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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第六章:大会編
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第六十五話:ガーノルド

 2日目。

 今日はチェス大会が行われる日だ。

 ゴードン、カロライナ両校の生徒は昨日に全員来校済みのため、今は大会の開会式が行われるまで各教室で待機か模擬戦をしてもらっている。

 セレスティナのチェス大会に出る選手は、先鋒モナカ、中堅エリック、大将ガーノルド・ヴィンテージの3名だ。本当は中堅はエリックではなくチェスの選択授業を受けているなかで最も強いオベールが出るはずだったのだが、オベールは何故か辞退し、急遽代打としてエリックに決まった。

 大会出場者の一人のガーノルドは、1年のため3年のオベール達でも知らない人物な上に、チェスの選択授業を受講していないにも関わらず、本来の中堅であるオベールを抑えての大将だ。

 そんなガーノルドがまだ来ていないということで、教室の待ちの空気はまあまあ悪くなってきていた。


「ミリア、ガーノルドはいつ来るんだ?」

「知りません」

「だよな」


 エリックはセフィルとの模擬戦中に苦笑いを浮かべた。


「模擬戦に、集中してください」

「分かってるよ」

「ミリア君、ガーノルド・ヴィンテージを連れて来なさい」

「…その必要はなさそうですね」


 オベールが言うと同時に、扉の外から足跡がした。

 そして、ある男子生徒が扉を開けた。


「ン、oh,it's nice day」


 * * *


 ミリア達は


「あの生徒がガーノルド・ヴィンテージなのか?」

「yep その通りさ。すまないね遅れて」

「アイツなんであんなに偉そうなんだ?」

「知りませんよ」


 ガーノルドはそんな話が聞こえていないかのようにオベールとモナカの盤面を近づき一瞥した。


「oh…excellent」


 そしてオベール側の駒を指差した。

 駒はナイトとビショップ。


「あと5手先でチェックメイトじゃないか」

「何でそんなこと分かるのかしら?ねぇモナカ」

「え?あ、ははははいぃぃ!」


 するとガーノルドは意外そうな顔をしてから答えた。


「何言ってるんだ?

 これまでの駒の動かし方を見れば手癖が丸分かり。これまでの駒の動かし方も、盤面を見れば何となく理解できる。

 その上で予測すれば詰め方は簡単に分かる。

 ちなみに、先程の予測は合っていたかい?」

「…ええ、合ってますよ。

 流石は私を差し置いて大将になることはある」


 教室が感嘆と驚愕の声に染まった。


「俺はこれまで用事があって来れなかったからね。

 アップのために模擬戦をさせてもらえないかな?」

「…それでは、僕がしましょう」

「おいおいミリア、運営の準備は済んでいるのか?」

「はい。終わっているので…一試合なら途中までできます」

「そうか、それでは頼んだよ」


 ガーノルドはズカッと椅子に座って待っていた。


 * * *


「参りました」


 模擬戦が始まってから20分、模擬戦でまだチェックメイトまで遠い段階で降参した。


「…it was so difficult 本当に難しかったよ。強いね」

「…それは、こちらの台詞です。本当に、お強い。独学ですか?」

「yep 俺は家の意向で選択授業を受けていない。しかし俺は好きなんだ。趣味だが本を読みあさって鍛えたんだ」

「特筆したのはその観察眼と予測能力ですね。

 狙いではなく手癖から、数十手先を読み、大胆に指すことができる」


 ミリアは自分が対決することでガーノルドの強さを体感した。


(納得した。

 オベールでさえ私にチェックメイトするなら長期戦なのに、この短時間)


 ミリアはセレスティナの圧勝を予感した。

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