第三十六話:青い刺繍の手紙
ミリアは珍しく裏庭で昼食をとっていなかった。
ニナと一緒に食べているわけでもない。
そう、ミリアはこの学園で出来た友達と一緒に、食堂で昼食をとっているのだ。
メンバーは、ミリア、ニーア、ギー、そしてさも当然のように座るいつも通りの不良ライ、の4人だ。
「何で君がいるのかな、ライ君? 俺達は君を呼んでいなかったはずだよ」
「俺がいつ何処でどんな様にしても俺の自由だろう?」
全員が呆れつつ黙々と食事を勧めた。
「なぁ知ってるかお前ら? 最近恋文が流行ってるんだとよ」
「そうそう恋文」
ニーアが恋文に興味を持つとは意外だ。
ニーアほどの優しい人なら婚約者などいそうなものとミリアは思っていた。
「青い刺しゅうをした恋文を相手に出して、相手から同じ刺繍の手紙が帰ってくれば、恋が叶うんだとよ」
正直ミリアはそこまで人の恋路に興味のある人間ではないので、適当に聞き流して休み時間が終わった。
* * *
ミリアは放課後、裏庭に来た。
「最近はストレスがたまる、たまる…」
ミリアは日頃のストレスを花を見て癒そうというわけだ。
最近は毒殺未遂やらライからの邪知暴虐がストレスの原因だ。
ミリアは噴水の端に座った。
ここから見た花の景色はとてもきれいで、見る者の心を落ち着かせる。
そして、ミリアは見た、気づいてしまった。
噴水の下に青い刺しゅうのある封筒を。
「こんなところに恋文を落とすか?」
ミリアは好奇心のままに封筒を開けた。
人の恋路を除いてはいけないことは理解している。
ただ、学園に入学してから娯楽の一つもなく、それゆえに疲弊したミリアの理性はその行動を止められなかった。
「青い鳥と、緑の蛇?」
封筒を開けると実に期待外れの内容だった。
封筒には、今流行っている青い刺しゅうがしてある恋文のような人の恋路ではなく、謎の暗号が記されていた。
「何だ、これ?」
ミリアは不思議に見つめつつ、封筒を投げ捨てた。
こういう謎の物は深入りするとこちらに害が及ぶ、と経験則で知っているからだ。
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