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『Materialize World Online』  作者: 高須 白
13/35

13.アーツ道場

 アーツ道場に行ってみたくてマップを頼りに着いたけど

 周りは塀に囲まれて看板にはアーツ道場と書いてあるだけの外観、中に入ると板が敷き詰められて奥には掛け軸と神棚が飾られている。見るからに剣術道場にみえるというより剣術道場だった

第一都市(フェイム)の外観自体は全体的に洋風なのに道場だけ和風を取り入れたんだ・・・?」

「それは製作者の一人から“道場は和風がいい!”という意見が出てそうなったという裏話があるとかないとからしいよクロノさん」

「そうなんだ・・・サンキューってお前誰だ!いつから隣にいた!」

 ただの呟きにある意味親切に説明をしてくれるこのなんちゃって学者風眼鏡くんは誰だ?

「そうだね・・・アーツ道場に着いて“第一都市の~”ていう件くらいからいたよ?」

 学者眼鏡くんはご丁寧にまた説明してくれる

「へぇーそうなんだ・・・ってだから、お前は誰だよ?」


 極自然にすらすらと教えてくれるおかけでコイツが何者か聞き忘れそうになる・・・なんて奴だ!


「・・・自己紹介がまだだったね。僕はラビス。ちなみに学者をイメージした格好だけど情報屋だからご利用の際はよしなにお願いするよ」

「情報屋がどういう用件で俺に近づいてきたのかは知らないけど・・・って道場の中にいるのに何も起きないんだ?」

「それは“たのもー、一人来ました”って言わないと何もできない仕様なんだよ。あっ人数は一人の時は“たのもー”だけでいいんだよ。僕は今、アーツを増やす気はないから必要なのはクロノさんだけだよね?」

「ああ、サンキュー」

 礼を言い、少しその場に視線を泳がせていると・・・床に一人分程度の魔法陣が生成されてそこから白髭を傭えた剃髪の老人が現れる


「この爺さんは何だ?道場主って設定のNPCか?」

 爺さんは俺の疑問に答えるかのように喋り始める

「よく参れた、若者よ。儂はこのアーツ道場の師範アラン・ツーリルス・実時である!我が道場は代々曾祖父、祖父、父に脈々と受け継がれており当代の儂も門下生を増やして・・・・・・」


「爺さんのテンプレ長話に付き合ってられるか!」

 クロノはアラン・ツーリルス・実時の話に耳を傾けるのを早々に放棄した

「う~ん、今回も“実時”。和モノ武器をメインにするプレイヤーの場合は“実時”で固定で洋モノ武器をメインにしてる場合は“ジェイス”固定で確定だね」

 ラビスは大きな独り言を呟いている

「何かの検証でもしてるのか?」

「・・・もしかしてさっき言ってたこと聞こえてた?」

「聞かれたくなきゃ独り言は一人の時にしてくれ」

「気を付けるよ。情報屋たるもの情報を洩らしたら名折れだもの。それよりも・・・実時氏の話が終わるよ」

「氏ってNPCにつけるのかよ」

「NPCにもつけるのがポリシーだよ!」

 変わったポリシーをお持ちのようだ

「こら!弟子。師匠の話を聞かんとはどういうつもりじゃ!」

「・・・どういう流れで爺さんの弟子になったんだ?」

「貴様、儂の話を聞かんとは何事じゃ!そこに直れぇいいいい!」

 爺さんはひどい剣幕でいつのまにか握っていた竹刀を眼前に突きつける

「やだよ。あんた、いつから得物持ってたんだよ?」

「バンブーブレードⅹじゃ!これから貴様のひん曲がった根性を叩き直してくれる!」

 ただの竹刀じゃん。このジジィ、話聞いてねぇ。一応、NPCにAIが入ってるから会話が成立するはずなんだけど・・・


【アラン・ツーリルス・実時さんから初撃決着を申し込まれました】


「NPCから申しこまれたよ。昨日からPvPやりすぎじゃねぇ?」

「クロノさん、それを言うならnVpじゃない?」

「・・・そうかもな」

 クロノは申請を受理して刀を構える

「よく受けた。その意気やよし!先ほどまでの事は水に流してやろう」

 話があんまり噛み合ってないなぁ

「それに青いフィールドも展開してない。NPCと戦う場合はこういうものなんだろうか?」

「さっきから何を言っておる。さっさと掛かって来んか!」

「うるせぇよ、ジジィ。さっさと斬られろ」

 即座にスキルを発動し、刀に手を添える


 ---我流抜刀術・霞鳥


「なっ!いつの間に・・・」

 気づいた時のは鮮血が吹き出す。実時は斬られるまで反応できなかった


【クロノさんの勝利です】


「ラビス、さっきの見えたか?」

「うん。ばっちり!」

「まだギルメンにしか見せてない技だから」

「それは高いモノ見せてもらったよ。先払いかな?」

 軽く肩をすくめて、ラビスは笑ってみせる

「必要な時に頼るからな」

「うん」


「・・・弟子よ・・・お前に・・・“睡蓮の間”を与える。好きに使うがよい」

 まだ生きてたのかジジィ

「どういうことだ?」

「普通はないんだよ。大抵はココで技を使えるようにするけど・・・個室を与えられるということは(アーツ)を見られる心配がないこと。もちろん、クロノさんが誘えば僕でも、ギルドメンバーでも入れるんだけど・・・」

 誰に言ったわけでもなくラビスが教えてくれる

「ようは個室で好きなだけアーツを使えるってことだろ?」

「・・・そんなところ」


「話は変わるけど・・・どういうシステムで“アーツ”は増やせるんだ?」

「部屋に入ったら分かるんだけど・・・部屋の中心にある木人形に想像したアーツを当てるだけの簡単なモノだよ。ただし・・・想像してそれを具体的に創造しないとただ当てるだけになるから言葉で説明するよりもやってみることをだね」


 想像(イメージ)を固めてからじゃないと創造(こうどう)として(アーツ)補助機能(システムアシスト)も行使されないってことか。面白れぇじゃねぇか・・・やってやる!!!

「じゃあ、“睡蓮の間”に行くか」


「“睡蓮の間”はそこの廊下に出て、一番奥の部屋じゃ」

 行く先をジジィは親切に教えてくれた


「サンキュー。ラビス、一緒に来いよ!」

「いいの?僕がクロノさんのアーツ見ても・・・」

「情報がほしい時のための先払いだ」

「・・・それが目的なんだ・・・」

 あっさりと答えるクロノの言動に呆れ顔を隠せないラビスであった




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