第九十二話:沈黙の少女
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ラークはデリックに頭を下げながら、これからの非礼に対する謝罪の仕方を考えていた。
ラークは侯爵家で、本来伯爵相当であるデリックより立場は上だ。だが、爵位というのはそう単純なものではない。
国家の最高戦力であり、国王の相談役でもある特待泊、そこらの侯爵と七賢者とでは、その格は比べるまでもなく広い。
(礼を欠いた言動はしていなかった自負はあるが、もし万が一、何か非礼があればどう謝罪すれば…!)
ラークの硬い顔を見たデリックは頭を掻いた。
「君、別に俺は怒っていないよ。だから顔を上げなさい」
「申し訳ありません」
ラークはゆっくり顔を上げ、デリックの目を見た。
「別に謝らなくていい。君は別に悪いことは何もしていないのだから」
「しかし…」
「いいったらいいんだよ」
デリックは面倒臭そうにため息をついた後、精霊の方に振り向いた。
「ラリー、君は戻っていいよ…その顔はなんだ」
「いえ…こんなに早く帰ってしまっては私が出てきた意味がなくなってしまうのでは?」
「構わない」
「承知しました」
彼女はスタートの端を掴みお辞儀すると、緑色の光の粒になって消えた。
デリックは彼女を見送り、ラークの方を振り返り、軽々に喋りだした。
「話が脱線したから少し時間が経ってしまったけど、話は続けるかい?
時間があればだけど」
「申し訳ありませんが、もう少しで時間となりますので…」
「それじゃ仕方ないか…ん?」
デリックが庭園の外れに顔を向けた。
ラークもつられてそこを見ると、黒色の金銀糸が縫われたフードを深くかぶった、小柄な少女がいた。
「モナカじゃんか!こっち来いよ!」
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