表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Materialize World Online』  作者: 高須 白
6/35

6.遭遇

クロノは戦闘が終わるとミズキの元に赴いた

「悪い。何か流れで、バトっちまった」

悪びれる事もなく告げた

「・・・はぁ・・・」

覇気のない返事が返ってきた

「どうした?疲れた顔して」

「疲れてるんじゃなくて、急にいろんなことを聞いて理解が追い付いてないだけです」

「それはそれは、ご苦労様々」

気遣うわけもなくケラケラとせせら笑いをする

「誰のせいでこまってると思ってるんですか!」

「俺だな・・・元を正せばミズキが原因とも言える」

「ウッ・・・そこを言われると何も言えません」

歯噛みし、悔しげな表情を見せ、二の句も告げなかった

「それはそうと、この俺たちを囲むような人垣はどうにかならないのか?」

クロノはPvP終了以降、なぜか形成されている人垣がずっと気になっていた

「それは“光波”を倒したからです」

「“光波”?」

「“光波”のスズキーン。彼の“アーツ”ショックウェーブを見たβプレイヤーが付けた通り名です」

「へぇ~、だからアイツ頻りに「この僕が・・・、この僕を・・・」とか言ってたのか」

有名プレイヤーだからか・・・

「まだ、そんなこと言ってたのですか・・・痛いナルシストですねっ!」

ミズキらしくないキツイ言い方だ。

察するにβ時代に何かあったのたろう

「話変わるけど、これから何するんだ?」

当初、待ち合わせするくらいしか決めていなかったのでその後、どうするというがクロノの頭にはなく完全にミズキ任せである。

「そうですね・・・クロノ君ってギルドに入ってたことありましたよね?」

ミズキは、目をキラキラ輝かせて聞いてきた

「そうだけど?」

質問の意図は丸分かりだが敢えてとぼけることを選択した

「わ、私達のギルドに入りませんか!?」

「いいのか?新規プレイヤーがβテスターだらけのところに入って」

「何で、分かったんですか?」

「現状で誘うあたりはギルドには、βテスターだらけなのはすぐに分かる」

「正解です!ギルドホームもありますよ。それでどうしますか?」

ギルドに入るのはやぶさかじゃねぇ。ただ、相手に受け入れられるかが問題。まぁ、相手次第だな

「よろしく頼む」

「分かっりました~。ちょっと待ってくださいね~」

そう言うと指を動かし、始めた。

メールを作成しているんだろう

「―――完了!いざ、ギルドホームへ!」

ミズキに誘われるまま、武器、防具、アクセサリーなどのある通りを抜け出して少し、歩くと【宴】と書かれた看板の前で足を止めた

「ここか?」

「そうですよ~。早く、開けてください」

「ああ」

普通、こういう場合はミズキが開けるべきじゃ?

振り返り、ミズキを見ると不思議そうな顔をするだけだった

「失礼しま――」

扉を開けると・・・

 「待って!急にギルドを抜けるなんて聞いてない!」

オレンジ色のポニーテールにした女の子が、抜けようとする男に立ち塞がり説得中のようだ

「僕は言ったはずだよ?ミヤビ。「僕はいつでも抜けたくなったら抜けていいという条件」の元に入団し、それを君も皆も了承したじゃないか」

男は終始、笑ったまま話をしている

そういう条件なら、留まるのも抜けるのも自由だ。

そしてこの男への説得は無駄にだろうと直感的に悟ってしまった。次に目に付いたのは格好と雰囲気。白いコート、白い髪、先の尖った耳、蒼い目。その場にいるだけでなのに男の異質感に既視感を覚える

「でも・・・急すぎるよ!」

しばらく説得していた様子だったオレンジポニーテールは諦めたらしい

「ゴメンネ、僕は“鬼”から逃げないといけないんだ。またね、皆」

男がギルドを出て行く際、目が合った。視線を外すことができなかった

気づいた時には男の後を追って呼び止めていた

「待てよ」

「・・・君はさっき“光波”を倒したプレイヤーだったね。確か・・・“黒鬼”だったかな?」

普通、それは出てこない。昔のメンバーじゃなければ・・・それに

この話し方、無意味な笑顔・・・

「久しぶり、シロ」

「久しぶり、黒利。元気そうで何よりだね」

「お前もな」

「シロじゃなくて、今はハク」

「俺も黒利じゃなくてクロノだから」

「そういえば、君は今回も鬼になる気なの?」

さっき、スズキーンも鬼が何とかって言っていた・・・まさか、

アレがこのゲームに?

「アレがこのゲームにあるのか!?」

「人族限定イベントの専用クエストをクリアすれば取れるみたいだよ」

「知らなかった」

「公式サイトに掲載されてたけど見てない?」

ハクから哀れみに満ちた視線が突き刺さる

「見てない!とりあえずその哀れみたっぷりの目をやめろぉぉぉぉ!」

「しょうがないなぁ。じゃあ・・・」

小馬鹿にした笑みを作った

「そういう問題じゃねぇ!」

「クロノは僕を困らせて何が楽しいの?」

不思議そうに首を傾ける

「俺のセリフだ!」

コントする気ないんだけど・・・

「そろそろ、行くよ。「宴」をよろしく」

「人に頼むなら抜けるな」

「さっきも言ったはずだよ?「鬼から逃げる」って・・・もう一度、君と戦いたいから今は逃げるんだよ」

ハクは後ろ手に右手を振り行ってしまった

さぁてギルドに戻って、挨拶からし直さないと・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ