世界とか、ファンタジーの世界の物語ではよく登場する事のあるお馴染みの奴らだ。
砂漠の下から次々と出てきた3つ目巨人のギガンテス達は、一斉に砂漠の上に建つ、石の遺跡に向かって走り出していく。
この場合、幸いな事なのかは分からないが……。
どうやら砂漠の下からゾンビみたいに這い出てきた巨人達は、コンビニは眼中に無かったらしいな。
全員が、一目散に遺跡に向かって走っていく――。
その目的は……どうやら、あの目隠しをされている白装束の男女達らしい。
遺跡に向かって走り出した巨人達のうち。最も足の速い奴が、遺跡の最上階に立つ人間達に向かって……。
その大きくて長い手を、一気に伸ばした。
そして………。
「きゃあああああああああーーーーっ!!!」
コンビニの店内からドローンの映像を見ていた、ティーナ、玉木、香苗の3人女性陣が一斉に悲鳴を上げた。
離れた位置から一人でモニター画面を覗いていた雪咲も、口を手で押さえて、目を下に背けている。
遺跡の上にいた白装束の男女数人を、一番乗りしたギガンテスが片手で掴み上げると――。そのまま巨大な口の中に、掴んだ人間達を一気に放り込みやがった。
モニター越しなので、人間の血肉をバキボキと食いちぎる音が聞こえてこない事だけは幸いだった。
そんなリアルホラーSHOWを、生音付きで見せられたら。うちの女性陣は失神しかねないぞ。
――クソッ!
何て胸糞悪い映像見せてくれるんだよ!
俺はコンビニの外に、一人で飛び出した。
「――店長! お一人で外に飛び出しては危険です!」
後方からアイリーンの声が聞こえてきたけれど……。俺の耳にその忠告は、全く届いていなかった。
俺が無謀にも、一人でコンビニの外に飛び出したのには訳がある。
ドローンのカメラ映像を映していたパソコンのモニターには、ギガンテス達に捕まらずに。まだたった1人だけ、遺跡の最上階に取り残されている少女の姿が映し出されていたのだ。
あの女の子だけでも、急いで助けないと!!
俺は砂漠の上を走りながら、左腕に付けているスマートウォッチを操作する。
””ズドドドドドドドドドーーーーン!!””
遺跡の最上階に、まだ1人で取り残されている少女を救う為に。
俺は周辺から迫り来る巨人のギガンテス達の真上に、空中にいるドローンから小型爆弾による集中爆撃を開始した。
突然の空からの爆撃に、思わず手を上にあげて。巨大な顔を守るようにして、立ち止まる茶色い巨人達。
もちろん小型爆弾くらいでは巨人な3つ目の巨人、ギガンテスを倒す事なんて到底出来ない。
俺は、巨人達が立ち止まった一瞬の隙をついて……。
前回のコンビニのレベルアップで追加された、シールド機能付きの頑丈なドローン4機を自身の前に呼び寄せて。その上に急いで飛び乗った。
シールドドローンは敵の攻撃を防ぐ為に。頑丈な金属の板を表面に装備した、重量級の高出力ドローンだ。
それを4機重ねて繋ぎ合わせる事で。人間の体を乗せて空飛ぶ事の出来る、ホバーボードのような運用をする事が出来る。
俺は飛行型のドローンの上に飛び乗り。
空中を高速移動して、一気に少女の立っている遺跡の最上階にまで向かった。
俺も、ただ無策でコンビニの外に飛び出した訳じゃないさ。
コンビニの勇者ってのは、戦闘面ではマジで無能だからな。
コンビニの守護騎士であるアイリーン達にいつも守って貰うだけで、直接的な攻撃手段を何も持たない……。ガチで無能で役立たずな勇者だ。それは俺自身が一番良く知っている。
だから、コンビニがレベルアップをして。新たに増えた商品の中で、攻撃手段として使えそうな物はすぐに試すし。戦闘で実践出来るかどうかだって、ちゃんと練習はしておくものさ。
みんながコンビニ共和国の建国を頑張ってくれていた時に、俺はこのシールドドローンをホバーボードのように活用して、空中移動をする練習をひたすら重ねていた。
あ……もちろん、何回か空から落ちて。コンビニ店長専用服の防御機能に助けられたりもしたけどな。
おかげで、今はドローンを使った空中飛行もお手の物になっている。
飛行ドローンの上に乗った俺は、爆撃により足止めされている巨人達の間を縫うようにして。
遺跡の最上階に立つ、少女の近くにまでやって来た。
そして、少女の所にまで辿り着いた俺は――。両手で白い服の少女を抱きしめて、俺の乗っている飛行ドローンの上に抱き寄せる。
シールド付きドローンを4機重ねたホバーボードは、少女の体重が追加されても飛行には全く問題なさそうだった。
……よし、後はここから一気に脱出をするぞ!
シールドドローンを移動させて、遺跡から出来るだけ遠くに俺は逃げようとする。
しかし、そこで俺は……。
あり得ないようなヤバいモノを目撃してしまう。
「――おいおい……!! マジなのかよ……!?」
飛行するドローンの下から。
砂漠の表面の砂が次々と盛り上がり始め。巨大なギガンテス達が、大量に砂の中から湧き出てきたのだ。
「……クソッ! これじゃあ這い出てきた巨人達の数は、100体を超えてるんじゃないのか!?」
ドローンの上にいる俺と少女を追いかけるようにして。
巨大なギガンテス達は、一斉にこちらに向かって走りだしてくる。
こいつは、マジでまずいぞ……!
空中飛行用のシールドドローンは、あまり高くに飛ぶ事が出来ない。
おまけに今は俺だけじゃなくて、少女の重みも追加されている訳だからな……。
砂漠の表面の上を、ギガンテス達の手が届くかどうかスレスレのラインでしか、シールドドローンは飛行出来なかった。
しかも、このギガンテス達……。なぜか俺と少女のいる方だけに狙いを定めて走ってきていやがる。
このまま俺がコンビニに向かったら、100体を超える巨人達にコンビニのみんなが囲まれてしまう事になる。さすがのアイリーンでも、100体の巨人の一度に相手するのはキツイだろう……。
俺はやむなく少女の体を抱きしめながら、コンビニから離れた場所に向かって飛行ドローンを飛ばしていくしかなかった。
その間にも、俺達が飛んでいる砂漠の下から――。
まるで空中を飛ぶ俺達の存在に反応をするかのように、ボコボコと、ギガンテス達が砂の下から大量に湧き出してくる。
しばらく追ってくるギガンテス達から、逃げるように飛行していた俺は……。ハッと気付いて、抱きしめている少女の体に怪我がないかを改めて確かめてみた。
白い衣服を着た少女の見た目は、まだ12、13歳くらいだろうか?
黒い短めの髪に、目には大きな目隠しが巻かれている。
俺はドローンの上で少女の顔に付けられていた目隠しを急いで外してあげる。
突然、外の光を網膜に一気に浴びて。眩しそうに顔を震わす少女。
少女を驚かさないように、俺はそっと話しかけてみた。
「大丈夫か? どこか怪我をしていたりはしないか?」
「……ここは……? 一体、どこなのですか?」
魔王領の中で初めて出会った少女は、びくりと震えながら俺の呼びかけに応える。
おそらくは今……自分の置かれている状況がまだよく分かっていないのだろう。
「ここは空の上さ。俺は空を飛ぶ魔法の絨毯に乗って、君を巨人達の魔の手から救い出しに来たんだ」
俺はティーナを盗賊達から救い出した時と同じように。
片目でウインクをしながら、優しく少女に微笑みかけてみた。
実は俺の正体は、異世界から来たコンビニの勇者で。
今は異世界の科学技術が作り出した、空中ドローンに乗って空を飛行しているとか。意味不明な説明になってしまいそうな部分は、極力カットしたつもりだ。
今は正義の魔法使いのお兄さんが、悪い魔物達から君を救いだした……ぐらいの内容で十分だろう。
お互いの自己紹介や細かい説明は、この状況が改善してからするくらいで十分だと思うしな。
だが……命を助けた少女の反応は――。
俺が予想していたものとは、全く違うものだった。
少女は俺の言葉を聞き。激しく動揺をして、ドローンの上で急に体を震わせて暴れ始める。
「――私を助けた!? そんな……それはダメです! 私は砂漠の神様に捧げられる聖なる『供物』なのです! 私が神殿から逃げ出してしまったら……。街のみんなが罰を受けてしまいます! お願いです、私を元の場所に戻して下さい!」
「えっ、えっ……ちょっと待ってくれッ!! ダメだ、ここは足場が悪いから、そんなに体を動かして暴れたら……アッ!?」
ドローンの上で、スマートウォッチの操作が出来なくなった俺は……。
少女を乗せたドローンと共に。
そのまま砂漠の上に、ゆっくりとスピードを落としながら、墜落をしてしまった。