1.始まり
不定期です。できるだけ早く、更新します
【Materialize World Online】略称は「MWO」。今日の18時からオープンするVRMMOのタイトル。
仕様としてはいわゆる剣と魔法でモンスターを倒すファンタジー物の要素を含んだゲームだ。
去年の初めに発表されてからMMOの雑誌ではそれの特集ばかりでネットゲーマーはまだかまだかと気持ちをヤキモキさせて、いざ発売日を公表するとその日から予約が殺到してサーバーが数日パンク状態。
数ヶ月前にあったβテスターの応募は即日満員で締め切られた。当初、応募期間を設けようと思っていたみたいだけど応募が多すぎて諦めたらしいというのが理由だったとか・・・
そして、発売日はその日よりも早く現地入りしている人が多く、世間の話題を一時期さらっていった。
ソフトの売り上げは現時点で2000万本ヒット。予約中の分も含めるともう1000万本は軽く増えることになると思っている。なぜなら、あの高月 明が作ったのだから当然といえば当然だといえる。
まだ、名前を知られていない無名時代に作った「フェアリー・アース・オンライン」。一ヶ月で100万本以上のヒット、次に作った「ファンタスティックエイト」はその3倍の売り上げた。それを皮切りに高月 明は様々なジャンルのMMOゲームを作り出してはすべてがヒットの名クリエイターの名を欲しいままに現在に至る。そうやって囃し立てているが知識として知っているだけで、今回オープンする「MWO」が初プレイだったりする。なぜなら・・・
「・・・わ・・・る」
うるさいなぁー今いいところだから静かにしてくれ
「く・・わ・・る」
「うるせえな、人が・・・」
俺は目の前にいる相手に文句を言おうと立ち上がると、そこは教室で黒板にはびっしりと数式が書かれていて、目線を上に上げると時計はまだ放課後ではなく授業中を示していた
「なんだ、授業中か。・・・もう一回寝よう」
席に座ろうとすると後ろから首根っこを掴まれてそれは叶わなかった
「・・・貴様、この私が直々に起こしてやったのに「うるさい」、「授業中か・・・もう一度寝よう」だと?偉くなったものだな貴様?」
掴まれた襟首を振り解き、振り返ると893みたいな面の数学教員折原・・・先生がいた
「いえいえ、そんなことはありません。机のごみを吹き飛ばそうとしていただけですよハハハ」
ヤバイ、折原だ!コイツは危険だと身体がジワジワと汗を出して警告している。うまく、切り抜けろ俺!
「ほう、ならなぜ口元に涎がついている?」
言われて、口元を触るが何も付いていなかった
「なんだ付いてないじゃないですか。寝ていたけど俺はよだれを溢すヘマはしませんよ・・・!」
「寝ていたのか、貴様!私の授業では寝るなと何度も言ってるだろうが馬鹿者!後で指導室に来い。教育的指導をたっぷりしてやる」
今日の授業はこれが最後だったのか。こってりと絞られた
「・・・やっと・・・終わった」
俺は指導もとい拷問を終えて教室に戻ってきた
「お勤めご苦労さまです、黒川君。外の空気はおいしいですか?」
黒い髪を靡かせて、机にちょこんと少女は腰掛けていた
「俺がいつ出所したんだ更科?」
俺は出所はおろか犯罪自体に手を染めたことはない。
容姿普通の身長165cm の高校生
名前 黒川 昇 ただの廃ゲーマー
「いいえ、脱獄です!」
この変なことを言っている女つーか、美(微)少女、更科 水姫 お嬢様っぽくないお嬢様
「・・・そっちかよ!ないからな」
「嘘はいけません。マエがあるんでしょう?」
「前科ないから。さっさと本題に入ってくれそのために待ってたんだろう?」
「そうですけど、ノリが悪いです!今日の18時、「MWO」にログインしたら第1都市フェイムの広場にきて下さい。私もインしたらすぐに向かいます」
「わかった。俺もインしたら向かう」
「・・・帰りましょうか」
「へいへい」
俺は、更科を送り、家に帰った
そういえば、あいつとの付き合いも一年くらいになるけど、同じゲームをするのは初めてだな。知り合ったきっかけは学校に忘れたVRMMO専門誌を取りに教室に戻った時だった。
そこには、俺の雑誌を食い入るように見ている更科に遭遇したからだ。
「それ、興味あるのか?」
「はい!」
そんなやり取りを続ける内に、今みたいになった
そして、時刻は17時59分。俺はVRMMO専用ヘッドギア型インターフェース「ファンタジードリーム」を待機状態して待っていた
そして、18時!
「リンク」
その瞬間、俺の意識はVRの世界に飛んだ