節間
合計55人。
こんな人数で集まって仕事をするのはジョエスも初めてのことだ。もともと傭兵をしていたジョエスは、長い間にわたる平和。無料で魔物や獣たちを倒す自警団。他国に攻め入らない不可侵条約。そんなこの国では、高額で依頼を受ける傭兵の需要などほとんどがオモテの人はしないであろう汚れ仕事ばかりになっていた。
「だからって街を襲うのかよ…。」
目先の金に目がくらんで盗賊まがいなことをしていることに罪悪感を覚える。しかし、誰一人殺さない作戦があると聞くし、傭兵としての経験の長さが功を奏し後方支援の任務を請け負った。
もう昼過ぎ。予定では別動隊が側門を固めている時間だ。少し離れたところで隊長が進軍の合図を出している。それに合わせてに20人程度が正門に向けて進行し始める。街の方も合図があったかのように警報の鐘がなる。
「はー・・・腐ってる・・・。」
ジョエスは世界に勝手に絶望しつつため息をつく。
後方支援の一団も前進を開始し始め、街から少し離れた小高い丘の上で停止する。門の近くではもう一戦始まっているのかワーワー男どもの声が聞こえる。まあ、あの人数だ。そこそこ腕の立つ兵士でも同人数必要だろう。などと勝手に考えつつ、ぼーっと、楽な仕事をこなしていた。
「なっ・・・。」
しかし、ジョエスの目を疑う光景が広がった。
砦の上から飛び降りる一つの影が見えた。それだけだ。門が開く気配もそれ以外の人影も見えない。
「あ、ありえない。」
周囲でも同様のざわめきげ広がっている。しかし、どんなに否定しようとも広がる光景は刻一刻と変化していく。
たった一人。蒼髪の人影がちらちらと人の隙間から見え隠れする。土埃に雄叫び、鮮血の飛び交う戦場で舞うように美しい剣技で20人近い野盗を次々と切り伏せていく。
美鬼
比類なき美しさと鬼神の如く、蒼き花は真紅の戦場に咲く。
By・ジョエス・デュラン