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僕は僕の影武者  作者: みなみ 陽
七章 僕と影武者
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捜索

―庭園 夜―

「まだ、見つからないのか?」

「申し訳ございません、百人規模で探しているのですが……これ以上は来客者の護衛や城の警備が……」


 何度か顔を見たことがある隊長格らしき男性が、申し訳なさそうに言った。


(城の警備って……何度もおじさんが入って来てるのによく言うよ。護衛は仕方ないにしてもさ)


 三十分程、武者達が城中を捜索しているが、見つかる気配はない。ゴンザレスが外出した形跡はなかったのだから、間違いなく城にはいる筈なのだ。ゴンザレスはまだ飛ぶ魔法が使えない。

 城から正しく外出するには、城門を通る必要がある。城門を通れば、そこで見張りをしている者に気付かれる。

 

「そうかい。じゃあ、ゴンザレスが最後に目撃されたのはいつだ?」

「えっとですね。式終了後にこちらで一度、使用人が目撃しております。その時の様子は、暗かったのでよく分からなかったみたいなんですが、ただ胸元が緑色に光っていたとか」

「あの、首飾りか……」


 あの首飾りは、闇の中でも目立つようだ。あの首飾りに僕は何か違和感を感じている。最初見た時首飾りの宝石は、宝石であるとは思えないほど輝いていなかったのに。最近は、宝石とは思えない輝きをしている。


(まるで電気だな……)


「あと……話しかけても返答がなかったと言っておりました。普段だったら、馬鹿みたいに元気良く返してくれるのに、と」

「無視って事か……まぁ、確かに珍しいな」


 ゴンザレスは、機嫌が悪くても一応会話はしてくれる。無視なんてしてきた記憶がない。それに今日も明らかに様子は変だったが、普通に向こうから話しかけてきた。

 普通の使用人に話しかけられて無視と言うのは、らしくないと思う。


「状況は分かったよ……じゃあ、僕も少し探しに行こうかな。ここで突っ立っていてもアレだし」

「ですが、巽様のお手を煩わせる訳には……」

「そう? その割には、僕が探しに行こうかなって言った時の顔明るかったよ」


 僕は、彼に笑顔を向ける。


「申し訳ございません……」


 彼は、恥ずかしそうに肩を落とした。


「意地悪を言ってごめんね。でも、君達に余計な仕事を与えたのは僕だから。そのお詫びも兼ねて僕も探すよ」

「感謝申し上げます……」


 暗い表情で明らかに落ち込んでいる彼を後目に、僕は城内へと向かった。


(彼も分かりやすい人だね。僕が言えたことではないけど)


 城内も、やはり沢山の武者達がいた。使用人の女性達が不安そうな顔で、その様子を見ている。無理もない、こんな光景異常以外の何物でもないのだから。


(ゴンザレスがいそうな所って言うより、捜索の手があまり向いていない所がいいかな。彼らの思考だから、人が多い所を最初探してるんだろうな……となると、中で人がいない所は、あそこしかないか)


 脳裏に浮かんだのは、僕とおじさんが何度も何度も会っていたあの場所だ。しばらくは用がなかったから行っていなかったが、可能性はあるだろう。

 しかし、いい思い出など一つもないあの場所に行くのは気が引ける。何なら、用があっても行きたくない。


(探すって言ったから、探さないとね……)


 僕は視線を感じつつ、あの空き部屋へと向かった。

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