4.戦闘準備?
DUELが申し込まれました
≪スズキーンさんから全損決着申請されました≫
≪かとーうんさんから初撃決着申請されました≫
DUELには全損決着と初撃決着の二種類がある
簡単に言えば、全損決着はHPがゼロになるまで戦う。初撃決着はどちらが先に攻撃を当てるかで勝敗が決する簡易のDUEL。大抵はこれを選ぶ。理由として、“デスペナルティー”それが主な理由だ。デスペナルティーを受けると経験値が約30分ほど半減する。フィールドの場合は、近くの町に強制転移、経験値半減、フィールドで獲得したアイテムの損失など受けたくない効果ばかりだ
「いきなり、DUEL申請受けた。初撃と全損」
「何、してるんですか!ゲーム開始早々デスペナ受ける気ですか?バカですか?」
ミズキは俺の状況を理解した上でバカ呼ばわりした
「うるせぇ、勝てばいいんだよ!つーか、何で全損受ける前提なんだよ」
「え、違うんですか?」
「・・・合ってるけど・・・」
≪クロノさんがスズキーンさんのからの申請を受けました≫
表示が消えた瞬間、二人を中心に薄い青色のフィールドが広がった
「よく、受けたね。僕が何者か分からず、受けたことを後悔させてあげるよ」
鎧男もといスズキーンが武器を構え悪役っぽく言った
「知らねぇよ。てめぇが何者だろうがぶったおす」
クロノは武器を取りだし、左側に刀を差し、反対側に銃装帯を装備した
「構えないのかい?余裕だね」
その口振りは明らかに煽っている。しかし、構えたまま敵だけ見つめ、臨戦態勢を維持し、一向に緩める気配はない
思ったより、慎重な奴だ・・・
「てめぇくらいの相手なら構える必要がないくらいには余裕だ!」
クロノは仕返しに煽り返した
「・・・元βテスターを嘗めない方がいい!!」
口調は変わらないが、表情は隠せないらしく、虎の尾を踏んだようだ
「ハッ、嘗めてねぇよ!元テスターがどうした?精々、武器なり防具なり、スキルなりがちょっと公式スタートプレイヤーよりも高いだけじゃねぇか。嘗めてるのはてめぇだよ!スズキーン!」
軽い煽り合いから、口論に変化し始めようとしたところ、
キーコ、キーコ、キーコ、キーコ
突然、フィールド内に音が響いた。
クロノはその方向に首を傾けると、見知ったというより・・・早い再会だった
その人物は、三輪車を漕いでクロノとスズキーンの間に着くと三輪車から降りて言った
「ハロ~。さっきぶりだねクロノくん。初めましてスズキーンくん。ボクはフェリ、このサーバーの管理者。所謂、GMだよ」
と軽い自己紹介をする管理者
「・・・フェリ」
「なにゅぃぃぃぃ~!!」
フェリは呼び掛けに応えようとして後頭部から蹴り飛ばされた
犯人は有言実行しただけだった
「うら若き乙女の後頭部を蹴り入れるなんてなんの恨みがあるのさクロノくん!」
「ないけど?」
「理不尽!」
「お前の言うことはどうでもいいとして、何で割り込んできた?」
「二人に許可してもらおうと思って」
だいぶ、話がぶっ飛んでいた
「話を省くな。ちゃんと説明しろ」
「えっと・・・公式スタート早々、初PvPがこのサーバーで一番始めに起きるからそれを全サーバーに向けて流そうと思って、二人に許可を貰いにきたんだよ。どうかな?」
知り合って間もないけど、常識があったのか
「俺は構わねぇよ」
スズキーンに視線を向けると無意味に首を上下に動かしていた
「よし!ウェブカメラオン、および、全サーバー接続完了」
パラボラアンテナの付いた球体が数個出現し、電工掲示板にスズキーンとクロノが映っていた
「これで負けたら晒し者だな」
わざとらしく、スズキーンに視線を向ける
「それは僕のセリフだよ」
スズキーンも負けじと視線を返した
二人の間で目に見えない火花が飛び散る
「盛り上がってきたね~!そろそろシステム制限解除しちゃうよ~」
「早くしてくれ」
「ほいっ!解除完了。またね~」
フェリは霧の様に消えてしまった
≪DUELシステムが再開されました。カウントを開始します。3、2、1≫
≪スタート≫