1:気付いたら別人だった…
転生した先のこの子は誰…?ヒロインでも無い、悪役令嬢でも無い、見えないエンドをどうしよう…?
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玲の硝子です。よろしくお願いします。
「はじめまして、アリア様。」目の前で仮面の様な笑顔を浮かべた彼に、私は鳥肌が止まらなかった。
遡ること数日前…。
朝起きると、別人になっていた。…ん?あ、え?何、ドッキリ?憑依?ベッドからひょいっと飛び降り、ベッド脇にあった鏡を覗き込む。…そこには、心配そうにこちらを見ている可愛らしい女の子がいた。若干キツイ印象の顔立ちだが、そこは幼さがカバーして、まさに絶世の美少女、って感じの…。………、これ私ですか……?どこかで見た様な見てない様な変な気持ちになってくる。…ん〜。。私が鏡の前でわたわたしていると、侍女らしき女性が入ってきた。「アリアお嬢様、おはようございます。朝食のお時間です。」
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朝食を終え、部屋に戻ると私はすぐに前の私の記憶ー、前世の記憶を羊皮紙に書き出した。『藍原翔子。古風な名前の高校2年生。家族構成は、母、弟、私の3人。そこそこ有名なゲーマー。特にハマっていたのは、友達に勧められて始めた乙女ゲーム『ラブマジカル』、略して『ラブマジ』。』色々なイベントが楽しかったんだよなぁ。
…とりあえず関係ありそうな事、なさそうな事全部書き出し1人満足していると、慌てた様子で今世のお父様が入ってきた。
「突然すまない、お前の婚約が決まったぞ!!」
…は?
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…………で、今に至る。婚約が決まった、っていう次の日にパーティー開いちゃったりするから王族って怖いんだよ…。。…そう、なんと私の婚約者はスティード・キアート。この国の第三王子だったりしてるんです…。
「はじめまして、アリア様。スティード・キアートと申します。」
皆の視線を感じる。前世でいうアイドルだものね…って!まずい、先に王族に挨拶させてしまった…!…………んん?スティード王子?えっ、それって…!!
「も、ももも、申し遅れました。私、アリア・オールドと申します。」
フラフラする頭を押さえながら必死で考える。スティード・キアート、第三王子。ゲーム『ラブマジ』の攻略対象……!!え、嘘、え!?
うわぁ〜〜。中身は高2でも、8歳の頭では追いつかない……。
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「落ち着きましたか?」
目の前で、心配そうにこちらを見てくるスティードに軽く頷き返しながら、私は再び頭を抱える。だって…、『ラブマジ』すっごいやり込んだ筈なのに、アリアなんて名前覚えてない……!王子と婚約なんて、結構重要そうだけど…。うーん…。。
でも、少なくとも言えるのは、私が良い役じゃないって事。ここがゲームの世界なら、顔もわかりやすく出来てる筈。つまり、つり目って事は悪役令嬢なんだよね……。
………、いや、嘘でしょ!?あり得ないわ。ゲームの世界に転生!?夢よ、これはきっと。
「アリア様?大丈夫ですか。」
うん、こんな顔整った子なんているわけが無い…。あ、そうだ!!やっぱりこういう時は…、一回放棄しよう!!
「スティード様、婚約破棄致しましょう!!」
お読みいただきありがとうございます。
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週一更新の予定です…!