Ⅱ
僕は悪魔となってしまった
人間ではなく、無残な殺人鬼
僕は自身が悪魔の悪意に飲まれて人を殺す様をイメージした
死体が転がっている中で高笑いをする僕
死体を貪り食らう僕
どれも気持ちが悪かった
そんなことをする前に
「…死ななきゃ」
僕は包丁を持って風呂場に向かった。そして、上着を雑に脱ぎ捨て浴槽に入る
そして、包丁を腹に向ける
「ふぅ……ふぅ……!」
荒い息が口から漏れ、その動作を人間的な本能が躊躇させる
笑わせるな薄汚れた悪魔が人間ぶるな
僕は腹に向かい全力で包丁を突き立てた
「ぐふっ!?」
口から鮮血が溢れた
しかし、もう一度腹に向かって包丁を突き立てる
何度も何度も容赦無く突き立てる
腹にある腸がぐちゃぐちゃになっていくのがわかる
それと同時に排水口が音を立てて僕の血を飲み込んでいくのが面白い
そろそろ死ぬだろう
僕は包丁を置き、腹の傷に目を向ける
「どう…して」
僕のお腹には傷などついていなかった
それどころか何度も切り裂いた腹から溢れた血液はさらさらと僕の身体に吸収されていき、最終的には僕の体は自殺を行う前のものに戻っていた
「ハハハ…なんだよそれ」
僕の左目には赤い紋様が走っていた
そして、右目からは涙が流れていた。しかし、左目には血のような赤い液体がこぼれていた
僕は悪あがきというように心臓に包丁を向ける
そして、一気に刺し貫こうとした
が、腕は動かない
『それはだーめ』
幻聴が聞こえた