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失踪はしてないよ(笑) 内容には関係ありません。


 「待ってくれアレク殿。もう一つ、問題があるのだ。長。」


 そうセイビムに促されるように老ドワーフの一人、先程のキューティクルのいい髭の左隣の老ドワーフは懐の中から一枚の金属片を取り出す。


 「これは、最近発見した行動で見つかった金属片らしいのだが、見たこともない硬度の金属片なのだ。アレク度に見覚えはないだろうか?」

 「鉱山の男たちに見覚えのない金属にオレが覚えがあるわけないだろ。」

 「確かに、金属単体であればそうかもしれないが、歴史物となると話は変わってくるんじゃないか?」


 せかされるようにアレクは老ドワーフの一人から、その金属片を受け取る。


 重い。


 全長僅か10㎝ほどしかなく厚さもミリ単位しかないであろうその黒い金属片は、その質量からは考えられないほどの重量を秘めていた。そして、その金属片を受け取ってみて、初めて分かったのは、その金属片は、天然の金属ではなく加工された跡が見られたのだ。

 それは素人にも加工されたものだとわかるのは、表面に何やら絵のような、文字のようなものが刻まれていたのである。といっても、盛り上がっていたり彫られている訳では無く、文字のように色が変わっているのだ。自然の産物の可能性も0ではないだろうが、その規則正しい配列を見る限り、やはり、人間なりその他の知的生命体によって手が加えられたものであることは明らかである。


「その金属片は、非常に硬いらしく金剛石を混ぜ込んだツルハシですら欠損したらしいんだ。」


 金剛石といわれるものを含んだ合金がどの程度硬いのかアレクには分からないが、鉱石を砕くために作られたであろうツルハシが欠損するとなると相当硬い金属変であることは確かだろう。

 試しに手でたたいてみると、キンキンと高音の金属のいい響きが鳴り響く。


 こんなにも軽い音がする金属にもかかわらず、そんな硬度があるとは思えないのだが、こんな時に嘘をつく理由もないので、この金属片は相当の硬度を誇っているのだろう。


 「悪いけど、オレもこの金属には見覚えがないな。これだけなのか?」


 もし、この金属片に文字のような加工の痕のようなものが、本当に文字なのであれば規則性のようなものを見いだせれば、解読の糸口にもつながることだろう。その為には、これ以外にもこの文字が描かれた金属片が必要になってくる。


 「勿論あるだす。全部で31片見つかっているだす。」


 そう答えたのは先程の老ドワーフではなく、一人の若いドワーフであった。黒い顎髭が三つ編み上に束ねられているのは、若いドワーフなりのオシャレなのだろう。

 その若いドワーフは端っこに寄っていた他の若いドワーフをかき分けて前に歩み出る。


 「ワシの友人が発掘した。早いとことこいつを溶かすなりして金に換えてやりたいんだす。」

 

 このドワーフは、ドワーフの方言が強くない口調なのは、人間相手に商売を多くしているからであることを後に聞いた。

 その若いドワーフの友人は、持っている中で最高硬度を誇る金剛石を含んだ合金でできたツルハシを使い物にならなくなってまで31個の金属片を発掘したのだという。その為、現状この金属を売る以外では、生計を立てるすべがなく、それを売ることを約束したここにいるドワーフからすれば確実に金に換えておきたいのだろう。


 一先ず、金属片の入った布袋を受け取ったアレクは中央の円卓の上に金属片を広げる。するとそこにも先程と同じ製法で描かれた文字のようなものが記されていた。

 さらに、その文字には同じものがいくつか存在しており、ある程度の規則性があることからやはり、文字という事は確定なのだろう。

 そうなってくると、この金属片をどうするかはアレクが判断できるものではないようなものの気がする。何せ、この金属片はイグニアス王国における歴史物なので、そういった知識も研究意欲もないアレクからすれば、この金属片を発掘したドワーフ同様、ただの金属片に過ぎない。


 助け船を求めるようにアレクは、セイビムの方に目線を飛ばす。幸いにもアレクの意図を読み解いてくれたセイビムは、アレクの傍に歩み寄ってくる。同時に、ミハヤやアレーナなどもその金属片の文字と格闘しているようだ。


 「これは、こちらで歴史物として買い取ろう。それとも、この金属は溶かして使いたいのか?」

 「できる事なら後者がいいだす。これほど硬い金属だす。いいツルハシができるだす。」


 若い商人のドワーフが言うように今まで最高硬度だと思っていた合金のツルハシを使いものにならなくした上に、見たところ傷がついている金属片は見当たらなかった。そのことを考えると、この金属を加工して、ツルハシを作ることが出来れば最上級の作成することは可能であろう。


 「そうか・・・だが。」


 セイビムとしてもそこは譲りたくない事だろう。未知というのは人間にとって一番嫌なものである。この道の金属にかかれた文字がどういった内容なのか気になるのもそうだが、それ以上にどのような金属なのか、いったいどんな人物が加工したものなのかという未知。そして、そんな歴史物を溶かしたことを王都に住む研究者に知られた時の批判を天秤にかけると、引き下がるという結論はあり得ないだろう。


 とはいえ、向こうは商売のプロである。徐々にセイビム側が追い詰められていく。


「・・・なら、研究中替えのツルハシは提供してもらう。研究が終了した時にもう一度交渉するでどうだす?」

 「そうだな。だが、研究後はボクの管轄じゃなくなるかもしれない。そうなると確約は難しいが構わないか?」

 「うーぬ。仕方がないだす。それで手を打つだす。」


 最終的には商人のドワーフが折れるような言い方をしているが、確実にドワーフ側の完全勝利の交渉だろう。いつ終わるか全く不明の研究中、恒久的にセイビムいや、領主であるマリージョ家からのツルハシの援助を受けられる。はっきり言って壊れにくい黒い金属片で作られたツルハシを貰う以上にいい交渉をできたといえるかもしれない。

 助け船を出してやりたい気もするが、アレクには出せる交渉材料が存在しない。しいて上げるとするならば、腰に下げた古代のエルフの剣をあげることぐらいだが、それをしてしまうと、魔獣との戦闘を行うことが難しくなってしまう。


 「(帰ったら、アリシアかメリンダ様にお願いしておくから!)」


 という気持ちを込めてアレクは無言を突き通す。


 ようやくこれで目先の問題の大半の解決の方向性が見えてきた。

 まずは、マリージョ、並びに王都バルムント最終的には、ベルディア公国までの売買ルートを作るための行商談を派遣すること。

 次いで、アレクを中心とした魔獣討伐部隊並びに吸光石採掘部隊の編制。

 最後に黒い金属片という順序で解決にあたることになるだろう。




どうも、片桐ハルマと申します。

約一年ぶりになる後進になります。最終学年で実習なり、就活、テストと尋常ならざる忙しさから・・・すみません。言い訳です。更新が遅くなってしまい申し訳ございません。

今後はしっかりと定期的に更新していけるようになりますので、またよろしくお願いたします。

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