Ⅴ
僕が会計でお金を払っていると頬に生暖かい液体が付着した
「あり?間違えた?」
謎の男が店員さんの頭を潰しているというよくわからない光景が広がっていた
イメージ的には潰れたトマトだ
台所から落としてしまった感じのアレ
潰れた眼球がめちゃくちゃリアルで脳味噌って以外に綺麗にとか
「うぶっ!」
僕の口から酸っぱいものがこぼれ、床を汚す
なんで、今このタイミングなんだ!?
「あー、やっぱお前かなー…」
そう言って、男が僕の身体を蹴りつけるとサッカーボールように飛んで行った
そして、店の中の椅子やら机やらでブレーキをかけるが全然止まらず壁に突撃する
「ありゃ?どれだっけ?」
あたりは一瞬静まり返った後、急に騒然とものすごい騒ぎになった
「お前かなー?」
男は適当に一人の女性客の首を掴んで持ち上げる
「嫌…… !」
女性客は手足をばたつかせるが男は鬱陶しそうに地面に叩きつける
「あと、三秒で出てこないとこの人死ぬよー」
男は腕を鳴らした
「はーい、さーん」
「ひぃ!?」
男の手が女性客に突き刺さる。
まだ、目に見える出血は無いが、今ならまだ間に合う
「ほら、次手遅れー。にーい」
「あっ……あ……」
男の手が明らかに何かをつかんだ
「じゃあ、出てこなかったヤツ恨んでねー。いーち」
「いやああああああああ!」
そして、赤黒い何かを引き摺りだした
腸なのだろうか?以外に綺麗な色をしていた
僕は耐えきれなくなった
「はぁ、つぎどーすっかな」
男は手に付いた血を舐めながら次の贄の品定めをしている
そして、次のターゲットを決めた瞬間僕は弾丸のように駆け出し、男目掛けて拳を振り抜いた
男の下顎が吹き飛んだ
だが、赤黒い繊維がそれを繋ぎ直し元の形に復元した
これは、不味い
「お前かよ」
「く…は…!?」
男は僕の首を掴み先程のように地面に叩きつけた
僕の背中に鈍い痛みが走り、口から空気が吐き出された
「じゃあ、始めるぜー」
そして、男の靴が僕の顔を撫でた
「んじゃ、遺言どーぞ」
ギロチンのように足が振りあげられる
次の瞬間にはあのトマトになるのか?
それは、すごく
「嫌だ!」
殺されてもいいが、こんな奴にはごめんだ!
次の瞬間踏みつけられるが咄嗟に腕を交差させて防御した
だが、上の方にした右腕がぶちぃ!と音を立て千切れたが男と同様に赤黒い繊維がつなぎ直した
「しつけぇ」
そして、何度も踏みつぶされるが腕でカードする
痛くて涙が出て来たが余裕だ
「うっぜぇ!」
そして、両腕が同時にちぎれ、次の瞬間には僕も死体の仲間入りだ
「ねぇ?」
振りあげられた足が僕を断罪する前に聞きなれた声が聞こえた
「私の友達何してるの?」
聞きなれた声、もとい雪羽がそこにいた
「ねぇ?」
雪羽の目には鋭い殺気が宿っていた
そして、次の瞬間には男の足が消えていた
「うっそー…」
雪羽のゾッとするほど冷たい声が耳を撫でる
僕にはそれが、怖くて仕方が無い
「君弱いね」
雪羽はほぼ一瞬にして男の両足を切り落として見せていた
最早、達人技だ
これでは、男が部が悪い
「じゃあ、死んでね」
そして、声を上げる間もなく男を斬り殺してみせた