30.準備完了
イベント進行から二日後
「なぁ、エミル」
「そんなに改まった顔して何かしら?楽しみだわ」
俺は頼みごとをするためにエミルをギルドからNPCの経営する喫茶店に連れ出し、交渉という名を借りた買収しようとしているところだ。と言っても一度、引き受けてもらったことのある頼み事なのだが・・・同じことをまた頼むのも悪いから事後承諾で製作してもらおうってだけなんだけど・・・今日はなぜかいつもより機嫌よさそうなので大丈夫だろう
【第一次:人間やめますかの以下の項目が解除されます】
・イベントの条件が達成されたことにより大鬼の出現がなくなりました
・状態異常ポーションが使用できるようになりました
・イベントアイテム:鬼の角、鬼の血、鬼の肉は大鬼が出現しなくなることによりドロップがなくなります
【第一次:人間やめますか クリア条件について】
・己が身を対価に異界の門を開く
・鬼人を斃し、その身を喰らう
「とりあえず、このメールを見てもらったら分かると思うから説明は省く。前回と同じで作ってくれ」
「貴方が誘うから何かと思ったけどやっぱりそれなのね・・・やっぱり・・・まぁ、いいわ。それで素材はあるの?」
店に入ってから機嫌よさそうにしていた表情を露骨に曇らせ、いつものクール?な態度に戻ってしまったけど頼み事は聞いてくれるらしい。
「一応、前と変わらなきゃこれで足りると思う」
ウィンドウを開き、素材をエミルに送る
・神木片×69
・鬼の角×98
・鬼の血×96
・清められた紙×7
≪クロノさんがエミルさんに素材を渡しました≫
「ずいぶん、集めたのね。これなら十分あると思うわ」
ウィンドウで確認して満足そうにエミルは小さく頷く
「昔の記憶を頼りに集めたかいがあった。素材が余ったら好きに使ってくれ」
イベントのメールに必要な素材が一つも書いてなかったから苦労した!素材屋行ったらイベントメールが来て鬼関連の依頼が発生してることが分かって報酬でどっさりと神木片と清められた紙が手に入ったからいいけど・・・メールが来ないから運営の嫌がらせかと思ったよ
「ずいぶん苦労したようね・・・顔に出てるわ。今回はそれに免じて早速作ってあげる。すぐにできると思うから必要なモノを揃えてギルドに来なさい」
「悪い、助かる。できるだけ早くギルドに向かうようにする」
「別にいいわ。私は組合の方で作ってからギルドに行くから貴方と同じくらいに着くと思うわ」
「了解」
話が終わるとどちらかということもなく立ち上がり二人は喫茶店を出て、直近の用事を済ませる為に別れた。ちなみに茶店の払いは当然クロノである。
「よう。今、戻った」
「おかえりなさい。エミルさんとのデートはいかがでしたか?クロノ君」
俺、悪いことしたかな?ミズキが無駄に良い笑顔で声音だけ冷たいんだけど・・・
「ミズキ、俺はデートじゃなくて賄賂送って交渉という名を借りた買収をしただけだ」
「それだと悪どいことしてるようにしか聞こえないよク~君。おっかえり~」
冗談目かしの軽口を言い、出迎えるギルドマスター
「腹の中は真っ黒だから悪どくて正解よミヤビ。ミズキ、この男が私のような美少女をデートに誘った日には雨の代わりに槍が降るわ。あら、私の方が早かったみたいねクロノ」
「・・・みたいだな」
ついで感たっぷりに最後に俺を出すな!絶対、気付いてて後に回したな。それとお前の方が腹黒いだろ
「・・・良くないことを考えてると渡さないわよ」
「すいません、ごめんなさい。渡してください」
≪エミルさんがクロノさんに例の物を渡しました≫
「・・・サンキュー。仕事が早くて助かる」
それよりも例の物ってそんなに怪しいモノじゃないんだけど
「このシステムアナウンスって何でこんなに個性的なのかしら?」
エミルも同じ疑問を持っているみたいだ
「システムにAIが組み込まれてるんだろ」
適当に返答を返し、ウィンドウをから、例の物を一つ、その場に実体化させる。
「・・・な、何ですか!!!この気持ち悪いモノは?」
ミズキはそれを見て、引いてる
「見て分からないのか?日本のどこにでもあるものなのに・・・」
まぁ、天井に届きそうなくらい高いし、色合いがちょっとな・・・気持ち悪い
「・・・ク~君、さすがにそれはミズキでも分かると思うよ」
ミヤビが苦笑気味に返す
「ただいま~おおおっ気持ち悪!!!心臓に悪いぜクロノ」
エンはそれを見ておっかなビックリな反応を示す
「悪い。気にすんな」
「頑張れよ」
一人納得すると、エミルに話し掛けに行った
「エンさん驚きはしましたけど、これを見たことあるんですね」
「そりゃ、鬼の宴出身者は経験済みの鳥居型転送陣だ」
普通の鳥居と違って鬼の血を染料に使ってる影響で血管みたいな筋が鳥居全体を走り、見た目にも赤黒く染め上げられてるから尚の事、気持ち悪い
「ということはエリアボス用の転送陣の役割を担うモノでクロノ君は今からイベントボスを倒しに行くところですか~まぁ、頑張ってください。神様の力を得たわ・た・しには遠く及ばないでしょうけど~」
「そうだな。ちょっと、鬼人を喰いに行って来る」
神様のお使いイベント終わったらしくドヤ顔で調子に乗るミズキを尻目にクロノは鳥居に近づき、転送陣を起動させると何の躊躇もなく飛び込んで行った




