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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第六章:大会編
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第五十九話:違和感

 今日の午後の選択授業は基礎魔術学だ。

 ミリアはいつも通り、目立たないよう後方の席に腰を下ろす。

 ――が、教室の空気がどこかざわついている。


「さっきの見た?」

「表庭のやつな」

「かなり派手だったらしいじゃん」


 ひそひそとした声があちこちから聞こえてきた。

 どうやら、昼休みに行われていた魔法戦の話題がまだ尾を引いているらしい。


(魔法戦でここまで盛り上がるのか。

 そんなに華々しかったのか?)


 ミリアは内心でそう判断したが、顔には出さない。

 授業が始まると、講師が軽く咳払いをして教壇に立った。


「今日はね、予定を少し変更するよ〜」


 その一言で、教室が一気に沸いた。


「今日は、昼に表庭で行われていた魔法戦、あれを題材にするよ〜」


 ミリアの視線が、ほんのわずかに教諭へ向く。


「さっきね〜、運営会から正式に報告が上がったんだけど、魔力制御が不十分なまま実戦形式に入った生徒が居たんだよね。

 幸い大事にはならなかったんだけど、あれは褒められる行為ではないよね〜」


 教室の空気が少し引き締まった。


「そこで、今日は、何が悪かったのかと、対策方法を考えてみようか」


 講師はそう言って、黒板に簡単な魔術式を書き出した。

 火属性と風属性を組み合わせた、ごく初歩的な構成だ。

 その魔術の効果としては、比率次第だが爆発か爆風だろう。


「使われていたのはこの2つね。

 問題点は魔力をうまく流せてなかったんだ」


 ふと、教室の前方を見ると、一人の生徒が俯いているのが目に入った。

 昼の魔法戦に参加していた当人なのだろう。

 肩がわずかに強張り、魔力の残滓がまだ完全には抜けきっていない。


(無理をしたのかな?)


 才能があるからこそ、抑えきれなかったのだろう。

 ミリアはそう結論づけ、それ以上考えるのをやめた。


「では質問」


 講師の声が教室に響く。


「もし、第三者があの場にいたとしたら。

 被害を最小限に抑えるため、どんな介入が最善だった?」


 一瞬の沈黙。

 誰も手を挙げない。

 ミリアが静かに手を挙げた。


「はい、後ろの君」

「……結界はどうでしょうか?」


 淡々とした声だった。


「即席でも、どちらかの対属性でも、属性を遮断する半径3メートル程度の簡易結界を張れば、暴発の被害は防げる…と、思います」


 教室が静まり返る。


「正解。

 結界と同時に、魔力の流入口を狭める誘導式を外側から重ねることもしたら大正解だね〜」


 周囲から、感嘆とも困惑とも取れる視線が集まる。

 ミリアはそれを意識しないふりをして、視線をノートに落とした。


(……やりすぎたか)


 ほんの少しだけ、そう思う。


 しかし同時に、昼の表庭で起きた“違和感”が、頭の片隅から離れなかった。

 魔力制御の粗さ…

 それを感じながらも、ミリアはライクネット教諭の話を聞き続けた。

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