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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第二章:監査編
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第十四話:いざ生徒会へ

 放課後、ミリアは生徒会室の前へとやってきた。

 監査初日の仕事は、生徒会との交流がメインになる。

 監視するなら、ついでに相手をよく知っておいたほうがいいだろう、という考えのもとである。


 ミリアが生徒会室に入ると、既にニーア、モナカ、

ラークを除く生徒会役員全員が揃っていた。


「こんにちは、ミリア君」

「こんにちは…生徒、会長」


 生徒会室では、すでに作業が始められていた。

 少し資料を覗き見ると、近々開催されるセレスティナ、ゴードン、カロライナの三校交流大会についてだった。

 三校交流大会では、言論、チェス、演奏で、三校の視点と関係を深め互いに成長していくことが目的となっている。

 三校交流大会の時期は6月。

 編入生として入学したミリアとニナは、新入生として入学したイザベルと比べると一月遅い5月に入学した。

 勿論監査も審判として参加するため、猶予は後一月しかない。


 ミリアは生徒会室から資料室に入った。


「こんにちは、副会、長」

「こんにちは」


 ミリアが見たのは、仕事を教えているラークと、

教えられているモナカだった。

 ミリアはラークの胸元のブローチを見た。

 その魔道具の周辺は基準よりも高い空間魔力量になっていた。

 ブローチをよく見ると、『魔力濃縮』と濃縮した魔力の『魔力放出』の機能が付与されていた。


(魔力過吸収か)


 魔力過吸収の実名は魔力過剰吸収症。

 まず、人には貯蔵できる魔力には限度がある。

 魔力過剰吸収症とは魔力を吸収しやすい体質の者が、その器を魔力が超えることで、体調に何かしらの変化が起こる症状である。

 症状は良い症状もあるが悪い症状がほとんどである。

 その症状を防ぐ為のブローチとは簡単に分かった。


「どうした、私に虫でもついていたか?」

「いえ、なんでも、ありま、せん」


 ミリアはラークの視線に気まずくなって資料室を出た。


 * * *


 生徒会室に戻ると、なにやら先ほどまでいなかったニーアを中心に話していた。


「では、チェス大会の方は例年から1日ずらしての2日目開催でよろしいでしょうか?」

「構わないよ」


 どうやら三校交流大会についての日程に関することらしい。

 日程の組み合わせについてはてっきり相談事務所の仕事だと思っていたミリアだったので、権限の大きさに少し感動した。


「次に選抜ですが、演奏は決まり、チェスはこれからというところですが、言論大会のメンバーはどうしましょうか?」

「編入生の分もあるし、まだ確定はしなくてもいいんじゃないか?」

「そうですわね。 前回出場者と出場希望者、あとは言論の優秀者の中から候補を5人まで絞ることを優先してはよろしくて?」

「では、候補者を絞るだけ絞って、確定はしないよう進めておきましょう」


 ニーア、エリック、メアリー、ニーアの順で喋っている。

 こうしてみると、やはりニーアが仕切っているのがわかる。

 行儀ごとではいつもこうなのかとミリアは気になっていた。


「…アーリア、嬢…キャン、ベル庶務は…行事、あったら、いつも、ああなの?」

「そうよ、キャンベル庶務は能力もリーダーシップも高いから、準備から当日の指導も行って、相談事務所の調整の手伝いもしてるお方なの」

「凄い、ですね」


 責任者?と言えどまさか準備だけでなく当日も動くとは。

 更に他部の手伝いもするなど、かなりのお人好しで積極性を持っていなければ出来ないだろう。


 ミリアはニーアに尊敬の意を感じながら、生徒会活動終了まで、生徒会室と資料室を行き来するカカシとして動いた。


 * * *


─フィリップ視点─


 僕は生徒会を解散して自分の寮に戻ると、振り返りを始めた。


(まず、モナカ・オルフェウスの仕事ぶりを見れば、ラークの教育に不安はない。

 そして、途中からウロウロし始めたミリア・アルトも特に不自然な様子は見当たらなかった。

 まだ尻尾を掴めてないニナ・マイルに警戒しよう。

 そろそろ編入してくるメラン・バグオールが本命と見てもいいかな)

「殿下、お茶をお持ちしました」

「ありがとう」


 僕は人型になったウェンから紅茶を貰い、静かに飲んだ。

 そして、『無情の魔術師』ミリア・アルトの書いた論文を読み始めた。

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