第四十四話:手加減無用
ミリアはモナカの所を対処した後、ニナの場所へ跳躍した。
そしたら、ニナが侵入者相手に倒されかけていたため、適当に風の刃を放った。それと並行してニナの背中に手を当て、ニナの傷を癒した。
「ニナ、ごめん。遅くなった」
「ミリア!」
ミリアはニナに返事をしつつ、侵入者に向かい合った。
侵入者は白髪の青年で、先程切り飛ばした右腕の断面からはもう血が出なくなっている。
「やるな〜、お前」
「…たまにはカッコいい所も見せないとなんでね」
ミリアは返事を返しつつ、この侵入者をどうするか考えていた。
ニナをあれほど傷つけたのは許さないし、さっきのモナカの件も忘れられていない。だが怒りに駆られてこの男を殺し、情報を聞き出せなくなるなどは論外だ。
分かっている。そう、分かって入るのだが…
「悪い。今手加減出来そうにないんだ。
けど安心しろ、死なない程度に痛めつけてやるから」
「つまり俺相手に手加減するってことか?
面白いこと言うもんだなぁあ?」
侵入者は詠唱を始めた。
短縮詠唱だ。当然に魔術の発動も早い。
しかし、ミリアは侵入者の詠唱が終わる前に呟いた。
「発動」
雷の詠唱を紡ぎ、侵入者の心臓・脳・四肢に直撃させた。
侵入者はあまりの電圧の強さに口を開けて動かないでいる。かなりの高電圧のため、暫くは動けないだろう。
しかし、ここで油断するミリアでもない。
「発動
発動」
ミリアは侵入者の残っている四肢に加え、魔術詠唱に必要な舌を風の魔術で切り落とした。切断面は魔力変質による延焼で止血しているため失血死はない。
その上で脳天に岩を死なない程度にぶつけ、完全にノックダウンさせた。
「ニナ、遅れてごめん。
もう少し早ければあんなことにならないで済んでたかもしれない」
「ううん。
私が弱かっただよ。ミリアが謝ることなんてない」
ニナは少し思い悩んでから、ミリアに抱きついた。
「に、ニナ?」
「私、ずっと思ってたんだ。ミリアに私は釣り合わない、モナカとの方がミリアに釣り合ってるんじゃないかって…」
「…」
黙っているミリアを抱き続けながらニナは続ける。
「私は取り柄の魔術を使えなかったら多少勉強ができるだけの一般人。
下級魔術師と大して変わらない実力で、今回それを改めて思い知ったんだ。
だから…ミリア、あなたから魔術を直接教わりたいの」
「…私以外にも、ライクネット教諭がいるだろう?」
「あの人は説明は分かりやすいけど、私はミリアから教わりたいの。
…お願い…私はあなたに守られてばかりは嫌なの」
ミリアは少し思案した後に答えを出した。
「分かった。
これからは私も教えるよ」
「…うん、よろしくね、ミリア!」
自分が全部教えるわけじゃないと暗に言われ、ニナは少し不満に思ったが、一歩前進しただけでよしとした。
ついでに、後ろで待機してやがるモナカへの牽制にもなる。
「…モナカ、話は終わったのか?」
「はい。全部話してもらいました」
「そうか…セリアーネとこの侵入者は私が処理するから、2人は寮に戻ってくれ。
あまり長く消えすぎても怪しまれるからな」
モナカとニナは少し不満そうにしながらも戻っていった。
「ネロ、メロ、戻ってきなさい」
「はい!今回頑張ったから戻ったらご褒美くれよな!
そうだな、俺様は牛豚鳥の肉全部乗せがいい!」
「はい!たまにはいいこと言うじゃないネロ!
そうね、私は魚がいいわ!赤身と白身の丸々一匹が良いわね!」
「おいたまにはってなんだよ、コンニャロー!」
「あら何かしら!肉しか脳のない猫が!」
「ニャンだとー!」
「ニャニー!?」
仕事が終わるとすぐ騒ぎ立てる使い魔達に頭を悩ませつつ、ミリアは呟いた。
「明日の出費…絶望かな」
明日のご褒美に出す出費額を考えて青ざめた。
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