2.ログイン
―――気がつくと、真っ白で何もない空間に俺の意識だけがあった。目の前には、どこかの音楽隊みたいな衣装を着たツインテールの女の子がいた。きっと、ナビゲータAIだろう
「ようこそ、「Materialize Would Online」の世界へ私は担当のフェリと申します。まず、アバターを作ります・・・・・・すでに既存のアバターがあります。ご使用しますか?」
既存のアバターは別のゲームで使っていたモノだ。容姿は今の俺そのもの、違う点があるとするなら現実では黒い眼を紅い眼に変えているだけだ
使用しますかYes/No?
イエス
――――ロード完了。同期しました
「次に種族を選んでください」
種族は大まかに分けて「人族」、「獣人」、「エルフ」、「魔族」、「機械族」の5種類。それがベースだが細かく分けると
「人族」
ヒューマンとディーマン
違いとしてはヒューマンはオーソドックスな平均型ステータス。ディーマンはSTR、INT、AGIが高く、DEF、MINが著しくに低い
「獣人」
STR、DEF、AGIに特化しそれ意外のステータスの低い種族。選んだモデルの動物によって多少はステータス差がある
「エルフ」
白エルフはVIT、MINに特化し回復、防御の補助魔法を得意とする
黒エルフはINT、STRに特化し攻撃系魔法を得意とする
「魔族」
STR、VIT、INT、MIN、AGIが非情に高く、
DEXが恐ろしく低い
「機械族」
STR、AGI、DEXが非情に高く、
INT、MINがない
俺は五種族の内、「人族」のディーマンを選択した
理由として「力を渇望し魔族に魂を対価に魔を信仰し、人を捨てた人間」その説明に魅かれた
「種族は「人族」のディーマンでよろしいですか?Yes/No」
ウィンドウの選択肢をYesをタップし、種族選択が終わった
――――次にステータスを振り分けてください。やり直しができませんのでよく考えて、使い切ってください
ステータスの割り振りポイントは120ポイント。振り分けられるのはSTR,VIT,INT,MIN,AGI,DEXの6つ。
このステータスの振り方と種族の傾向を考慮して振るのが一般的でそれによってそのアバターの成長傾向が決まると言っても過言ではない。中には変に偏った振り方をする人もいるみたいだがある意味それは賭けと言っていい。例えば、全てポイントを一つだけに注ぎ込む“極振り”スタイルをした場合、それ以外のステータスの値は0になりレベリングで得られるポイントは0以上の値がないと振ることが出来なくなくなるという仕様なのでそれだけは余程の自信がないとできない。ちなみに俺は後者に部類する変わり者だが・・・まだマシだと思う。
STR:50
VIT:5
INT:5
MIN:5
AGI:50
DEX:5
オカシイな両天秤。STRとAGI特化のステータスになってしまったけどいいか。あとはスキルでカバーできるだろう
――――ステータスの振り分けは終わったようですね。では、次にスキルを五つ選んでください
イエスorノーが出てないな。制限時間でも密かにあったのかそれともAIじゃなくて・・・
スキルが選べるのはステータスの値によって依存してるとはいえ、俺の場合は選べるのがSTRとAGIに偏ってるから選べるの少ないんだよなぁ。
「生存本能」:即死級のダメージでも必ず、1だけ残る:PS
「疾走」 :遠距離系武器AGI+10% 発動時間60秒:AS
「危機察知」 :攻撃の軌道が見える:PS
「決死の一撃」:HPが1になるダメージ受けるまたは1なる行為をした時、強制的に
STR,AGIが25%上昇 発動時間、戦闘行為終了まで、回復不可:PS
「討刃」:近接系武器STR+10% 発動時間60秒:AS
選ぶとやっぱり特化したのが目立つな。一歩間違えば即死する!
――――スキルは選び終えたようですね。次は武器と服装を選んでください
また、イエス/ノーがなかったなぁ~先に武器から選ぶか。武器って幾つ装備できたっけ?
幾つできるか思い出そうと思い巡らしたけど思い出せなかった・・・聞いてみるか!
「聞きたいことがあるんですがいいですか?」
つい知らない人には敬語を使おう精神で使ったけど相手、AIじゃん!いらん気遣いした!
「ひゃい!ど、どのようなご用件でしょうか?」
急に質問をされてテンパるAIフェリ?
「・・・」
AI・・・だよな?
最近のAIは進歩してるなぁ。昔はもっと機械的で表情も乏しかったのに・・・人間とほとんど変わらない反応を示すよな。人間・・・人間と言えばこのゲームって製作者が一部のプレイヤーを担当するっていう噂があったなぁでもそれはほとんどがβ(ベーター)テスターが当たっていて俺みたいな一般プレイヤーを担当するってことはないって言われてるけど・・・まさか・・・な
「武器っていくつ装備できる?」
「・・・最高、二つ装備できます。それ以上はできません」
「あと、もう一つ。全部選び終えた後、最初からやり直すことはできる?」
「できません」
ご丁寧に指でバツじるしを作ってくれた
たぶん、AIのフェリに礼を言い、表示されている武器を眺めた
近接系は大剣、長剣、細剣、刀、短剣、両刃斧、槍、鉾、三節昆、鉤爪、鞭、扇etc・・・
遠距離系は錫杖、長杖、短杖、銃、双銃、大砲、ライフル、魔導書、銃剣、弓,遠隔リモコンetc・・・
せっかく、二つ装備できるし近接系と遠距離系の両方選んでプレイがいい!
メインウェポン:古い刀 STR+50
サブウェポン:錆びた銃 AGI+50 STR+20
刀はSTR依存なのは分かるけど、銃は何でAGIなんだ?・・・まぁ、いいや
服装って言われたけど防具だよな。大まかに分けると「軽装」、「重装」、「呪衣」「服」に分けられる。
初期装備は「呪衣」以外は着けられるみたいだ。「呪衣」は主にMINが高くないと装備できないからいいけど要求値20は魔法職とか選ぶエルフかヒューマンが上げてるくらいか・・・さてっと選ぶか!
今、あるのは・・・
皮の鎧、銅の鎧、布の服、絹の服、旅人の服、忍装束、アロハシャツ、コート、タキシード、学ラン、
着ぐるみ、執事服(仮)、メイド服、バニーガール、ナース服、ボンテージ、ギャグボールと目隠し・・・
最初はファンタジーありきのモノなのに何で、後半に行くにつれてどんどんコスプレに走るんだよぉぉ!
最後の選ぶ奴いたらただのネタか、本気で変態のどっちかだよ!
とりあえず、俺はあえてカテゴリー上「服」に当たる“コート”を選択した。すると上から下まで自由に色が選べるようだったが俺は即決で決めた
tops:黒のコート AGI+3 VIT+1
inner:黒のシャツ AGI+2 VIT+1
bottoms:黒のズボン AGI+2 VIT+1
shoes:黒の靴 AGI+3 VIT+1
全身、真っ黒。そういえば、現実も同じことが多くて更科に「似合ってますけど、ほかの色の服も着てください!」って言われたけど俺は黒が好きだからそれをリアルでもゲームでも貫く!
「服装も選び終えたようですね。では、“具現化する世界”【Materialize World Online】へ転送します。よき冒険があらんことを・・・」
そう、フェリが言い終えた瞬間、魔法陣らしきものが足元に生成され、眩い光がだんだんと強まっていく
このまま、飛ばされてたまるか!
「ちょっと、待った!」
声を上げると光も魔法陣も消失した
「は、はいぃぃぃ?」
すっとんきょんな声を上げるフェリ
「アンタって運営側の人間だよな・・・?」
「・・・」
沈黙か肯定でいいんだよな?
「当たりみたいだな・・・にしてもちんちくりんでイジッたにしては何とも残念だ」
「イジッてません!ボクはナチュラルだよ!」
「ボクっ子も含めて尚のこと残念なキャラ作りだ・・・」
その口調は憐れみと同情を含んだ言い方だった
「失礼です、不愉快です!初対面からすごく馴れ馴れしい!」
憤慨するが悲しいかな一切、そのような気迫が出てないんだよ
「お前、見てると何かイジメたくなるんだよ」
「そ、それってボクに惚れた?」
恥ずかしそうに頬を染めて言った
「俺は、お前みたいなちんちくりんでチンクシャなお子様には興味ねぇよ」
「子供じゃないボクは立派な16歳のレディーです」
同い年でこれか・・・・・・
「その割に成長しないんだな」
「はぅっ!もういい。君は、不幸になって死にまくれぇぇぇぇ!!!」
自称16歳のレディーは怨嗟の声を上げながら、俺を【Materialize World Online】の世界に飛ばしたその時、俺は知らなかった。あるモノが勝手に装備されていたことを・・・