閑話:編入生達
レティーラ王国では、王族どころか、貴族にすら、学校に通うという習慣がなかった。
それは、学校に通わなくとも、家で学ぶことができたからだ。
それが普通だった。
しかし、時代が変わるとその普通も変わっていく。
貴族が通う教育機関も整ってきたのだ。
貴族が学校で主に行うことは『他家との関係』『王族との関係』『社会経験』を得ることである。
つい最近になると、王族が学校に入学する事例も出てきたため、より一層、貴族達は学校生活を捧げているのだ。
レティーラ王国には、三大学園もとい三大名門校が存在する。
貴族、時には王族も通う『セレスティナ』、魔術師養成機関兼魔術研究機関『ゴードン』、医師養成機関兼医療研究機関『カロライナ』の3校である。
魔術で秀でた『ゴードン』
医術分野では『カロライナ』
それ以外で最上位なのが『セレスティナ』である。
超一流の教授・講義、知識の海とも呼ばれるほどの圧倒的な書庫、そして何より、貴族の子女が学ぶに相応しい施設が、この貴族学園には揃っている。
この状態を維持するため、入学者による多大な入学金、支援者による多額の寄付金を得ている。
この学園の卒業者は、入学当初の人数と比べ三割に満たないが、『セレスティナ卒業生』の肩書きは、貴族にとってステータスだ。
それは、後の当主としての他家との関係や、王都での務めにおいて、優位に進目られるからだ。
また、生徒会所属者は卒業生の中でも、王都で重要な職になれる可能性が高まり、更に婚約者を見つける、王子・王女と親密になる可能性も高まるため、生徒は皆こぞって生徒会に入りたがる。
そんなセレスティナの生徒会の会長は、とある紙を見て、上品にため息をついた。
ニナ・マイル
ミリア・マイル
メラン・バグオール
モナカ・オルフェウス
フィリップは、2年生の途中編成の生徒達の名前を見た。
今年の入学生は曲者揃いだ。
なんとバルドン伯爵令嬢、ザガン伯爵令嬢が同時に入学する。
大都市の貴族の者が同時期に入学するなど、これまでの歴史でもたった数回だけであった。
フィリップは学年が崩壊するのに何ヶ月かかるか計算を始めようとした所で止めた。
最近、軍部の魔法兵団の2名ほどが学園に潜入しているという事態が起きた。
フィリップは結界の魔術師が護衛兼監視役として送ってきたと考え、すぐにフィリップの後ろ盾の公爵に解雇させてもらったのだが、今回の入学生、編入生は偶然にしては変である。
潜入者の可能性が一番高いのはメラン・バグオール。
彼は結界の魔術師の弟子だからだ。
しかし、生徒である以上、問題を起こさない限りは退学にまで追い込めない。
「しばらくは様子見にしよう」
彼がそう決めると、胸のポーチから白いトカゲが出した。
「殿下、どのようなご要件でしょうか?」
「昨日、遊びすぎて眠いんだ。 今日の朝礼で朝礼はマズイから、時間になったら起こしておくれ」
「承知いたしました」
彼はトカゲに命じると、美しい寝息を立てながら寝始めた。
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