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夏祭り 〜約束〜

作者: 城戸 秀作

人ごみの中に僕は彼女を見つけた

「本当に来てくれたんだ」

彼女は懐かしい笑顔で

「約束したじゃない」

と答えた

僕らは並んで歩いた。

一年ぶりの再会で照れを隠せない僕たちは

手をつないで歩くことは出来なかった

「久しぶりだね」

僕は自分の声が震えていることに気がついた

「あなたは相変わらず元気そうね」


「この一年・・・僕はどれだけ寂しい思いをしたか・・・」


「それは・・・私も一緒よ」


彼女の頬から一筋の光るものが流れ落ちたのをみて


僕は場の空気を戻すために 彼女と金魚すくいをすることにした


金魚すくいの出店に着くと彼女は


「私は見ているわ」

と言った


その言葉で僕は全てを察し、同時に熱いものが込み上げてきた


彼女の肉体が完全にこの世に戻ってきたのわけではないのだ・・・


僕は、必死に明るさを装った


けど、涙で視界がぼやけている僕に捕まる金魚なんていなかった


そんな僕を不思議そうに見ていた

出店のおじさんが


「君、金魚がすくえなかったくらいで泣くんじゃないよ」


と、言った


そして、一匹の金魚が入った袋を僕にくれた


僕は、一応お礼だけ言い店を去った


「御免、恥ずかしいところみせちゃったね」


「いいえ、しかたないよ・・・あの人に・・・私は見えていないんだから・・・」


彼女は悲しそうにそう言った




ドン


そのとき夜空に一輪の花の花が咲いた

夏祭りのメインイベントである花火大会が始まったのだ

と、同時に僕たちの別れのときも刻一刻と迫ってくる


「また、会えるよね」

薄らぐ目をこすり僕は彼女に尋ねた

彼女は

「私が君を、君が私を忘れない限り私たちはいつも一緒なのよ」

僕たちは手をつないだ

その時夜空に最後の花束が咲き乱れ

そしてゆっくりと散っていった


彼女はうつむいたまま

「そろそろ帰らないと」

僕は限界だった

「うん」

それしか言えなかった

「私のこと、忘れないでね」

「忘ないよ」

僕は彼女を抱きしめた

「ありがとう」

彼女はそう言い残すと

まだ薄っすらと煙の残る夜空へと帰っていった。




夏祭り 〜約束〜 を最後まで読んでいただきありがとうございました

今後の参考にいたしますので、是非、是非評価のほどよろしくお願い致します


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― 新着の感想 ―
[一言] 正直 今の俺にはこの作品はキツいです 俺がモチーフになったとしか思えなくて・・ 忘れるどころか 死んだ彼女の姿、声、全てが頭から離れません 忘れることができなくて いつまでも、旅立たせてやる…
[一言] ストーリーが良かったです。文字数が少ないので、説明不足な所もありました。もう少し長くして詳しく書かれると、感情移入出来たと思います。一年に一度しか会えないというのが七夕のようで、夏祭りの雰囲…
感想一覧
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