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第百三十話 コンビニのレベルアップと脳内ボイスの正体


 ”ウイーーーーーン”



 エレベーターがコンビニの地下9階層に到着する。


 開いた扉の先には、レイチェルさんが深々とお辞儀をしながら俺を待ちうけていた。



「――お待ちをしておりました、総支配人(グランドマスター)様」


「レイチェルさん、俺の事を待っていてくれたんですか?」


 いつも俺がしようとする事を、まるで預言者のように先回りして、色々と手配をしてくれているレイチェルさん。

 どうやら今回も、俺がレイチェルさんを呼びにここにやってくる事は事前に分かっていたみたいだな。


「既に『防御壁(アーマー・ウォール)』の勇者様である四条京子(しじょうきょうこ)様は、クレーンゲームの勇者である秋山(あきやま)様の能力で、地上にワープをして頂きました」


「じゃあ、もう四条はコンビニの外で、新しい街作りの仕事に取り掛かっているんですね」


「はい、四条様の能力はエルフ族の皆様の居住地作りで、大幅なレベルアップをする事に成功しました。今の彼女なら、かなり高度な建築作業もこなす事も出来るでしょう。地上のカディナ住人の皆様の為に、きっとたくさんの貢献をして頂けると思います」


 レイチェルさんは、四条の成長をまるで自分の事のように嬉しそうに話してくれる。


 俺はレイチェルさんの後ろに広がっている、農園エリアの様子を覗いてみた。


 そこには既に、大森林地帯のように成長をした大きなココルコの木が、大量に生い茂っていた。

 巨大な石造りの倉庫に、収穫したココの実を運び込んでいるエルフ族の姿も見える。


 本当に凄いな。こんなにも短期間で、もうこれだけたくさんのココルコの木が、この農園エリアで育ったのか。


 農園エリアの見た目は、完全に大森林地帯へと変貌を遂げていた。

 前はキャンプ場のように、あちこちにテントがいっぱい建っている閑散とした状態だったけれど。今はもう、テントは1つも見当たらない。


 エルフ族は皆、ココルコの木が十分に育った大きな森の中に、それぞれ生活空間の場を移したようだ。


 レイチェルさんが指導をして。四条が建設して作り上げた用水路や、ココの実の貯蔵倉庫。それにカップヌーボーの保管倉庫。その他にも、生活に必要な日常設備が現在は完全に機能しているようだ。



 ここは誰にも邪魔される事がない。

 本当の意味での、エルフ族だけの『楽園』になったんだ。


 以前にレイチェルさんが俺に話してくれた内容だけど。

 例え俺がこの世界で命を落とすような事があったとしても。この農園エリアの世界は、永久に残り続けるらしい。



 だからこの世界は、エルフという種族が永遠に栄えていく場所として。これからもずっと繁栄していくのだと思う。


 いつか、もし……。それこそ数千年くらいの長い時間がこれからこの場所で経過したとしたら。


 未来では、エルフ種族の人口が数億人くらいにまで増えているような時代が来て。コンビニの勇者は、この新天地にエルフ族を導いた『神様』みたいな扱いになっていたりするのかもしれないな。


 その時は、俺の形をしたヘンテコな銅像みたいなのが建てられてたりしたら困るから。今のうちにエストリアには、(くぎ)を刺しておこうと思う。

 エルフの美的センスを疑う訳じゃないが、絶対に(ひげ)を蓄えた変なマッチョなおっさんの銅像とか建てられてそうだし。悪いけど俺の肖像権は、盛りに盛った、イケメン美化されたハンサムの姿でしか許可を与えないつもりだからな。最新のAIアプリで美化させた顔なら、まぁOKだぞ。


「さあ、総支配人様。私も一緒に参りますので、コンビニの地上階に向かいましょう。私はコンビニの外には出ませんが、外の様子を直接見やすい位置にいた方が、四条様にもアドバイスがしやすいと思います」


 嬉しそうなレイチェルさんに、(うなが)されて。

 俺はすぐにまたエレベーターの中に戻る事にする。



 そのままレイチェルさんを一緒に乗せたエレベーターは、再び静かにコンビニの地上階に向けて動き出した。


 よくよく考えてみると。


 こうして密室の中でレイチェルさんと2人きり……っていうシチュエーションはあまりなかったな。

 だから何だか少しだけ、俺は変な緊張をしてしまった。


 コンビニホテルの支配人(フロントマスター)でもあり。コンビニの守護者達を統括する立場でもある、レイチェルさん。


 コンビニの地下階層全体の事をよく把握していて、コンビニの事に一番詳しい、頼れるみんなのお姉さんでもある。


 俺も何か分からない事があった時は、真っ先にレイチェルさんを頼ってしまうからな。


 でもそれは、何も俺だけの事じゃない。コンビニで暮らす他のクラスメイトのみんなも、レイチェルさんの事を慕っていて。まるで母親のようにみんなの心のケアをしてくれる、優しいお姉さん的な存在でもある。


 レイチェルさんの存在は、このコンビニで暮らす異世界の勇者達の心の()り所でもあり。


 男性陣からは憧れの大人の女性として。

 女性陣からは頼れるお姉さんとして。


 みんなが安心してレイチェルさんにだけは、それぞれが抱えている心の悩みや、不安を打ち明けて。その精神的な支えにもなってくれている。


 そんな頼れるお姉さんのレイチェルさんに、俺は……ぜひ聞いてみようと思っていた事があったので、この機会にそれを聞いてみる事にした。


「……そういえば、レイチェルさん。グランデイル王国から帰ってきたセーリスに聞いたんですけど。グランデイル王国の王都に杉田達が向かった時に、セーリスに王国の地下にあるという『元の世界に戻る為のゲート』の探索を命じたっていうのは――本当なんですか?」


 俺にその事を聞かれるのは、想定外だったのか。

 一瞬だけ、レイチェルさんが気まずそうに沈黙をした。



 でも、すぐにいつもの営業スマイルに戻ると。にこやかな笑顔で俺に答えてくれた。


「ええ。セーリスには私からそのように命じました。この世界の謎を探る上で、グランデイル王国の地下に隠されているというゲートの秘密を探索するのは、とても重要な事だと思いましたので」


「……でも、その際に『邪魔となるグランデイル王国の兵士達は、排除しても構わない』と、セーリスに伝えたというのも本当なんでしょうか……?」



「………………」



 レイチェルさんは、無言のまま沈黙をする。



 俺はグランデイルから帰還した杉田達から、グランデイルの王都で起きた出来事についてを聞かせて貰っていた。


 杉田とセーリスは、なぜか2人揃って口を濁して誤魔化そうとしてきたけれどな。一緒にいた香苗が、そこで起きた出来事について、俺に全てを正直に話してくれた。



 何でもアパッチヘリが王都に着いた直後。

 セーリスが空から飛び降りて、グランデイルの王城にいきなり襲い掛かったらしい。


 その後、大混乱に陥ったグランデイル王城の中を好き勝手に暴れ回ったセーリスは、グランデイル城の守備兵達にかなりの損害を与えたようだ。



 その事を香苗から聞いた俺は、かなりキツめな口調でセーリスを問い詰めたんだけどな。


 最初はあわあわと、その場で黙り込んでいたセーリスだったけど。やっと観念をしたのか、反省する様子で口を割ったその内容は――。


 レイチェルさんから『グランデイル王城の地下に眠る秘密を探り出してくる事。その際に邪魔をしてくるグランデイルの兵士がいた場合は、全部排除しても構わない……』という、かなり過激な指示を受けていたという衝撃的な内容だった。



 俺はその話をセーリスから聞いて、かなり驚いた。


 まさかレイチェルさんがそんな事を、という思いもあった。

 だから、なかなかこの事をすぐにはレイチェルさんに聞き出せずにいた。


 こうして今回レイチェルさんと2人きりになれるタイミングがあったのは、正直チャンスだと思う。



 もちろんセーリスの今回の行動は、身勝手な振る舞いではあったが……。セーリスがグランデイル王城の地下に侵入をしてくれたおかげで、俺達は多くの情報を今回得る事が出来たのも事実だ。


 1番大きな成果は、何といっても異世界の勇者を元の世界に戻せるという――『ゲート』を、セーリスがグランデイル王城の地下深くで、実際に発見したという事だ。


 そしてそこには、謎の卵が大量に産み付けられている秘密の空間が存在していた事。更にはそこから出現したと思われる、全身に白い鎧を着た魔法戦士達の群れに追いかけられて。

 セーリス達はアパッチヘリを高速で飛行させながら、命からがら王都から逃げ帰ってきたという衝撃的な内容だった。


 今回の杉田の花嫁救出作戦で、セーリスが得てきたグランデイル王国の秘密に関する情報はあまりにも多く。その内容はどれも興味深いものが多かった。


 1つには、大昔の伝説とされていた『召喚戻しのゲート』が、実際にグランデイル城の地下には存在をしているという事が、直接確認出来た事。


 もう1つには、グランデイル城の地下には、能力(スキル)を用いた高レベルの魔法を使用出来る魔法戦士達を、まるでクローンのように大量孵化する事が出来る……謎の空間が存在をしているという事。



 グランデイル女王のクルセイスが、女神教を統べる枢機卿(すうききょう)に反旗を(ひるかえ)したのも……。もしかしたら、それだけの強力な戦力をグランデイルの地下で無限に生産出来るという、とっておきの切り札があったからなのかもしれない。



 更に、今回のグランデイル潜入作戦では――。


 セーリスや杉田達は、グランデイル王都に突然迫ってきた魔物達の大群を撃退し、王都の住人を危機から救い出したという大きな成果をあげている。

 だがそれさえも実は、グランデイルの地下に眠る無限の魔法戦士達の兵力を最初から投入していれば。グランデイル王国は、魔物達の群れから自己防衛をする事が出来ていたのかもしれない。


 つまり、グランデイル王国からすれば。


 放っておいても自分達だけの力で退けられた魔物達の群れを……突然現れたセーリス達が、勝手に防いでくれたというだけの事だったかもしれないのだ。


 それどころか、セーリス達の能力やその戦い方を細かく分析され……。魔物達を退けて消耗しきったそのタイミングで、温存していた地下の魔法戦士達を投入してくる――という事まで、戦略的に行ってきている。


 誰がグランデイル王城の内部に控えていたのかは知らないが。

 あのクルセイス以外にも、戦略を練る参謀的な存在がグランデイルの王都には実は潜んでいた可能性もあるな。



 王都の大ピンチを救って貰ったグランデイルの住民達も。

 それがコンビニの勇者の仲間達による功績だとは……おそらく知らされていないだろう。


 むしろ今頃は、大量の魔物達を操ってグランデイル王都を襲撃してきたのは、『コンビニの魔王の手下達によるものだ』――なんていう、虚構(きょこう)の宣伝を、街の中でされているかもしれないな。


 実際に花嫁騎士(ウエディングナイト)のセーリスが、グランデイル王城を滅茶苦茶に破壊してるという事実があるのだから。そっちの情報の方が遥かに、グランデイルの住民達にとっては信憑性が高くなるだろうしな。


 まあ、街の人達を守りたいという杉田の判断は、異世界の勇者として正しいものであったけど。

 

 それを上手くグランデイルの上層部に利用されてしまったというのが、今回は事実なのかもしれない。




 しばらく沈黙をしていたレイチェルさんは……。


 爽やかな営業スマイルをやめて。

 目を閉じながら、小さな声で俺の問いにゆっくりと答えてくれた。



「……総支配人様は、心のお優し過ぎる方です。ですが、この世界には悪意に満ちた罪人達が溢れているのです。私は総支配人様……いいえ、コンビニの勇者様である彼方(かなた)様と、そのご友人の方々。そしてコンビニを慕って下さる人々以外の人間には、一切興味がありません。コンビニと共に生きて下さる皆様の命を守る為でしたら、私はこの世界に蔓延(はびこ)る悪しき人間達など、幾らでも殺害をしても良いとさえ思っているのです」



 レイチェルさんの突然の告白に、俺は内心かなりビックリした。



 いつだって冷静沈着で、誰もが憧れる爽やかスマイルを崩さなかったレイチェルさん。

 それが今日、初めて……その内面をあらわにして、本心の言葉を話してくれたような気がしたからだ。



 俺は少し動揺をしながらも、レイチェルさんに声をかけてみた。


「それは、もちろん俺だって。クラスのみんなを守る為なら、この世界の人を(あや)めても仕方ない時があると思っています。水無月や他の2軍のクラスメイト達や、既に死んでしまった仲間だってたくさんいる……。でもだからといって、こちらから積極的にこの世界の人達を殺害しようとするような事は、俺には出来ないんです!」



 少なくても、まだ今は。

 俺はそういう行為を積極的にはしたくない。


 それがいつか、全く気にならなくなるような心境になったりでもしたら。

 きっと俺の頭の中のネジが数本だけ。どこかに、抜け落ちてしまったような状態になってしまったとしたら。



 俺はもう、完全に歯止めが効かない『魔王』に変わり果ててしまう気がするんだ。



 今の俺には、ティーナがそばに居てくれたから。


 そして、玉木や他の3軍のクラスメイト達や、この世界で出会った大切な人達もそばにいてくれるから。


 ……いいや、それだけじゃない。

 レイチェルさんや、アイリーンやセーリスも俺のそばにいてくれるから。俺はまだ自分を正気で保っていられた気がする。



 もし、俺がこの世界でティーナと出会わなければ。

 ザリルやこの世界で親しくなった人達との出会いが無かったら。



 俺はきっと、とっくに大切な『何か』を失ってしまっていただろう。


 そして、この世界の全てを破壊してしまうような……本当の意味での『魔王』になってしまっていた気がするんだ。



 それはなぜか、不思議な既視感(きしかん)と共に。俺の脳裏の中に、『あり得ない別の自分の記憶』として、頭の中にフラッシュバックしてその光景が浮かんでくる事が、最近はだんだんと多くなってきた気がする。



 俺がいったん、その場で目を閉じて。

 静かに気持ちを落ち着けようと、深呼吸を繰り返した。



 するとレイチェルさんは、普段は絶対に見せないような表情で、俺にその小さな顔をゆっくりと近づけてきた。


 その瞳には悲しみの色が深く浮かんでいて。どこか慈しむような優しい表情で、俺の顔をじっと見つめている。



 不思議と俺は、レイチェルさんが浮かべるその表情に見覚えがあるような気がした。そう、俺の事だけをじっと心配そうに見つめてくれる、この優しい顔は――。


 俺の母親が、俺がまだ小さい頃に怪我をしたり落ち込んだりして1人で俺が泣いていた時に。心配そうに俺の事を見つめてくれていた表情に、そっくりな気がする。



「彼方様、私は彼方様を敵から守れない事が本当に(つら)いのです。彼方様は憶えていますでしょうか? 初めてこの世界の森の中を、お1人で彼方様が彷徨(さまよ)われていた時の事を。そしてそこで初めてティーナ様と出会い、ティーナ様を盗賊達から守る為に、命懸けでコンビニの事務所に逃げ込まれた時の事を……」



 レイチェルさんは遠い記憶を思い出すようにして、俺に語りかけてきた。


「私はあの時、彼方様とティーナ様をお救いする事が出来ず、本当に悔しい思いをしました。もうあの時のような、悲しい気持ちになりたくありません。私は……彼方様と彼方様の大切なご友人の方々を救う為に、私が出来る全ての事を全力でしたいと常に願っているのです」


「えっ、でもそれって……。レイチェルさんがどうして、その時の事を知っているんですか?」



 もしかしたら、ティーナから俺とティーナが初めて出会った時の話を聞いたのだろうか?


 だとしても、俺とティーナを救えなかったのが悔しいという言葉はまるで――。その時に、俺達と一緒にそこにレイチェルさんも居たかのような口ぶりに聞こえるけれど……。



「私は全てを憶えているのです。彼方様が初めて『私』をこの世界で召喚して下さり、クラスメイトの皆様から笑い者にされてしまった時の事も。グランデイルの街の隅に『私』を出して頂き、ひっそりとお1人で、コンビニ生活を楽しまれていた時の事も。あの時は今の3軍のクラスメイトの皆様がコンビニに集まって下さり、とても賑やかで楽しい毎日でしたよね」


 レイチェルさんが、昔話をするかのように。

 俺に当時の思い出を笑いながら話してくれた。


「……皆様がコンビニに集まるようになって、彼方様が1人きりで寂しそうな顔をしなくなりましたので、私はとても安心をしました。グランデイルの女王から、火矢で襲撃を受けた時には、まだ『私』には何も力が無くて……。彼方様や玉木様をお守りする事が出来ず、本当に悔しい思いもしました」


「ちょ、ちょっと待って下さい! そんなまさか……。レイチェルさん、あなたはもしかして……」



 レイチェルさんは結んでいるピンク色の髪をほどき。


 流れるような美しいピンク色の髪を腰の辺りにまで下ろしながら、俺を優しく自分の胸の中で抱きしめてくれた。


「ええ、そうです。私という存在は、『コンビニ』そのものと呼べるべき存在なのです。だから私はこのコンビニから外に出る事は出来ません。アイリーンやセーリスが私に従うのも、『私』という存在が、コンビニそのものだという事を彼女達が理解しているからなのです」


「レイチェルさんが『コンビニ』を具現化した存在だなんて……。それじゃあ、無限の能力を持つ勇者を守る守護者達のリーダーは、その能力が、人の形となってこの世界に具現化をした存在って事になるんですか?」


 レイチェルさんは、小さく首を振って答えてくれた。


「私自身は『コンビニ』ですので、その他の能力を持つ無限の勇者達の事については詳しく分かりません。もしかしたら、動物園の能力を持つ勇者に仕えている守護者達のリーダーである黒魔龍公爵(ブラックサーペント)も、私と同じように『動物園』そのものが具現化をした存在という事もあり得るのかもしれません。ですが、それを確かめる事は出来ません。私自身もこの世界のシステムの全てを把握している、という訳ではありませんので」


 レイチェルさんは、エレベーターの中で俺を抱きしめながら――耳元で囁くように話しかけ続ける。



「彼方様、私は『コンビニ』そのものですので……こんな事も出来るんですよ」


 白い肌の綺麗な顔を、ピッタリと俺の顔に重ねて合わせてくるレイチェルさん。

 その吐息が鼻先にかかるくらいの至近距離から、レイチェルさんは、俺にこう(ささや)きかけてきた。



「――ピンポーン! コンビニの勇者のレベルが上がりましたよ、彼方様!」



「えっ、れ、レイチェルさん!?」



 その声は、俺が何度もこの世界で聞いてきた声だった。


 いつも俺がこの世界で、異世界の勇者として成長を遂げたり。絶体絶命のピンチを乗り切ったりした時に、頭の中に響いてくる『あの声』だ。



 でも今回は、それが頭の中で鳴り響いてきた訳ではなくて。


 俺のすぐ耳元で。レイチェルさんが直接、同じアナウンス声で俺に囁いてくれている。


 レイチェルさんはそのまま。いつも俺が能力確認(ステータスチェック)の言葉を唱えて確認をする、新しくレベルが上がった時に見れるステータス内容を。



 機械的なアナウンス声で、俺の耳元に囁いてくれた。




「――名前は、秋ノ瀬彼方(あきのせかなた)。年齢は18歳。



 職業、異世界の勇者様……レベルは16。

 スキル『コンビニ』……レベルは16。



 体力値:13

 筋力値:13

 敏捷値:13

 魔力値:3

 幸運値:13



 習得魔法:なし

 習得技能:異世界の勇者の成長促進技能レベル3

 称号:『創造の勇者』



 コンビニの商品レベルが16になりました。

 コンビニの耐久レベルが16になりました。



 『商品』 

 氷 タピオカドリンク ひげ剃り

 シェバー マスク 布 生地 裁縫用糸

 

 が、追加されました。



 『雑貨』

 ランプ ランタン カーペット

 ケーブル 電線 大型テント 椅子 机

 簡易ベッド 灯油 灯油ストーブ 扇風機


 が、追加されました。



 『耐久設備』


 コンビニ支店1号店の機能アップ

 コンビニ支店2号店

 コンビニ支店3号店

 コンビニ支店4号店

 輸送機能付き大型アパッチヘリ 4機

 コンビニの守護機兵 1000体

 シールド機能付きドローン30機

 攻撃特化ドローン150機

 コンビニ内固定電話機能

 スマートウォッチの通話機能

 外置き用巨大ゴミ箱

 貯水タンク

 コンビニマンション3棟



 ……が、今回は新たに追加されましたよ、彼方様☆」

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