準備
すごく久々の投稿です。
初めてコメントもらったよー!ひゃっほい
がちゃ
「……………」
遅めのお昼ご飯の最中に赤い人が部屋に入ってきた。部屋の様子を見て顔をしかめている。
「ああ、プレトの瑠火が来たんだよ。危うく嬢ちゃんを奪われそうになってさ~。水風呂中だったから嬢ちゃんは独り、三人の敵に怯える嬢ちゃんっ」
いきなり何故かテンションが上がってる。
「……………」
赤い人は勝手に盛り上がってる宵さんをスルーしてソファに座った。
あとわたしは怯えてないよ(ここ強調)。だって赤い人の方が怖かったもん。
「その時オレが結界を破って格好良く登場…ぶへっ」
赤い人は宵さんの顔にそこら辺にあった壺(割れちゃったけどいいのかな?)を投げつけて、静かになったところで紙を叩きつけていた。
「いたたた…何これ、招待状?」
「あらあら、人間と私達の交流会ですって」
どうせ下心満載の下らないものだと思ったけど、そんなこと考えたのはわたしだけかな?
「人選は…オーナーに任せるのは嫌ね。女の子ばかり連れて行きそうだわ」
…流石宵さんの弟。
「…嬢ちゃん、今なんか酷いこと考えなかった?」
「………だいじょうぶ、宵さんだから」
「今の間は何っ…おぶっ!!」
また宵さんがうるさかったからか、赤い人が椅子を投げた。
わたしも結構容赦ないと思ってたけど、ちょっと引いた。
「オレは罠に一票」
「私は同じよ。でもオーナーの判断には従わないとね、一応リーダーなのだから」
そう言えば宵さんの方がオーナーさんより年上なのに、何でリーダーがオーナーさんなのだろう?どっちも変人だから少しでもまともな方にしたのかな?
「…嬢ちゃん、今もなんか酷いこと考えなかった?」
「宵さんだまって」
固まる宵さんから紙を奪って、とりあえず目を通す。政府の偉い人の名前がたくさんあった。
「オーナーとアリスは決定よね」
誰?と思ったけど、赤い人のことらしい。何か似合わない。
「ああ、偽名らしいよ。本当の名前は弟しか知らないし、本名で呼ばれたくないらしいから、発音が似てる名前にしたって聞いた」
「そうなんだ。でもなんであかいひともいくの?」
なんか強そうだからボディーガードかな?…この間の赤い人はすごく怖かった。赤い人だけは敵にしたくない。
「それはね…」
「………(ギロ)」
「さ、さあ、何ででしょうね?」
赤い人怖い。お姉ちゃんを一睨みで黙らせちゃった。
「とりあえず見た目で何の妖怪か分かんねえ奴らだろうな」
不意に赤い人が宵さんとお姉ちゃんとわたしを指差した。
「…もしかしてもう決定してんの?」
赤い人が頷く。するといきなり宵さんが怒った。
「あいつに直訴してやる!オレの嬢ちゃんをおっさんたちの目に晒してたまるか!!」
…しつこい。
「…宵さんのくちってたいていむいみでくだらないことしかはきださないよね」
「ガーン!!」
宵さんが固まった。それ口で言っていいの?
「でも今回ばかりは宵さんがある意味正しいわ。女の子ばかりを選ばなかったのは良いのだけれど、道中で反レヴィアンの人達に何をされるか分からないわ」
「わたしはかまわない。…いせえびあるかな」
伊勢海老があるなら絶対行く。
「嬢ちゃん、伊勢海老ならまた買ってきてやるから…」
どうしても行かせてはくれないらしい。…しょうがないから最終手段を取るしかない。
「わたし…宵さんといっしょにいたいの。宵さんといっしょならわたし、だいじょうぶだから」
そう言って上目遣いで窺う。
「嬢ちゃんがデレたーーーーっっ!!!!!!」
抱きしめられて頬ずりをされる。…ちょろい。
「ね、宵さん。いっしょにいっていい…?」
再び上目遣い。お姉ちゃんが「おチビちゃん…あざといわ」とか言ってるけど、気にしないで続行。
「ああいいよ嬢ちゃん!オレが嬢ちゃんを守る!…ああ、嬢ちゃん可愛いマジ可愛いマジ天使!!」
…この頃宵さんの箍が外れ安くなった気がする。本当に変態じみてきた。
ま、効果は分かってやってるんだけどね。
「アリス、他には誰か来る?」
赤い人が首を横に振る。あんまり知らない人といたくないから少しホッとした。
「日付は…明後日かよっ!!よし、今から嬢ちゃんのドレスを買ってくる!」
「あ…」
宵さんが飛び出して行っちゃった。
「全く、私もドレスを新調したいのに…そうだわアリス、おチビちゃんとお留守番しててね~」
そう言ってお姉ちゃんも行っちゃった。
「……………」
「……………」
…気まずいよぅ。
「…アリスさんはおようふくかわないの?」
赤い人は言いにくいからアリスさんって呼んでしてみる。でも心の中では赤い人。
「……………」
反応が無い…と思ったら、どこからかスーツを取り出してた。
「それをきてくの?」
今度は全く反応が無かった。いつの間にかスーツが消えてる。
「……………」
「……………」
(話すことが無い…)
困ったから浮き輪で移動して冷蔵庫からプリンを二つ取り出す。
「…たべる?」
赤い人は少し困惑した顔をして、それでも受け取った。
そういえばここ一年、魚介類しか食べてない。おやつも干物とか小魚ばっかり。
…このプリン、食べても大丈夫かな?
「はむ…おいしい!」
うん、大丈夫そう。
「……………」
赤い人を見るともう食べ終わってた。
「……………………………うまかった…」
「へ?」
赤い人が何か言った気がしたけど、聞こえなかった。赤い人はもう微動だにしない。
赤い人ってよくわかんない。
「…アリスさんはなんのようかい?」
「……………」
「せいようてき?それともにほんてき?」
「……………」
「かぞくはいる?」
「……………」
「なんさい?」
「……………」
「けつえきがたは?」
「……………」
「すきなたべものは?」
「……………」
約一時間質問攻めにしてみたけど全く反応が無かった。
もう投げやりになってきた。
「…あまいものとからいもの、どっちがすき?」
「……………………………………………甘味」
「―っ!!」
返事が返ってきた!
「じゃあすきなかんみはなぁに?」
「………………………………………………マカロン」
でもその後の質問には答えてくれなかった。ちょっと残念。
でもちょっぴりだけ、赤い人が怖くなくなった。
…それにしても宵さんもお姉ちゃんも遅いな。間が持たないよ。
「……………」
するといきなり赤い人が立ち上がって台所に消えた。
暇になったからソファでうとうとごろごろする。
「………ふぁあ」
「…………………………………………おい」
一時間ぐらいした後、赤い人に呼ばれた。起き上がると、赤い人が何かを差し出している。カラフルなマカロンだった。
「…たべていいの?」
赤い人が頷く。
「はむ…―っ!!」
おいしい!!赤い人大好き!!
「すごいおいしい!!」
心なしか、赤い人の無表情が和らいだ気がした。
「嬢ちゃ~ん、ただいま~」
猫撫で声がして宵さんに抱きつかれた。おっきな紙袋が何個かある。
「いや~、選び切れなくてさ~~」
袋から出されたのは数着のロリータ系ドレスとヘッドドレス、ブーツとかたくさん。
みんなレースたっぷりだったりフリフリの宵さんの趣味だ。お人形さんに着せるものみたいで可愛い。こういうところだけはちょっと嬉しい。
「…ありがと、宵さん」
「どういたしまして」
「ごほーびになでなでしていいよ?」
宵さんの膝に乗せられて抱きしめられて撫でられてあげる。
「…明後日は大変になるだろうけど、絶対守るからな」
「うん…」
それから当日まで、宵さんとお姉ちゃんはせわしなく色々してた。
伊勢海老、あるといいな。
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