表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無情の魔術師  作者: 情緒箱
第三章:生活編
30/31

第二十六話:謝罪

(言い過ぎたかな)


 ミリアはチェスの見学授業を終え教室に戻るとそう思った。

 チェスの授業での、終わりのころの発言に関してだ。


「…いつ謝ろうか」


 ミリアは、モナカが全力でやってないことは疑いもしない。

 それほどまでに、あの沈黙は計算能力も、予測能力も恐ろしく高いのだ。

 ただ、ミリアが言ったことに、モナカが傷ついた顔をしたことが忘れられない。


「どうしたの?」


 ミリアがモナカの顔を思い返していると、ニナが声をかけてきた。


「選択授業のとき、チェスでさ。 モナカとやったんだ」

「…へ~」


 チェスの話を切り出すと、ニナは口角を下げてジト目になった。


「不機嫌、なってない?」

「なってない!」


 ミリアには不機嫌になっているとしか思えなかったが、そこを追及すると話が進まなくなるので頭の片隅に置いた。


「全力でやったんだけど、モナカが、自分が不利になる手を、打って…全力でやってない、思ったんだ。

 それを問いただしたんだけど、その時の、モナカの顔が、忘れられなくて」

「後悔してるなら謝ったら?」


 それはミリアだって思ってる。


「いつ、どこで、謝ろうか迷ってる。 呼び出して、二人きりになったら、はどうかな?」

「ダメ! …生徒会室で謝ればいいんじゃないの?」


 ミリアは生徒会室で謝る様子を想像した。

 生徒会室で、モナカがうろたえている様子しか見えない。


「うまくいくかな」

「いかなかったら、その時考えればいいの! 大丈夫よ私がいるんだから。 サポートしてあげる」

「ありがとう」


 * * *


 そうしてニナの助言の下、ミリアは謝りに向かった。

 ちょうど生徒会室にも用事があるので、そこで謝ればいいだろう。


 ミリアが考えながら生徒会室に入ると、そこにはもうモナカがいた。

 ミリアはモナカに近づいた。


「モナカ」

「な、なに?」


 ミリアは頭を下げて、言葉を詰まらせながら、おどおどしたモナカに言った。


「…チェスの時、言葉使い間違えて、傷つけた。 ごめんなさい」

「え? あ、うん。 ぜ、全然大丈夫。 だ、だから、頭、上げて?」


 ミリアは躊躇しながら顔を上げた。


「わ、わたし、別に傷ついてないから、だ、大丈夫だよ。 あ、でも、わたし、あのポーン、ミスしただけで、わざとじゃない、から」

「うん…ごめん」


 お互いに気まずい雰囲気になったところで、モナカが口を開いた。


「そういえば、ミリアはどうしてここに? 監査の仕事のはまだでしょ?」

「うん、それは急な仕事が、入って…。 資料室で、フィリップ殿下と、セフィル殿下が…話し合うらしいから…その監視で、呼び出され、たんだ」


 そこまでしゃべったところで、後ろから扉が開く音が聞こえた。


「二人とも、お取込み中だったかな?」

「お邪魔いたしますわ」

「えっと…お二人ともすみません…」


 気を使ったフィリップと、堂々としたセフィルと、困ったようなニーアが入ってきた。


「えっと…それじゃあ、すぐに話し合いを始めるので、担当の人は資料室に移動願います」

評価、ブクマなど、投稿の励みになりますので、どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ