三人組
―使用人棟桜の間 昼―
僕らは小鳥の誤解を解く為、急いで小鳥の後を追った。あの誤解が発生してしまった後、すぐに美月を起こして部屋を出たのだが、既に彼女の姿はなかった。
目撃証言を辿って、桜の間まで来たのだが三人の使用人見習いがお茶を楽しんでいるだけで、そこに小鳥はいない。かれこれ探して数時間は経った。こんな広い場所でたった一人の人物を見つけ出すのは、難しいということだ。
「いないね」
「はぁ……どこにいるんだろう」
(廊下で使用人から仕事を頼まれて、その仕事の為に百合の間へ行って……そこで、同じ見習い仲間から小鳥に用がある子がいるのを聞いて、その子がいるここに来た。で、今度はどこだ?)
五階から三階、三階から使用人棟一階にある桜の間。流石にこの距離を、急いで移動するのは色々辛いものがある。
「とりあえず、あの子達に聞いてみましょっか」
疲れを見せず、というより疲れていても分からない美月が先陣を切って、彼らに話し掛ける。
「ねぇ」
彼らは、僕と美月がいるのに相当驚いたのか硬直してしまった。場の空気も一緒に凍りついたように感じた。無理もない、本来なら僕らがここに来る必要性なんてないから。
「ちょっといいかな」
僕がそう言うと、一人の少女が急に立ち上がった。
「自分達は反対してないです!」
その少女の手は震えていて、他の子達の顔も強張っているように見える。
「え?」
(一体何の話だ?)
理解出来ないでいると、美月が僕の耳元で囁いた。
「睦月達のこと。連行されるって勘違いしてる」
(嗚呼、そういうことか、何で急に? 僕が来たから、自分達の意思を伝えようと思ったのかな?)
「ハハハ、僕は別にそのことの為に来た訳じゃない。全然違う用事さ」
凍りついてしまっている空気を和ませる為、必死に笑顔を繕う。
「ふぇ!? あ、そ、そうなんですかぁ……あはは~」
力が抜けたかのように、先ほど立った少女は椅子へと座った。
「そ、それで、どうしたんですか?」
眼鏡を掛けた真面目そうな少年が、満面の笑みを浮かべて言う。
「小鳥、ここに来なかったかい?」
「こ、小鳥さんなら、昼ご飯昼ご飯って言いながら少し前に、向こうに行きましたけど。どうしたんですか?」
この中で一番幼く見える少女が、震えた声で泣きそうな表情を浮かべながらそう言った。
(昼ご飯? 向こう? ってことは……)
絶望が、僕を包み込む。
「用があったんだ。探してたんだけど、結果的にここに辿り着いたんだ。僕の部屋に戻るけど、ハハハハ……」
美月が僕の肩に手を置いて言った。
「帰ろう」
「……嗚呼、じゃあね。皆、頑張って」
「「「はい!」」」
三人は仲良く揃って答えた。今まで頑張って彼女を探した時間は何だったのだろう。
よくよく考えてみればそうだった。冷静さを失ってしまっていたのだ。だから、こんなことにも簡単に気付けなかった。僕は力なく、美月は足早にここを後にした。




