16.呼び出し
【クロノさんがログインされました。第5サーバー管理者の権限により、クロノさんを第5サーバー管理者の元へ転移させて貰います】
ログイン早々にお呼び出しかよ、宣言通りとはいえ仕事熱心な人だなぁ。どこかのダメな管理者と大違いだ
【第5サーバー管理者の管理室に転移完了。転移システム終了します】
「え、何これ?」
目を開けるとそこには、武家屋敷にありそうな日本庭園があった。
しばらくそこを歩いてると、女性がこちらに向けて手を振っている
「こっちですよークロノさん」
「えっと、紅蘭さんですよね?」
「はい、そうです。一昨日は画面越しで失礼しました」
ご丁寧に頭を下げてくれる
「いえいえ、こちらも急なお願いをしましたから」
紅蘭さんに倣って頭を下げる
「このままだと謝り合戦になりそうなので中で話しましょうか」
「・・・はぁ・・・」
そのまま紅蘭さんに促されるままに屋敷の茶室に案内される
「どうぞ、粗茶です・・・こちらはお口にあえば・・・」
茶室に着いて早々にお茶を点てて貰い、茶菓子まで出された
VRMMOで飲み喰いはできるんだけどログアウトした後に変な感じに空腹が紛れて少し気持ち悪くなるからできるだけ避けてるんだけどこの場合はしょうがないよな・・・
「結構なお手前でってお茶の作法って感じでしたっけ?」
クロノは茶碗を廻してぐいっと茶を飲み干す
「作法なんて気にせずに飲んで頂いてよかったのですがクロノさんは面白いですね」
紅蘭さんはクスクスと笑ってもう一杯お茶を入れてくれた
「一応ですよ、一応」
負け惜しみに言うけど俺も笑った顔を見たらつられて笑ってしまったのは・・・なんかくやしい
「雑談はこの辺にして本題に移りましょうか」
自らパンっと柏手一つすると親切なお姉さんはいなくなって管理者としての顔に切り替わる
「そうですね。よろしくお願いいたします」
個人的にはもう少し親交を深めたいけどしょうがないか・・・残念
「ステータス、装備、スキルを表示してください」
俺は言われるままにそれらの項目をマルチタスクで表示する
クロノ Lv:5
【称号:呪いを授かりし者】
STR:60
VIT:0
INT:0
MIN:0
AGI:60
DEX:0
【Equipment】
メインウェポン:古い刀 STR+50
サブウェポン:錆びた銃 AGI+50
tops:黒のコート AGI+3 VIT+1
inner:黒のシャツ AGI+2 VIT+1
bottoms:黒のズボン AGI+2 VIT+1
shoes:黒の靴 AGI+3 VIT+1
Accessory:呪われた髑髏
【Skill】
生存本能:即死級のダメージでも必ず、1だけ残る:PS
疾走 :遠距離系武器AGI+10% 発動時間60秒:AS
危機察知:攻撃の軌道が見える:PS
決死の一撃:HPが1の時、STR,AGIが25%上昇 発動時間、戦闘終了まで且つ、回復不可:PS
討刃:近接系武器STR+10% 発動時間60秒:AS
体術:素手での攻撃が1.5倍ダメージ上昇:PS
呪われし証:エネミーが全ステータス1.5倍、3倍、6倍でのみランダムで出現、逃走不可。経験値ボーナス無し:PS
氣術:全ステータス、武器、防具を5~20%強化。使用時、HPとMPの消費量に依存する:AS/PS(new)
「ステータス、装備、スキル確認しました。そのまましばらくお待ちください」
そのまま画面を開いたまま言われたとおりに待っていると・・・おもむろに電子キーボートで何やら打ち込んでいる。
「どういう作業をしてるんですか」
「あの子に書き換えられた部分を直していますが・・・」
突然、紅蘭さんのキーボードを打つ指が止まり・・・その場で氷漬けにされたように動かない。
それは失敗したのか、それともアイツのシステムに阻まれて手も足も出ないか・・・二択だろうと言える。
「あ、あの・・・クロノさん?」
聞く前にそれは冷や汗をダラダラと流してよくない結果を如実に表している
「はい」
「大変申し上げにくいのですが・・・アクセサリーは消せました。しかし、スキルはステータスと深い結び付きがある関係で消した場合、データが破損する可能性があるためにできませんでした・・・すいません」
紅蘭さんは申し訳なさと管理者としての悔しさが入り交じった複雑な表情をしていた
「まぁ、データが破損することに比べればあのスキル程度は問題になりませんよ。ただ強化されてるだけの雑魚ですから。俺はステータスが元に戻っただけで充分なんですよ」
「お気遣いありがとうございます」
「いえ」
気遣うつもりはなかったんだけど・・・まぁいいか
「それはそれとしてステ振りしてみては?」
「そうですね。そろそろSP振らないと・・・溜まってるし」
SPはレベルアップ毎に通常20ポイント+ボーナスポイントがつく。
ボーナスポイントとは初期ステータスの最大値の1/10が付くポイントだ。
例えば極振りしたとすると初期ステータスはどれに振っても120になる。その場合、ボーナスポイントはレベル毎に通常ポイントプラス12ポイント付くので32ポイントという計算になる。
俺の最大値はSTR、AGIが50なので通常ポイントにボーナスポイントを合わせてレベル毎に25ポイント得られることになる。
結果、ステータスはこんな風になった
クロノ Lv:5
【称号:呪いを授かりし者】
STR:80
VIT:15
INT:15
MIN:15
AGI:80
DEX:15
レベル上がってSP溜まってたから一気に上がった気がして何かお得感あるなぁ
「一応、することは終わりましたが全て直せなかったお詫びと言いますか・・・お詫びですね。私になんでも三つお聞きください」
なんでも・・・って言っても管理者だから聞ける範囲は限られてるよな・・・
「早速ですが一つ目、オーガ・バーサスのイベント、システムが組み込まれるのは何故ですか?」
「そ、それは答えられません」
「では、質問を変えます。ワタナベさんはMWOのシステムに関わっていますか?」
「はい」
「二つ目、氣術の習得条件を教えてください」
「・・・クロノさんはもう習得してるので教えても大丈夫ですね。氣術の習得条件はアーツを100個以上創ることです。ほかのプレイヤーに話してもいいですが習得はできません」
「ユニークスキル・・・こんな序盤で取るとは思いませんでしたよ」
「もっと先だと思っていたので私も驚いてます。ユニークスキルは早々取れるモノではないので」
紅蘭さんはお世辞ではなく本当に驚いた顔をしている
「今から質問するのはカウントしないでください。オーガ・バーサス・オンラインを知ってますか?」
「システムを組み込む前にそのゲームについて調べましたので多少は知ってます。クロノさんは【鬼の宴】に所属していましたね?」
そこまで知ってるならこれはできるか・・・
「三つ目、元【鬼の宴】の色鬼10人に管理者は連絡を取れますか?」
「第6サーバー管理者ならできます。私は担当が違うのであの子に頼べはできると思います。あの子次第ですけど・・・」
質問に答える紅蘭さんの声音には“あの子が・・・”という不安がひしひしと出ているように感じた
「それだけ分かれば充分です。ありがとうございました」
やっぱり全員同じサーバーにいるのかよ。明らかに誰かが裏で意図を引いてる匂いがする
「いえ、こちらこそちゃんと直すことが出来ず中途半端な形で」
「それはさっきも聞いたのでもういいですよ」
クロノは再度の謝罪を笑顔で封じる
「先ほど三つと言いましたがほかにありませんか?何だか気を使わせてばかりで申し訳なくて・・・」
「じゃあ・・・ワタナベさんに伝言を「アンタはまたアレを再現したいのか?それとも俺達を戦わせたいのか?」とお願いします」
「分かりました。ワタナベにお伝えしておきます」
ついでに切りが良いので軽く挨拶だけして広場に転移して貰い、第5管理者との話は終わった




