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同盟成立


 ベルディア公国同盟締は滞りなく進み、三人いる公王候補のジダレイニス、シャシュナンと残る最後の一人からも「任せる。」と、言う伝令が届いたのは、アリシアとアレク達がベルディア公国に到着してから実に三日後の朝だった。

 そう言ってもアレク達がついた日は、すぐに眠りにつき、翌日は魔獣討伐と、ベルディア公国をゆっくり探索できたのは、一日と半分くらいの時間しかなかった。


 「まあ。元々あらかたの下準備は進めて来ましたし、早く済んで何よりです。」


 セバスの言う通り、このベルディア公国との同盟は、アリシアが自警団を立ち上げるよりも前から進み始め、下準備に改定、両国の王の変動もあり、10年近い年月を経て締結した同盟なのだ。今更大きく渋ることなど、誰一人として考えていなかった。


 「とりあえずこれで戦争は回避できるんだよね。よかった~。」


 リズベルが本当に安堵した表情を見せる。

 このバルダーム大陸に存在する最も強大な国力、軍事力、領土を持っているイグニアス王国、ベルディア公国、ボトムス王国の三国の内の二国が、友好関係をもとに不可侵と国境を軍隊に進軍させない同盟を締結させたことは、イグニアス王国と敵対関係にあるボトムス王国にとっては非常に厄介なものとなるだろう。故に、その抑止力がイグニアス王国とボトムス王国との戦争を遠ざけるものとなるわけだ。

 それが、平和を望むイグニアス王国のいやメリンダやアリシアの思惑でもある。


 しかし、とアレクは思う。もし、そんな二国が同盟など結んでしまったら、もうボトムス王国には戦争以外の終着点など無いのではないだろうか。と。もちろん、同盟を組まなければイグニアス王国は、恒久的に野盗に扮したボトムス兵の被害に遭い続けるかもしれない。堂々巡りであることも十分にわかっているのだが・・・


 ベルディア公国での用事も住み、アリシア達自警団は帰る準備を進めていた。

 ベルディア公国との国境を一人で警戒していたサイラスも晴れて、アリシアの騎士としての性分を全うすることが出来る。


 「アレク殿。帰ったら一つ、手合わせを願いたい。」

 「ああ、いいぜ。相手になるとは思えないけどな。」

 「ズルいぞ、サイラス。ワタシとアレクがやった後にしてくれよ。」


 イグニアス王国に居たときからずっとアレクと模擬戦をやりたがっていたスフィアが、アレクに寄って行ったサイラスとアレクの間に入り、アレクの肩を抱く。

 もうずいぶんアレクも自警団の中に溶け込めてきたことのアリシアも安堵を覚える。


 その時。


 ジダレイニスやシャシュナンもいるこの部屋の中にベルディア公国の一人の伝令兵が入ってくる。


 「申し上げます。極南砦にイグニアス王国の使いの者より伝令です。西方の砦にボトムス軍の影を発見。フェルヴィオ様が現在向かっている。とのことです。」

 「それ本当!!」


 流石に自身の騎士、いや乳兄弟のフェルヴィオのことには、リズベルが一番大きな反応を見せる。自警団の一同は動揺することは無い。と、言うよりかは、やることはすでに決まっているようだ。


 「ありがとうございます。ここからなら王都に向かうよりも近いですよね?」


 セバスに問いかけた問いに対し、この辺りの地形に最も詳しいサイラスがこたえる。


 「はい。ここから街道を通り、西方の砦に向かえば、馬の足で半日もあれば到着すると思います。」

 「ここに来るまでそういった伝令を聞かなかったことから、ボトムス軍はまだ砦で戦闘は行っていないと思われますので十分に間に合うと思います。」


 続けてセバスがここに来るまでの情報にそういった進軍の情報がないことから、西方の砦ではまだ大規模な戦闘は起きていない事を推測する。

 それに加えフェルヴィオは、イグニアス王国の中でも一、二を争うほどの大規模戦闘に特化した戦い方をする魔導士である。そのことは、諸外国であるボトムス王国も知っているため、フェルヴィオが国境沿いの砦に現着しているのであれば、まだ戦闘は起きていない事も予想することは出来る。


 「それならうちの軍も・・・と言いてぇところだが、条約の関係上それは難しいか・・・。」


 そう。今回の条約は、どこの軍も国境を跨がせないことが前提条件であるため、イグニアス王国へベルディア公国の軍隊を招き入れることは、あまり好ましくない。それこそ、ボトムス王国へ戦争を助長させかねない。

 軍隊ではない自警団や天馬騎士団は国境を超えることが出来るのは、いわゆるグレーゾーンにあたる。


 「その代わり馬をやろう。それくらいなら構わんだろう?」


 ジダレイニスのウィンクにアリシアは、精一杯頭を下げる。


 「じゃあ、あんたも行ってきな、うちに置いてやった恩返しだと思ってさ。」


 そう言いながらシャシュナンは、後ろに立っていた仮面の剣士の背中を押す。スフィアやサイラス、ダンケル以外にとっては、初めてのアレクと同じ黒髪の剣士。誰もが驚きはするものの、非常時であるため深く話すことは無い。


 「何から何までありがとうございます。このご恩は・・・。」

 「いいってことよ。こっちもバルダームには、平和であってほしいからな。」


 『武王』という、勇壮な名前に関わらず、ジダレイニスは、以外にも平和を望んでる。それは、シャシュナンの考えかもしれないが、そのことにアリシアは、心から嬉しく思う。自国以外にも、自身の夢。バルダーム大陸に平和をもたらそう考えている人がいることに。


 仮面の剣士は、一切言葉を発さなかあったが、どうやらついて来るようでジダレイニスの命令で用意された馬の一頭の上に乗る。

 現状、馬を持っているのは、サイラス、セバス。ペガサスがフィルビアの持つ一頭だけだ。そこにジダレイニスが、四頭の馬を用意してくれた。


 「では行きましょう。」


 サイラスの後ろに跨ったアリシアが出発しようとした時、アレクが。


 「ちょっと待ってくれ。アリシア。このまま、西の砦に行ったら駄目だ。」


 戦闘時以外には優しい口調のアレクが、珍しく強い口調でアリシアを止める。他の自警団員も出発のための準備は終了していたため、いきなりのアレクの発言に動揺を隠せない。その中でもやはり、自身の乳兄弟であるフェルヴィオの危機が差し迫るリズベルの心中は穏やかではない。


 「どういうこと!?アレクさん。早くいかないとフェルヴィオが・・・。」

 「いや。救援には向かう。でも、全員じゃない。」


 アレクは、自身の持つ考えを事細かに話す。それを要約すると、このタイミングでの国境への進軍することで、自警団が外国に行っている今、王城にいる天馬騎士団を動かすための策であること。その隙に、王都付近の出の騒動、もしくは、王都自体、つまりメリンダを狙った作戦の可能性を指摘した。

 いくら平和を愛するイグニアス王国の国民と言えど、メリンダを暗殺されては、穏やかではいられない。それほど愛される国王。ボトムス王国は、どのような手を使ってでもイグニアス王国と戦争がしたいのだ。


 「・・・確かにこのタイミングで同様の伝令が伝えられれば、王都では天馬騎士団が動かざるを得ないですね。」


 自警団へ同様の伝令が伝わっていることを知るすべがあれば、そう言った事は起きないのであろうが、現状、そう言った確認手段は存在しない。しかし、


 「その可能性があったとして、西の砦を捨てるのは・・・。」


 サイラスの言う通り、可能性的には本当に進軍してきている可能性も五割。


 「ああ。だから、少数精鋭で王都に戻ってもらおうと思う。サイラス、アリシア、セバス。後、ダンケルとスフィアも頼みたいんだがいいか?」

 「そんなに戻って西の砦は大丈夫なのか?」

「ああ、フェルヴィオもいるし、予想では天馬騎士団も数人来るだろうしな、問題ない。」

 「おら達はどうしたらいいべ?」


 今までの会話の中に全く登場しなかった、戦えないセベとシャノン。現状、どちらに向かっても同じこと何のだが、


 「できれば、オレ達についてきて欲しい。魔力を回復できるすべがない以上、シャノンとは離れれたくない。」


 アレクにとってシャノンの薬草からできる薬のみが、魔力を回復する唯一のすべだ。街でそういった薬が無いか探したのだが、簡単には見つけることが出来ず、彼女と離れた場合、魔力が尽きてしまったときに戦えなくなってしまう。

 シャノンが行くということは必然的にセベも同行したがるわけで、セベとシャノンはアレク達と共に西へ向かう一団に入る。


 

 かくして、アレクの意見に賛否はあったものの、一応はその方向で方針は決まる。

 アリシア、セバス、サイラス、ダンケル、スフィアの五人は、先んじて王都に向かい。アレク、フィルビア、ピリア、リズベル、セベ、シャノンと仮面の剣士の七人もイグニアス王国の国境に存在する西の砦へ向けて歩みを進める。


 「じゃあ、行こうか。」


 馬に跨り、先陣を切ろうとアレクが馬の腹をける。が、


 ドスンッ。


 盛大に馬上から落ち、奇麗なしりもちをつく。幸い、後ろには誰も乗っておらず、馬からの追撃も受けることなくアレクは立ち上がる。

 そんなアレクにため息混じりに仮面の剣士は近づき手を差し伸べる。


 「後ろに乗れ。私が先導する。」

 「・・・悪い。そうしてもらえると助かる。」


 同様に馬の操縦が上手ではないシャノンは、フィルビアの天馬に、セベはリズベルの後ろへ乗る。フィルビアが操縦がうまいのは知っていたが、リズベルやピリアが同等に馬の操縦がうまいことに乗れないアレク達は驚きを隠せない。

 ピリア曰く、


 「貴族として馬に乗れるのは当然なのー。」


 らしい。


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