第十三話:バレた
ミリアが教室に入ると、待ち構えていたようにクラスメイト達がミリアに視線を突き刺した。
どうやら、監査という立場に就いたのは確定してしまったようだ。
そもそも、監査とは何か?
監査とは、組織が正常に働いているかを監視する組織である。
ミリアは面倒くさくなることをわざわざしようとは思わなかったが、生徒会には第二王子が、運営会には第二王女がいる。
その2人を違和感なく監視し、さりげなく護衛できるなら、とミリアは自分を納得させた。
ミリアは自分のイスに座ると、前の席にいたアーリアが話しかけてきた。
「ミリア君、監査になったんだって?」
「はい」
「そっかぁ、それじゃあこれから関わることも多くなりそうだし、よろしくね!」
彼女はそう言いながら、ミリアの隣に座るニナを見た。
ニナは今日はミリアの腕を組んでいる。
そしてムスッとした顔でアーリアとミリアを流し見た。
「ところで、ニナ嬢は積極的なようだね〜」
アーリアはニヤニヤした顔でニナとミリアを見た。
「………ッ! 別に、そんなんじゃないですよ! 私はミリアの介護係ですから! 介護!」
「ニナ、そんな関係…と、思われ…たくないで、しょ?」
ミリアが自分達を見ているクラスメイト達を指差しながらそう言うと、ニナは黙りこくった。
「鈍くさすぎ…(小小小声)」
「なんて?」
「フフッ、純粋ですね〜」
アーリアは笑っている途中に思い出したかのように話した。
「そういえば、昨日のダリス君…ああ、ミリア君の頬を叩いた人ね。 そのダリス君、停学処分が下りたんだ。 あんまり気にしてなさそうだけど、一応伝えておくよ〜」
「そう、ですか」
「安心したわね、ミリア」
正直とてもどうでもいい相手が消えただけなので、何も動じなかった。
ニナの発言は良い発言ではないが、自分を大切に主つまてくれている証明ということで寛容した。
「あ、たぶん今日お披露目で麺なと会うだろうからよろしくね」
「え?」
* * *
「あ、来た来た、来ましたよ〜殿下」
「うん、確かに来てるね」
ミリアは特別室に入ると、フィリップ第二王子とセフィル第二王女を含めた十二人がいた。
勿論、モナカを含めての数でもある。
「さて、君が正式に監査になったことはもう知っているだろう?」
「はい」
「それじゃ、仕事内容の説明から入ろうか。 監査は、表側の生徒会と裏方の運営会が正常に働いているかを監視する役員のこと。 勿論、監査は一人だけだよ。 一人だけと言っても、ここにいる十二人を見ていればいいから、たぶんできると思うよ」
(難しいです)
流石に1人で十二人を観るのは厳しすぎる。
一人でやれることには限界があるのだ。
ただ、選ばれたからには、護衛の件も兼ねてやったほうが良い。
ミリアは完全に諦めた。
「それじゃあ、今いる十二人を紹介しよう。 まずは生徒会から─」
生徒会長3年、フィリップ・アルト・レティーラ。
第二王子の護衛対象で、金髪と青い瞳が特徴。
副会長3年、ラーク・ヴェルトン。
薄く青い銀髪に凛とした姿の男子生徒。
書記3年、エリック・マージェ。
茶髪でジト目が特徴の男子生徒。
書記3年、メアリー・ラージェント。
金髪で、華美な装飾を嫌に感じない女子生徒。
会計2年、アーリア・フェリル。
蒲公英色の髪、陽気で親しみやすい女子生徒。
会計2年、モナカ・オルフェ。
ミリアと同じく潜入者の『沈黙の魔女』モナカ・エルノート。明るい茶髪と髪と同じ色の瞳が特徴。
庶務2年、ニーア・キャンベル
薄いオレンジの髪と小柄なのが特徴の男子生徒。
「以上七名だ」
「続いて、運営会の紹介をしましょう─」
所長2年、セフィル・ベータ・レティーラ。
護衛対象の第二王女で、金髪と赤い瞳が特徴。
副所長3年、オベール・トランペット。
黄緑の髪と青緑の瞳が特徴の女子生徒。
事務2年、ディバード・フルート。
事務経験豊富で、いつでも絶やさない笑みが特徴の男子生徒。
実務2年、ホルン・ギタートス。
実務経験豊富で、機嫌が分かりやすい表情が特徴の女子生徒。
広報3年、クラリス・ヴァイオリフト。
黒髪と瞳、天井突破した演技力の高さが特徴の男子生徒。
「以上の五人がうちのメンバーだね」
ミリアはメンバーの名前と顔をしっかり一致させて覚えた。
そして再度思った。
(1人は、無理…)
「ミリア君、監査の仕事は明日からの放課後だから、明日からよろしくね。 それじゃあ解散にしよう」
フィリップのその言葉により、今日のところは解散となった。
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新章開幕。




