第百三十三話 無敵防衛マンション
「5連装式の自動ガトリングショック砲が、合計で6000門装備って……。それじゃあもう、中世のスペインの無敵艦隊状態じゃないか。恐ろしいくらいに防衛力の高いマンションなんですね」
俺はレイチェルさんのコンビニマンションに対する説明を聞いて。思わず絶句する。
目の前にそびえ立つマンションの、規格外な大きさにもビックリして腰を抜かしそうなのに。
ガトリング砲が全ての部屋のベランダに標準装備されてますって、なんなのその要塞ちっくなマンション。防衛力が高過ぎてめっちゃ怖いんですけど……。
仮にこのコンビニマンションが、突然日本の住宅地のど真ん中に建設されて。周辺で暮らす住人が『うちの日照権が侵害されたぞ、ごらぁー!』って、弁護士と一緒に苦情を言いに行ったりでもしたらさ……。
きっと余裕でガトリング砲の雨が、マンションから降り注いでくる気がする。
そんなの怖すぎて、誰も近付けないと思うぞ。
「総支配人様、続きましてコンビニマンションの2号棟、3号棟は、コンビニ本店と新しく建設する街の予定地を、カタカナの『コ』の字の形で取り囲むように、それぞれを3方向に向けて建設して頂けると助かります」
「なるほど。3つの巨大マンションでコンビニ本店と街の建設予定地を囲い込むという訳なんですね。たしかにコンビニマンションを巨大な防壁のようにして周りに建てれば、その中の空間は、かなり安全になりますね!」
コンビニ本店と街の建設予定地を、3方向に向けて建設をした巨大コンビニマンションで取り囲んでしまう。
そうすれば魔王領方面からでも、エルフ領の森林地帯方面からでも、あるいは街の北側からでも。
あらゆる方向に、最低2000門の5連装式自動ガトリング砲が向けられるようになる。そうなれば、コンビニ共和国の防衛力は格段に強化されるはずだ。
「ハイ。そして、コンビニマンションには1棟につき最大で8000人程の人数を収容する事が出来ますから、壁外区の皆様にも、快適なマンション暮らしをして頂く事が出来ると思います。今後、コンビニ共和国の人口が順次増大する事があっても、コンビニマンションがあれば対応は可能でしょう」
1棟につき最大で8000人か。本当に凄いな。
……って事は、合計で3棟ある訳だから。最低でも2万人くらいまでの人口なら、コンビニマンション3棟で十分な住宅を確保する事も出来る訳か。
「よーし! そうしたら早速残りの2棟のコンビニマンションも、ここに建設していこう!」
俺はスマートウォッチでレイチェルさんと通話をしながら、マンションの建設場所を細かく調整をして。
残りの2つのマンションも、一気に建設をする事にした。
「出でよーーーっ!! コンビニマンション2号棟よ!!」
「出でよーーーっ!! コンビニマンション3号棟よ!!」
”ズドドドーーーーーーーーン!!!”
”ズドドドーーーーーーーーン!!!”
コンビニ本店を取り囲むようにして出現する、2つの超巨大マンション。
うん。この辺はもうテンポ良く行こうか。
建設する場所さえちゃんと決まっていれば、後は大きな声を叫んで、目の前に巨大マンションを出現させるだけだからな。
正直、コンビニ共和国を建設する予定地と言ってもだ。
さっきまでは、この綺麗な自然の溢れている野原に。
壁外区のみんなが住む無数のテントが立てられているだけで……他には何も置かれていない、かなり寂しい状態だったからな。
その土地の周りを『防御壁』の勇者である四条京子が、少しずつ高さ3メートルの防衛壁で覆い始めている……という、本当に手作りキャンプ場をこれから作り始めました――みたいな有様だった。
でも、この超巨大コンビニマンションが3棟も建設された事で、一気に近代的な都市国家のような見た目に様変わりしたと思う。
おまけに最強の防御力も兼ね揃えているというのだから、本当に助かる。
「レイチェルさん、コンビニマンションの中もコンビニホテルみたいに、快適な生活環境が整っていたりするんですか?」
「ええ、総支配人様。ホテルとは違ってテレビや調理器具のようなものは付いてはいませんが――。マンション全体に電気が通っていて、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、シャワールーム、簡易ベットなどの設備が各部屋に備わっています。室内は縦長の2LDKで、洗面台や水洗トイレも有りますので、生活環境としてはとても充実した内容になっていると思います」
「2LDKか〜! 普通に俺もこのマンションに住みたいですよ! 特に高層階のベランダから外の景色を見下ろしたらどんな風景が見えるのか、めちゃくちゃ興味もありますし!」
「ねえねえねえ〜〜!! 彼方くん〜!! あの超巨大にマンションは何なのよ〜!? もの凄く大きいけど、彼方くんの能力であの巨大マンションを出したの〜?」
コンビニマンションを3棟全て建設し終えた俺の所に、玉木が駆け寄ってきた。
「……ああ、そうさ。あれはコンビニマンションって言ってだな。今回俺のコンビニのレベルが上がった事で増えた能力や商品の中でも、最大の目玉商品なんだぜ!」
「目玉商品って、彼方くんの能力はコンビニでしょう!? 何でいきなりマンションを建設してるのよ〜! それも3棟も〜! まさかあのマンションも無限に建設が出来るとか言わないでしょうね? もう『コンビニの勇者』じゃなくて、『不動産販売の勇者』って名乗ったらいいじゃないの〜! いくらコンビニが桁違いにチートな能力でも、マンションまで建設するなんて、さすがに反則よ〜! おまけにコンビニマンションって何なのよ〜! 何でも頭に『コンビニ』を付けたら許されるとでも思ってるの〜!?」
「いや、何で俺がお前に怒られないといけないんだよ……。とりあえずコンビニマンションは今の所、まだ3棟までしか建設は出来ないんだよ。でもこれで、壁外区のみんなの居住場所を一気に用意出来たのだから、それがチートみたいな能力でも別に良いじゃないか」
「でもでも〜〜、ぶ〜ぶ〜〜っ!!」
玉木は不満げに、用意したエサが足りないぞとおねだりする家猫のような表情を浮かべて、その場で地団駄を踏んでいる。
うちの実家で飼ってる子猫も、ちょうどこんな感じの表情をよくするんだよな。でも、あまりチュールとかキャットフードを上げすぎちゃうと太ったりしちゃうし。
いつも『今日はこれくらいで我慢して下さいな……』とうちの猫様にはお願いをするんだけど。可愛いから、ついついおまけでエサを追加して上げちゃったりもするんだよなぁ。
……おっと、話が脱線してしまった。
玉木からすると、俺のコンビニの能力だけチート過ぎるぞ……と不満があるのかもしれないな。
でも、そこは勘弁して欲しい所だ。その分、俺のコンビニの中でホテル暮らしが出来たり。好きな回転寿司をたらふく食べられる恩恵を、お前は十分に受けているじゃないかよ。
「じゃあ〜、私にプールと庭付きで敷地が300坪以上はある大豪邸を、東京の港区のど真ん中に建ててくれたら許してあげる〜!」
「それは無理だな。さっさとアラブにでも行って石油王を見つけてこいよ。そして、そいつの妻になるか宝くじでも当てて早期リタイアでも勝手にしてくれ」
「何よ〜! じゃあ別に東京の港区じゃなくてもいいから〜! プール付きの豪邸を私に頂戴よ〜! ぶ〜!」
「だから、俺は不動産販売の勇者じゃないんだよ。これからコンビニマンションの中を見学に行くから、お前も好きな部屋を見つけたらそこに住んでも良いからな」
アラブの石油王の妻になる事を夢みている玉木の事は、もう置いておいて。
さっさとコンビニマンションの内部の見学を済ませてしまおう。
今回のレベルアップで手に入れた他の商品の事も早く把握しておきたいし。マンションの中に特に問題がなければ、壁外区のみんなを、テントからどんどんコンビニマンションの中へと移住して貰わないといけないからな。
「おーい、彼方ーーっ! このバカでっかい建物は一体何なんだよー! お前、異世界で不動産販売でも始めるつもりなのかよー!」
「いや……だから! 俺は不動産は扱わないんだって! 何でお前らは俺を不動産の勇者にしたがるんだよ。コンビニマンションは今回この3棟だけなんだよ。まあ、これからまたレベルアップしたら、建設出来る数が増える可能性はあるかもしれないけどさ」
玉木だけでなく。桂木や、藤堂、そして紗和乃や、ティーナも駆け足で一斉にこっちに向かってやって来た。
やっぱりみんな、この超巨大なコンビニマンションが気になるようだな。
俺もマンションの中がどうなっているのかを早く見てみたい。
俺達コンビニメンバーは、とりあえず目の前に建っているコンビニマンション3号棟に、全員で入ってその中の様子を探索してみる事にした。
「うおおおーーッ!! マンションの中にエレベーターがちゃんとあるじゃん! すっげーーな! このマンション横に長さがあるから廊下がめっちゃ長く感じるし、奥まで見渡せないくらいに広いじゃないかよ!」
「エレベーターだけじゃなくて、ちゃんと階段も各階に付けられているのね。これなら非常時に万が一エレベーターが停止をしても、階段を使って上の階から降りてくる事が出来そうね」
紗和乃や桂木達が我先にと、マンションの奥の方まで進んでいく。
迷子になっても困るから本当はみんなで固まって一緒に中の探索をしたかったんだけどな。
気付いた時にはもう、みんな好き勝手にマンション内に散っていってしまってたので手遅れだった。
とりあえず俺はティーナと玉木と一緒に行動をしながら、コンビニマンション3号棟の中を一通り順番に回ってみる事にした。
そして――めちゃくちゃ広いコンビニマンションの中を歩き回る事、約1時間。
俺達3人は、コンビニマンションの中をくまなく歩き回り、大体の中の様子を把握する事が出来た。
とりあえず分かった事は――コンビニマンションの中は、やっぱりもの凄く広いって事だな。
横長な廊下に階段やエレベーターも複数台付いていて、たくさんの人間がマンション内を自由に移動しやすい作りになっていた。
マンションの階数は全部で15階まであり、屋上から見下ろす異世界の光景は本当に雄大で素晴らしかったな。
正直、異世界にやって来て……こんなにも景色の美しさに見惚れたのは初めての事かもしれない。
もちろん、ここのアルプスみたいに綺麗な自然の風景にも感動をしたんだけどさ。
なにせ高さが地上から150メートル以上もある高層建築物の上から見下ろせる景色だ。
マンションの屋上からは、魔王領にそびえる山々から広大なエルフ領の森林地帯まで。
その全てを360度のパロラマの景色で、ぐるりと見渡す事が出来た。
あと、割と面白かったのがマンションの各階に自動販売機が置いてあった事だな。
コンビニで取り扱っているコーラや、ミルクティーなんかのペットボトルの飲料水が自動販売機では購入出来るようになっていた。
でも、自販機の価格の設定などがまだされていないからなのかな?
とりあえず俺は適当にボタンを押してみたんだけど。
全く反応が無くて……自販機からジュースを購入する事はまだ出来ないみたいだった。
マンションの中にある部屋にも、もちろん俺達は入ってみたんだけどさ。
……まあ、割と部屋の中は広かったぜ。
部屋の間取りは2LDKの縦長な構造になっているんだけど……エアコンも洗濯機も冷蔵庫だって付いていたしな。
ただ、正直な感想を言わせてもらうと。
コンビニの地下にあるコンビニホテルの部屋の豪華さに比べると、少しだけ内装の豪華さは見劣りしてしまう感じがした。
コンビニマンションの部屋は、フローリングと畳の部屋がそれぞれに用意をされていたんだけど。
うーん、何て言うか――『昭和』な感じがする部屋の造りになっていたんだよな……。
便利アイテムの洗濯機や冷蔵庫もマンションの各部屋にはちゃんと置かれていたんだけどさ。
最新の斜めドラムとか、タテ型の洗濯機とかじゃなくて。
なんと二層式の洗濯機が置かれていたんだよ。現代の日本でももちろん、まだ二層式洗濯機を現役で使っている家庭はあるとは思うぜ。
……でも、さすがに最新のマンションの部屋の中には普通それは置かれていないだろう。
エレベーターだって完備されているこの超大型マンションの中で。洗濯機は旧式の二層式洗濯機が置かれているというのは……何だかとてもアンバランスな感じがした。
部屋の中に置かれている冷蔵庫も、そこそこ大きいんだけどさ。
何かホテルのものに比べるとグレードダウンしているというか……。別に俺は家電マニアという訳じゃないんだけれど、マンションの部屋の室内設備は、その全てがどことなく型式が古いというか……。もちろん中古ではないのだけど、ちょっと残念な感じがしてしまった。
部屋の中に最新式の家電がズラリと並んでいる事を期待していた俺としては、少し肩透かしを食らったような感じだったな。
まさか、ベランダに備えられている5連装式ガトリング砲や、鋼鉄製のシャッターの方にたくさんの予算をかけて。
マンションの部屋の内装や家電には、あまり回せる予算が足りなかったからとかじゃないよな……?
その辺りの事を、一応レイチェルさんにも俺は聞いてみたんだが……。
「――そうですね……。申し訳ありません、総支配人様。その辺りの事情は私にもよくは分からないのです。もしかしたら、これから更にコンビニがレベルアップをする事で、各部屋の内装もグレードアップをしていくのか、それとも豪華になったコンビニホテルとの差別化を図る意味でも、あえてコンビニマンションの部屋の家電設備は、予算が抑えられて用意をされてしまっているのかは……私も今の所まだ分からないのです」
うーん……そうかぁ。レイチェルさんが分からないのならしょうがないよな。
それに例え二層式洗濯機式や、型式が少し古い冷蔵庫であっても。この世界ではどれも『超』が付くほどの便利アイテムである事は間違いない。
問題は、そういった家電アイテムや水洗トイレ、シャワーの使い方を壁外区のみんなにどうやって教えるのかだよな。
異世界の住人であるみんなには、冷蔵庫や洗濯機は初めて見るアイテムだろうし。その使い方をこれから教えていかないといけないと思う。もちろんエレベーターの乗り方も含めてだけどな。
そんな事を俺はあれこれ思案しながら、マンションの中を歩いていると……。
”ヴイーーーーーーーン!!”
”ヴイーーーーーーーン!!”
突然大きな警戒音のようなサイレンがマンション内に鳴り響く。
「なんだ、なんだ!? この音は一体何なんだ……!?」
俺とティーナと玉木の3人は慌ててコンビニマンション3号棟の外に走り出た。
どうやらこのサイレンは、コンビニマンション1号棟や2号棟からも同時に鳴り響いているらしい。
すかさず俺のスマートウォッチにレイチェルさんからの着信が入る。
「レイチェルさん! これは、一体何が起きているんですか……?」
「――総支配人様、敵襲です! どうやら魔王領の方角から凄まじい数の飛行型の魔物達がこちらに向けて押し寄せてきたようです」
「飛行型の魔物だって!? それも魔王領の方角から?」
外に立つ俺の目にも、遠くの空をびっしりと埋め尽くす黒い点の大群が目に入ってきた。
あの形は……以前に、コンビニ戦車がドリシア王国に向かっていた時に遭遇をした魔物の形によく似ているな。
人間に似た形のシルエットに2枚の翼を持っている。そう、まるでガーゴイルのような形をした魔物達だ。
あの時の魔物の色はたしか紫色だったけど……今回のは全身が黒色をしていて、真っ黒な点の大群が、魔王の空からゆっくりとこちらに近づいてくるのが分かる。
「か、彼方く〜〜ん!! 凄い魔物の数だよ〜〜!!」
「分かってる! 数千匹くらいはいるかもしれないな……!!」
冷静に現在の状況を分析しようとしているティーナと違って、玉木はその場でオロオロしながら、頭を抱えて狼狽えまくっている。
「――ティーナ! テントの中にいる壁外区のみんなに、急いでコンビニの地下階層に避難をするように伝えてくれないか!」
「分かりました! 彼方様! すぐに皆さんに伝えて参ります!」
あれが本当に以前に俺のコンビニを襲って来た魔物と同じタイプの魔物だとしたら……。
たしか、あの魔物達は空から火の玉を放つ魔法攻撃をしてきたはずだ。
急いでコンビニの外にいるみんなを避難させないと、大変な被害が出てしまうかもしれないぞ!
「――総支配人様、どうかご安心をして下さい。コンビニマンションは今から緊急事態対応装備に切り替わりますので」
「……え? レイチェルさん……?」
スマートウォッチからレイチェルさんの声が聞こえた、その直後――。
大きなサイレン音を出していた3棟のコンビニマンションが一斉にその音を止めて――急に静かになった。
そして……。
”ガラガラガラガラガラガラ――”
コンビニマンションのベランダに備えられている鋼鉄製の強化シャッターが、全て自動的に閉じられていく。
魔王領方面に向き合うようにそびえ立っていた、コンビニマンション1号棟。
その全ての部屋のベランダに備え付けられている、合計2000門の5連装式自動ガトリングショック砲が――ゆっくりと魔王領の空に浮かぶ黒い飛行型の魔物達の姿を捉える。
「コンビニマンション対空防衛ガトリング砲。全砲門――攻撃を開始します! ――対空射撃開始!!」
レイチェルさんの声と共に、
”ドドドドドドドドドドドドドドーーーーッ!!!”
”ドドドドドドドドドドドドドドーーーーッ!!!”
”ドドドドドドドドドドドドドドーーーーッ!!!”
”ドドドドドドドドドドドドドドーーーーッ!!!”
凄まじい爆音を轟かせて。
無数の赤い閃光弾が魔王領方面の空に向けて一斉に放たれた。
それは……赤い光の弾による、対空射撃なんて生易しいものじゃない。
まさに、赤い閃光弾の光が空中で幾重にも織り重なる赤い弾幕射撃だ。
何層にも織り重なったガトリング砲による閃光弾が、空の上に赤色の鮮やかな模様を幾重にも映し出している。
――昔、ネットに上がっていた動画で見た事があったけれど。
アメリカ軍か何かが対空砲火用兵器として持っているという、自動でガトリング砲を連射し続ける『ファランクス』とかいう対空用の攻撃兵器の射撃に似ているな。
数千匹を超える数で、こちらに向けて襲来した黒い魔物達は――。
為す術もなく、空からハエ叩きで叩き落とされるかのように次々と撃ち落とされていく。
それは、例え1匹たりとも決して撃ち漏らす事なく。
2000門のガトリング砲による弾幕射撃は、容赦なく大空を逃げまどう哀れな生き物達を……。短時間で、あっという間に全て撃ち落としてしまった。
おそらく全ての魔物達が空から撃ち落とされるのに、2分もかからなかったんじゃないだろうか?
それくらいに圧倒的に。かつ一方的に、無慈悲に。
コンビニマンションは、その無敵の防衛力を見せつける結果となった。
「あっはっはー! 総支配人様ご覧になられましたか? 圧倒的ではないですか! 我が軍の戦力はーーッ!!」
「……レイチェルさん、ティーナと玉木も隣にいて聞いていますよ」
「コホン……。総支配人様、いかがでしょうか? 新しいコンビニマンションの防衛力は――?」
俺と2人きりで通話をしていると思い込んだレイチェルさんが、興奮して中二病全開な台詞を口走った事は聞かなかった事にしておこう。
幸い俺の隣でスマートウォッチから聞こえるレイチェルさんの声を一緒に聞いていたティーナも玉木も、目の前で起きた出来事に呆然としていて……。
たぶん、レイチェルさんの声はよく聞こえていなかったみたいだからな。
いや、レイチェルさん。
なんていうか、これは『凄い』なんてものじゃなかったですよ……。
まさに、本当に圧倒的過ぎて。
我がコンビニ共和国の戦力は、本当に超が付くほどに最強だと思います。