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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第一章:学園入学編
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閑話ニ:化けの皮と監査誕生

─フィリップ視点─


 僕は、ミリア・マイルとモナカ・オルフェウスの2人に見直しの作業を任せてから、資料室の少し奥のの机に鍵束を落とした。

 鍵束を使えばこれまでの学園の情報を全て閲覧することができる。

 僕は資料室から生徒会室に戻った。


「…宜しかったのですか?」


 胸ポケットから、小さな白いトカゲ─僕が契約している高位精霊『ウェンラポート』が出てきた。

 彼は高位精霊故に高い知能と理性を持つため、このように会話することもできる。


「何か気になることがあったかい?」 

「鍵束を、わざと落とされましたでしょう?」


 ウェンは小さく口をパクパク動かしながら僕に聞いた。


「ウェン、あの二人をどう思った?」

「…女子生徒の方は、何と言いますか…ええ、…残念と。 男子生徒の方は、掴みどころのわからない、ただ無意識的に信用する様な印象を受けました」


 どうやら僕とウェンの感じたことは同じだったらしい。


「そうだね。 そこで考えた。 あの2人には、もしくはどちらか…何かしらの目的を持って潜入しに来たんじゃないかってね」


 そう…今年の編入生は多い。

 定年、1年に3人も届かない程の数なのに対し、今年は4人。

 僕にはまだ隠してやらなければいけないことがあるし、それを邪魔されたくないから、護衛とかの邪魔者は消している。

 結界の魔術師がよこした潜入者は、最初こそ結界の魔術師の弟子のメラン・バグオールだと思っていたけど、先入観は良くない。

 それに、そちらに意識を割かせ、他の潜入者の存在がバレないようにしているのでは、とも思った。


「考えられるのは3つ。

 1つ、アズノール公爵がよこした私の監視役、

 2つ、国王陛下が準備した私の護衛役、

 3つ、私を狙いに来た─刺客…。

 ただ、2つ目は無いだろうね」

「同感です」


 この3つのうち、モナカ・オルフェウスはあの人見知りから、1つ目と2つ目はあり得ず、更に僕の殺害チャンスを逃したことから3つ目も考えられない。

 ミリア・マイルも3つ目は無いだろう。

 ニナ・マイルは不明だが、ミリア・マイルと同じ勢力の可能性が高い。

 ただ、信用させてから暗殺するという手もある。


「だから、餌をまくことにした」

「餌、ですか?」


 棚には僕にしか確認できない仕掛けがある。

 その仕掛けに何か変化があれば黒。

 どの情報を必要としているのかもわかる。

 そうでなければ白。


「…いずれにせよ、黒か白かは、昼休みになればわかることだ。 ウェン、昼休みまでの資料室の監視を頼む」

「承知しました」


 ウェンが資料室に入り込んだのを見てから、僕は生徒会室を出、教室で授業を受けた。


 * * *


 昼休み。

 僕が資料室に入って一番に、鍵束が動いているかを確認した。


(少しも動いていない…)


 鍵束は少しも動いておらず、見直しに不要な棚に付けた仕掛けは変わっていない。


(だったら、ひとまずは白だね)


 僕はそれを確認してから、資料室に入り込んだ。


「…殿下、この者達は?」


 ─メアリーが聞いてきた。


 * * *


 僕は今日、空いていたあと一つの会計の席にモナカ・オルフェウスを座らせた。

 そして、ミリア・マイルは運営会に連絡した後に正式に監査となる。


 これで、会長1、副会長1、会計・書記2、庶務1の座が全て埋まる。

 そして、生徒達の要である生徒会と学園の運営に立つ運営会の両方の監視をする必要があるが故に監査1 の席が埋まらなかった監査も埋まる。


 僕は新監査誕生のため、第二王女セフィルに、特別室で話していた。


「─ということだけれど、ミリア・マイルを監査に任命させてもいいかな、セフィル?」

「構いませんわ、お兄様。 ただ、任命後、監査の彼を借りてもよろしくて?」

「構わないとも。 ただ、こちらも使うから、弁えてはくれないかな?」

「分かっていますわよ、お兄様」

 

 運営会所長のセフィル、生徒会室生徒会長に認められたミリア・マイルはこうして、最も大変な監査に就任した。

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