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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第二章:監査編
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第十六話:焼き鳥にしてやろうか?あん?

 監査の仕事は、特にキツくなかった。

 最初の2日であるのもあるだろうが、学園側から渡された資料と、生徒会・運営会が間違った表記をしていないかを調べるだけだ。

 単純で体が疲れないだけ、精神的疲労が強かった。

 単純な問題では、慢心すれば単純な答えも出せなくなってしまう、それと同じだ。

 そして何より恋愛脳のオベールが大変よく話しかけてきたことだ。

 これがなければ、もう少しマシだった。


「ミリアが帰ってきましたよ〜!」

「いじり倒してやるぜぇ!」


 ミリアが寮の部屋に入ると、2匹の猫が寄ってきた。

 そして不穏なことを言っていた。


「…お前ら、何をする気だ?」

「簡単よ! 今日オベール?ってやつにいろいろ言われたろ?」

「でも言わなかったでしょ? だからミリアの好きの人を聞き出すのよー!」


 この猫達はどうも人の聞きたくないことを聞いてくる。


「…別にいない」

「不貞腐れてるの丸わかりで〜す」

「じゃニナの事はどう思ってんだ〜?!」


 痛いところを突いてくる。


「…ニナは家族だよ」

「家族!?ねえ、それってどういう意味?!」

「うるさい」


 ミリアは答えると、首にかけたペンダントを弄りだした。


「…ミリア」

「なんだネロ」

「そのペンダント、詳しく見させろっ!」


 ネロがペンダントに向かって飛びかかると、ミリアは蹴りをお見舞いした。

 普通の猫にはもちろん何もしないが、ネロは猫ですらないので気負う必要はない。


「これに、触るな」


 ミリアのその一言は、場を圧するには十分だった。


「す、すまん…」


 ミリアはネロの謝罪を聞くと、すぐに圧を解き、酒を飲み始めた。

 直後にコツン、と音が響いた。

 見ると、小さい鳥がいた。

 もしやと思い窓を開けると、その小鳥は部屋に入り、女性の姿に形を変えた。


「『結界の魔術師』が契約精霊、アルファードと申します。 フィーちゃんと気軽にお呼びください」

「後で焼き鳥にしてやる」


 アルファードが来た意味を察したミリアは、すぐに終わらせようと答えた。


「わたくしは伝令係です。 この紙に潜入の報告内容を記入してください」


 ミリアは紙を取り、重要なことを書いた。

 監査になったこと、第二王子と第二王女の接触に完了したことの2つだ。

 ミリアが記入し終えた紙を渡すとメロがソワソワし始めた。


「…ミリア」

「なんだ?」


 メロの言葉にミリアはコップを置いた。


「裏庭で、2つ、高い魔力反応があるわ。 氷と風ね。 あと、不審な魔力反応もあるわ」

「分かった。 ネロ、ニナを起こせ」

「あいよ〜、ニナー!」


 ミリアはネロに、今まで寝ていたニナを起こさせに行くと、自分は準備を始めた。


 黒いローブ・フード、腕輪、2つの指輪、そしてペンダント。

 それは、これまでのミリア・マイルではなく、

 ミリア・アルトの─七賢者『無情の魔術師』の姿。


「アルファード、氷の魔力反応に『沈黙』を向かわせた後、後で準備し終えるニナと共に、周囲を監視。

 メロ、案内しなさい。 ネロ、私について来い」


 そう言い、ミリアとメロとネロは窓から寮を飛び出した。

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