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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第五章:導き編
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第四十七話:酔っ払いども

 ミリアはとある館に来訪していた。

 そして巻き添えに連れてきたニナとモナカの両腕を掴まれていて身動きが取れないでいる。


「みリ゙あ〜、なんで!わたし、じゃダメなの〜!」

「わた、しが、ヒック、いるのに〜、他のこ侍れせないでくらさいー!」

「おや、師匠も遂にモテ期が来ましたか」

「ローランちゃんも、昔は全然来なくて泣いてたわよね〜。

 主に自分のせいっていう自業自得だったけど」

「おや、私に素行の悪い時期があったとでも言いたげですね?」


 ミリアの目の前に座る、美しさと可愛さ、妖艶さを兼ね備えたこの女性こそが、この館の主もとい七賢者が一人『黄昏の預言者』マリン・フォルゼマート。

 彼女はレティーラ王国きっての預言者であり、これまで長年王国もとい七賢者を支え続けた大物だ。

 彼女の七賢者歴は驚きの36年。推定最年長の魔女だ。その歴はほぼ年功序列である七賢者のトップに位置しており、本人が常識人ということもあり、まとめ役になっている人物でもある。


 そんな彼女がこの場を収めなくてどうするのか。

 どうしてローランに薪を直に投げ入れるのか。

 何故ニナとモナカが腕を掴んで離さないのか。

 まともな七賢者の常識人は自分一人だけになってしまったのか。


(どうしてこうなった…)


 ニナとモナカを巻き添えにしてやろうと連れてきたのはミリアである。つまり自業自得である。

 ちなみにミリアは私服、ニナとモナカはドレスを着ている。

 七賢者4人も知っているのでほぼ意味ないが、一応護衛任務は極秘なので、しておいた方が良いだろう。


「しかし、『黄昏の預言者』殿。何故『沈黙の魔女』殿にワインを飲ませたのですか?

 アルコール類を飲ませてはいけないと忠告したでしょうに」

「あら、人って禁止されると無性にしたくなっちゃうのよねぇ。ローランちゃんも、不思議だと思わなぁい?」


 マリンは次に油を直にまぶし始めた。

 ローランは何かを言いそうにした口を閉じ、ワインを飲み込んだ。

 イラつきつつも潮時と思ったのだろう。

 ミリアからしても空気が悪くなるのは困るのは助かった。

 それよりも…


「ミ゙りァ゙、聞いてっ、るの?ね゙ぇ!なぁん゙で無視するのぉ゙!」

「うぁぁぁん!ヒック!うぅ…わたっしじゃぁ、ダメっなの!やまるらら〜、ひっく!ゅるしてよ〜…うぁぁぁぁんん!」


 こちらも助けてほしい。

 ミリアは確かに「そうだね」と返していたのに、ニナは何故か怒ってるし、モナカはさっきまで怒っていたのに泣いている。


「お二方…こちらも助けてほしいのですが…」

「…まあ、2人とも頑張っているでしょうから、少しぐらい甘えさせても良いのでは?」

「そうよ。ミリアちゃんのことだし、ニナちゃんにもモナカちゃんにも苦労させてるんでしょぉ?少しぐらい休ませてもいいんじゃな〜いの?」

「いや、苦労なんかあんまりかけてないですよ」

「かけられてます〜。いっつもやっ介ごとわたしに押しつけ、てる゙じゃん!」

「わたしも!ひっく。わたしだって、めいらくあえられてまうー!」


 普段は協力してるところを見ないのに、ミリアに押し付ける時に協力するのはどうかと思う。


「さて、5人中2人は酔いつぶれてるけど、本題を話しましょう。

 今日は毎年恒例のお祭りを行うのだけれど、今日は非常に魔力の巡りと星の軌道がいいから、ついでに奉納も行うのよぉ」


 奉納というのは、魔術に頼っているレティーラ王国が行う儀式だ。

 レティーラ王国は精霊の上位存在である聖霊と契約を結んでいる。

 そのため聖霊に対し、時には物、時には魔力、時には魔術を奉納することで聖霊への感謝を示し、これからの繁栄と協力を願うのだ。


「今日は魔術を奉納するのだけれど、いつもの魔術の奉納とは違って、古代魔導具を使った魔術奉納を行うのよ」

「大丈夫なのですか?」


 古代魔導具というのは、現代と分割される3000年以前を指す古代に作られた魔道具だ。現在ではその製法、技術共に失われているため、量産はできず再現すら不可能な完全なロストテクノロジーである。

 それだけで古代魔導具の価値を理解できるだろう。

 しかし、古代魔導具の特徴はそれだけではない。

 古代魔導具は人間や精霊と変わらない知性と明確な意思を有している。またそれぞれが非常に強力な魔道具で、戦争を古代魔導具たった一つで終わらすこともできる程のものもあるほどだ。

 だからこそ、奉納などの特別な時以外は歴代『結界の魔術師』によって封印結界を張られだ上で厳重に保管されている。


「あら、結界に関してはローランちゃんがいるから大丈夫よぉ。それに、もし戦闘になってもミリアちゃんとモナカちゃんがいれば大体解決するから、そんなに心配しなくていいのよぉ?」


 そういうことではないのだが、ミリアは気にしないことにした。

 ミリアはまだ酔っている2人に腕を掴まれながら、奉納が始まるまで動かないと決めた。


「せっかくですから、師匠の運勢も『黄昏の預言者』殿に見てもらってはいかがですか?」

「余計なお世話だ」

「…出たわよぉ。ミリアちゃんの運勢はぁ…

 ドキドキ!心臓に悪い事が沢山の起きちゃう!

 だけど同じく恋愛運も絶好調!ちゃんと選んであげないといけないわね★」


 どうでもいいと考えつつ、心臓に悪いことについて静かに考え始めてしまったミリアだった。

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