22.ボス戦
「ソロでボス殺したかった・・・」
俺は今、ギルドメンバーとパーティーを組んで北の草原の転移魔方陣にいる
「・・・ク~君、君がいくら強くてもギルドマスター命令で一緒に倒してもらうからね!」
本音は勝率上げたいのとタゲ稼ぎ要員が減るからだろうな。うちのマスターは弱虫で保守的な奴だから
「分かったよ」
あとは単独行動まっしぐらで第2都市を満喫してるコウに追い付きたいしな
「よ~し、皆行くよ!」
「頑張ります!私一人で倒しますよ~」
「たまには頑張ろうかしら」
「ボスの首は俺が取ってやるぜ!」
「斬りつけて、好きなだけ穴を開けてあげる!」
「大所帯で殺るのはリンチだよな」
ミヤビの掛け声にまとまりなく皆が答えて、光る魔方陣に吸い込まれていった
ここがボスフィールドか。回りを木々が囲んでいる以外はとくにこれと言って何もないな。その真ん中にいるのが“エメラルドロックベア”・・・体毛は黄色く、身体の至るところからエメラルド色の岩みたいなのが隆起しているのが特徴の熊さんらしい(ラピス調べ)
「強そうです。どうしましょうクロノ君」
ボスを見ておろおろし始めるミズキ。さっきの勢いはどこにいった!一人で倒すんだろ?
「見かけ倒しだから対したことない。だから思いっきりぶっ放てばいい」
「じゃあ、フォローお願いします」
「お前は武器的に後方支援だからそれは俺のセリフな」
ボケた発言に即座にツッコミを入れる
「そ、そんな~前に出たいですよ~」
「ミズキはあたしと支援だよ♪ク~君とアオヒメは自己判断で、エンとエミルは壁役でよろしく」
グギャォォォオオオオオ
気づかれたか、ハチミツはまだ取ってないからな!
森の熊さんは雄叫びをあげた後、猛ダッシュで俺目掛けて突進してくる
「やっぱり森の熊さんって思ったのダメだったかな?」
迫りくる獣を氣術で強化済みの足で止める
「エエエ~止めてる!ナイスだよク~君そのまま5分キープ」
「無茶言うな!あと5秒もしない内に突き飛ばされるから前に全員出るなよ!ミズキはミヤビの護衛、ミヤビは魔法で攻撃、エン、エミルは側面から攻撃でタゲ稼ぎ、アオヒメは後ろに回って首を攻撃でよろしくぅぅぅ」
指示を飛ばして自らも突き飛ばされる
熊さんは再度、喰らわせよう突進しかけるが背後や側面からの攻撃でタゲが変わり事なきを得る
「っと!一応の指示通りにしてるとは言えうちのギルドは回復役がいないから崩れたら止まらないだろうな」
「起き上がったならさっさと前線に復帰なさい」
「了解」
走りながら投げナイフを取りだしては浮かせて、ミサイルのように射出させ続けて前線をフォローする
「人の作ったモノをたちの悪い使い方するのね」
「斬弾数に制限があるのが欠点だけどな」
さっきのでHP残り半分ってところか流石はSTR依存投げナイフ!恐ろしいなぁ~
グギャオオオオオ
その雄叫び声とともに四足歩行でから二本足で立ち上がり、二足歩行に切り替わる
「皆、エメラルドロックベアのパターン変わったよ!注意して!!!」
ミヤビから注意が促される
「そいつのタゲ稼ぐからその隙に降りて支援頼むアオヒメ」
「了解」
アオヒメは小さく頷き、タイミングを計り始める
クロノは身体から赤と黒のもやを噴出させながら接近し、腹をそのまま深く斬りつける。すると、熊は仕返しとばかりに腕を振り上げて鋭い爪で襲い掛かるがそれを読んでいたかのように身体を半歩ずらして斬りつけて距離を取る
「何したらいいの?」
その隙に熊からくるくると三回転を決めてクロノの後ろに着地し、指示を仰ぐアオヒメ
「上半身を斬りつけて赤く染め上げてやろうと思ってな。それを邪魔されないようにある程度のタゲ稼ぎだ」
「・・・血に染まった熊さんがファンタジーなキャラを彷彿させるのは気のせいよね?」
「・・・さぁ?気のせいだろ」
口許をニヤリと歪ませて答える
「好きだったのに~グロいモノ想像させるなバカ!」
「だったら想像しなきゃいいのに・・・!」
ナイフを一本取りだして左眼に投げつける
ザクッ
ガァァァアアアァァァァ!!!
片目に突き刺さったナイフを引き抜き、残った眼で射殺さんばかりに睨みつける
怒ってるな~明らかに狙われてる
「来い、毛玉野郎!てめぇの赤い服作ってやる」
挑発的に切っ先を向けて手招きをする
熊さんもそれを理解したのか?そのまま一直線に向かい、腕を振り下ろすが躱され、地面を抉るだけで一太刀浴びせられ、再度仕掛けるがまた一太刀と繰り返し、傷を負う度に黄色い体毛が赤く染まっていく
「最低、有言実行しないでよ!」
アオヒメの目には赤黒い服のようなモノが写っている
「思ったよりグロい!するんじゃなかった」
「アンタは言う権利なし!せめてキッチリ始末つけなさいよね」
「無益な殺生は好きじゃないけど・・・殺すか」
「どの口がそれを言うかって嗤ってるじゃない・・・」
「気のせいだ。それより熊さんの体力残りあとわずか“技”か“魔法”を一撃喰らわせれば終わるから・・・皆で競争しない?」
「それは面白いね~ク~君」
「ラストアタックこそ私の見せ場です!」
「貴方、たまには面白いことも言えるのね」
「側面からの攻撃に飽きてたから乗った!」
「アンタって競争とか戦闘とか好きよね。しょうがないから付き合ってあげる感謝しなさい」
「じゃあ、やるか!」
皆はや!でもやな予感がする
クロノの声を合図に魔法使いは呪文を唱え、それ以外の者は一斉に駆け出し、熊に近付く直前、青い光を武器に宿して各々が異なる技を発動させる
「「「「アーツ」」」」
「大気よ、我が手に集まりて収束せよ!」
ギガァァァァァアアアア!!!
それらを打ち砕くように最後の咆哮が襲い掛かる
「は?」
「・・・?」
「なんで?」
突然の咆哮に発動中の行動を無効化され、一同に困惑の中に動けなくなる中で熊は無情に追い打ちを掛けるように暴腕を振るうがそれは弾かれて怯んでしまう
「お前達、バカか?ボスが体力僅かで何も仕掛けてこないわけねぇだろ!“氣術・武器強化”アーツ・首刈」
その隙に首を斬り飛ばし、全ては光に消えた
【第一都市ボス討伐おめでとうございます。第二都市メイプへの転送陣を解放します】
ボスを倒すとシステムからのアナウンスが流れてエリアの奥で煌々と光るゲートが見え、あらためて倒したことを一同は実感する
「ボス倒した~さっきはちょっぴり危なかったけど、ク~君のおかげだよ!君が入ればあたしの活躍がなくなるけどいいさ~」
それでいいのか?ギルドマスター
「先程はありがとうございました。次こそは私の本領発揮です!」
働かない人のセリフ思い出すけど気のせいだよな?ミズキ
「ごめんなさい。素材欲しさに先走ったわ」
生産職の性から抗えないのか?エミル!
「チキショー油断したぜ!クロノに美味しいとこ全部持ってかれた」
油断しすぎだろエン
「悔しい、悔しい!私が引導を渡したかったのに」
そんなに熊さん好きだったのかアオヒメ
「お前らの話は後で聞くから行くぞ」
「「「「「は~い」」」」」
皆でゲートをくぐり抜けて第二都市メイプに到着する
「今回はアラビアみたいな都市か。あとは変化ないな」
広場から辺りを眺めて呟く
「一人で黄昏てるところわるいのだけれど貴方、置いてかれるわよ?」
「何が?」
「第二都市のギルドホームに皆で行くのよ。ほら、呼んでるわ」
「ク~君、エミル~、ギルドホーム行くよ~」
二人の遥か前方で大きく手を振っているミヤビが見える
「そうみたいだな」
「早くなさい!」
のんびりしている俺に焦れたのかギュッと手を掴み引きずるように連れて行くエミル
「離してくれ、腕が痛い。自分で歩ける」
「ゆっくりしてる貴方が悪いわ。それに・・・」
「何か、言った?」
「気にしなくていいわ。人の話はちゃんと聞きなさい」
「ハイハイ」
最後に言った言葉は聞き取れなかった反省の意も込めて、おとなしく連れていかれる俺だった




