第四十三話:二人目の被害者
ニナは今、学園の結界ギリギリの森で待機している。
ニナの役割は、結界に関することだからだ。
現在、モナカが第二王子暗殺目的の魔道具を無効化するために結界を弄くっている。
ミリア経由で聞かれているが、その魔道具は恐らく盗み出された魔道具であるため、結界の侵入不可といった効果を無視して対魔道具に切り替えるしかない。
結界を対魔道具に切り替われば、学園への侵入が可能になる。
ミリアが見つけた恋文を出したのはほぼ確実に外部の第三者。
なら、その外部の者にこの機をつかれる可能性は考えて当然だ。
ニナの役割は侵入者の捕縛もしくは足止めだ。
ニナは魔術を使えば七賢者の中でも最強だが、詠唱が終わる前に殺されればそれまでだ。
どからこそ、ニナの行うことは捕縛よりも足止めに重きを置いたほうがいいだろう。
「メロちゃん、どう?」
ニナにはメロがついている。
メロは、ニナが不得意な、探索や感知が得意なため、何処から侵入してきても翻弄されないのだ。
メロの役割は侵入者の位置共有のニナの補助だ。
「結界が対魔道具に変わったわね」
「いよいよね」
ニナが腕を伸ばしストレッチをしていると、メロが声を上げた。
「来た!真正面にいるわよ!」
ニナはメロに反応してすぐに詠唱を始めた。不測の事態でもすぐに魔術を発動するためだ。
そして、来た。
「眠れ!」
ニナが発動した魔術は睡眠魔術。
侵入者がこれだけとは思わないため捕縛はせず、また次の詠唱を始めようとした。
その瞬間に、体が切り刻まれた。
「うっ!あぁぁ!」
傷は浅いが至る所に傷ができている。
不可視とこの切れ方は風の魔術を行使したのだろう。
「堅く守りきれ!」
「風よ、舞い上がれ!」
ニナは即席の結界を張ったが、相手の風の魔術に破壊された。
当然だ。ニナは自分の得意とする魔術以外は人並みほどにも使えないからだ。
そしてまた、体が切れた。
(私じゃ回復魔法や再生魔法は使えない…
このままじゃジリ貧じゃない。どうすればいいの?)
ニナは痛みに悶えつつ、どうすればいいのかを考えた。
(多分、コイツはまだ攻めなくていいんだ)
本来、結界から侵入不可が消えたのなら、暗殺対象を暗殺するためにもっと急ぐはずだ。
なのに、侵入者はニナを殺せる実力があるのにいたぶっている。
なら、協力者が結界内、学園内にいると考えるのが自然だ。
第二波、第三波…
何回も風を受け、服はボロボロ、肌が露出し、その肌も切り裂かれ血を流す酷い状態だ。
(痛い…痛い…)
ニナは知らぬ間に尻もちをついてしまった。
そして侵入者はこちらに卑下な笑みを浮かべて誓ってくる。
「もう少し時間もあるんだ。
少しくらい遊んでも文句は言われねぇだろ。
なぁ嬢ちゃん、付き合ってくれよなぁあ!」
「ひっ!やぁ!」
ニナは掠れた震え声で呟いた。
「ミリア…助けて…!」
そう呟くと、侵入者の腕が切断された。
そして、それと同時に背中に温かさを感じ、体の傷は癒えていった。
「ごめん、ニナ。遅くなった。」
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