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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第四章:授業編
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第三十七話:暗号

 ミリアは監査の、昨日の残りの仕事を終わらせるためにいつもより早く校舎に入った。

 想定よりも早く仕事が終わったため、その分早く教室に入ると、女子生徒たちがからかうような笑い方で話をしていた。


「聞きました? 先日、青い刺繍の手紙を裏庭に落とした生徒がいたんですって」

「あらまあ、その人は随分抜けているのね。 でも、放火g歩に回収したという話もありますわよ」

「その人にはよっぽど思いを伝えたいお人がいたのでしょうね」


 クスクス、という笑い声を聞きながら、ミリアは昨日の放課後を思い出していた。

 青い刺繍の手紙とは、ミリアが拾った、謎の暗号が書かれた手紙なのだろう。

 昨日は、謎の暗号を書きたくなる人もいるかと思い、あえて捨てていたあの恋文だったが、もしかしたらきちんと意味があったのかもしれない。

 ミリアは少し思い返してみることにした。


 青い鳥と緑の蛇の絵。

 『倉庫』『ハト』『p545』『赤いハチ』『50』という、5つの暗号が書いてあった。


 どういう意味なのだろうーと考えたところで、前の席から大きな声が響いた。


「ヤバいヤバイヤバイッ…!」

「どうしたんですか?」

「今日経済学の提出物があるんだけど、寮に忘れちゃったんだ」

「今からでも、取りに行けば?」


 幸い、これからホームルームが始まるまであと十五分もある。

 探す手間と往復の時間を考えるとしても、充分時間は足りるだろう。


「それが、俺の部屋結構散らかってて、探す間にホームルーム始まりそうなんだ」

「それは、ご愁傷様」


 陰鬱とした空気の二人を、横目で見ている女子生徒がいた。

 モナカの友達、田舎貴族令嬢、セリアーネ・サザンドール。


 * * *


 ミリアは昼休み、図書館に来た。

 理由は長い間借りていた本を返すこと。ついでに自習。

 ミリアが本を返し自習をしていると、司書の生徒が独り言を喋っていた。


「昨日の放課後、男女が恋文を書いてたのよ。

 ここ、恋文を書く場所じゃないんだけど…

 貴方のクラスでも流行ってるのかしら?」


 何故かこちらに聞いてきた。


「ええ。かなり、流行ってます」


 * * *


 ミリアはその後、ある閃きの裏付けとして、少し調べ物をすることにした。

 そして、その調べ物のために、裏庭に来た。


「昨日は…確かここだったか」


 ミリアは昨日恋文を拾った場所にまで来た。

 が、恋文はなかった。

 ただの恋文なら、それは別におかしなことはない。

 だが、暗号文なら?誰かがそれを利用するために来たなら?


 そして、ミリアはもう一つ見つけた。

 花が踏み荒らされた跡…そして、三種類の魔力痕。

 魔力が多い者、もしくは魔道具を所持しているなら、ただ歩くだけでも魔力の痕跡が残ることが多い。

 魔力痕は、少なくとも魔力量が100ないとできない。

 ミリアは魔力量が少ないため、魔力痕ができることはない。

 それなのに三種類残っている。

 どれも七賢者ではないことは確実だ。


 この学園では魔力痕が残るほど魔力の多い人物はそう多くはない。

 ならば、魔力痕が何故これほどまでにあるのか?

 ─魔道具を所持しているからだ。


 何故、魔道具を所持しているのかー

 何故、あの暗号文を回収したのかー


(まさか、まさかまさかまさか!)


 ミリアは暗号文の意味を理解した。

 そして、このまま放置しておけば被害が起きるということにも、気づいた。


(タイムリミットはー六時まで)


 それまで残り、10分。


(クソ! 先手を打たれた!

 来い!メロ!)


 ミリアはメロを呼び出し、ニナとモナカに事情を伝え、そして失踪した。

 この作戦の実行者は、三人

 タイムリミットまで、残り10分。

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