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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第一章:学園入学編
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第十話:友達誕生なるか!?

 結局、翌朝までネロが探索したものの、黒服は全く見つからなかった。

 そして、ネロが戻って来るまで眠らなかったミリアは、当然徹夜で夜を明かし、ホームルーム時には睡眠欲全開状態になっていた。


 ミリアは朝のホームルームが終わると仮眠を取った。


「ねえ、君」

(変な声が聞こえたな、寝るか)


 ミリアは自分に近づいてきた男を一瞥した後、また寝始めた。


「おい」


 今度は肩を揺さぶられた。

 ミリアは2度も無視するわけには行かないと思ったのでしょうがなく目を開けた。


「何、ですか?」

「君、ニナ嬢と随分と親しいようだね。 もしかして、君の婚約者だったりするのかい?」

(何を言って…。 ─あぁそういうことか)


 ミリアは一瞬何を言ってるかわからなくなったが、理解した。

 この男は、ニナに興味があるのだろう。

 そして、ミリアとニナの姓が同じ(つまりもう結婚してる?)なのが気に食わないのだろう。

 マトモな考えをしてれば結婚等してないと分かるだろうに、とミリアは哀れんだ。


「違い、ます。 ニナは、僕とそんな…仲じゃない、です」

「ふ〜ん、だったら君をどうしても怒られないわけだ。 …ねぇ?」


 男はミリアに肩を置いた。

 馴れ馴れしいと感じながら、ミリアは手を払った。


「…わ、僕はニナが、誰、と添い…遂げようが、構い、ませんよ。 ただ、貴方の、ような人とは…家族として…認め、ません」

「生意気だな」


 ミリアはニナがどうとかは思っていないが、それでも親友として、そして設定上家族として、この男が一緒になるのは良くないと考えた。

 勿論、ニナがこの男を惚れない限りだが。


 そんなことを考えていると、ミリアは頬に痒みを感じた。 


(頬を叩くとか、暴漢かよ…)


 ミリアは指輪を嵌めることで対物理結界を張っているが、手袋の上から指輪を嵌めるなどとうていできることではない。

 なのでミリアは学園に来る前に貼ってきた。

 そしてその甲斐もあって、頬を叩く痛みをほぼ感じないまでにすんだ。


「おいたが過ぎるね、ダリス君」

「貴方は…」


 ダリスと呼ばれた男は、声を上げた女子生徒に振り向くと、一瞬でひるんでしまった。


「君、大丈夫かな?」

「あ…はい、大丈夫です」


 一瞬、演技が抜けたが、一瞬なので気づかれていないだろうと楽観するミリアであった。


「私は、君はもう少し考えられると思っていたよ。 人の頬を理由もなく叩く。 なんと、立派な停学理由になる」

「て、停学…?」

「今は時間が無いからね。 放課後、少し話そうか」


 そう彼女が言うと、ダリスは諦めたように席に戻った。


「君…ミリア君だったかな? 大丈夫だった? 怖かったよね」

「…助けて、くださり、ありがとう…ございました」

「別に良いってことよ! 私は弱いものイジメが嫌いだからね!」

(私は弱い扱い…。 うん…。 丁度いいか…)


 こうしてミリアは懲りずに仮眠を取り始め、1時限目の担当教師に怒られたのだという。


 * * *


 ミリアは1時限目終了後、ホームルーム時に助けてもらった女子生徒と話していた。

 どうやら彼女の名前はアーリア・フェリル(略称リア)と言うらしく、生徒会役員でもあるようだ。


「貴方の好きな物を教えてくださる?」

「僕は…ミラの紅茶、が好き、です」


 ミラとは、まろやかで口に残らない甘みが特徴の紅茶だ。

 ミリアは紅茶はミラしか飲まないため、あまり紅茶に詳しい訳では無いが、それでも一番美味しいのではと思った一品だ。


 このような他愛のない話をしていると、教室がざわめき始めた。

 そこに目を向けてみると一人の男子生徒が教室に入ってきた。

 少し水色に近い銀髪の、細身の男子。

 彼が動くたびに教室のほとんどの女子生徒たちが色めいた声を出す。

 勿論、ミリアはこの男子生徒を知らないが、少なくともクラスメイトではない。

 ミリアは、クラスメイトではないのにどうして他教室に入っているのかが不思議でたまらなかった。


「私と同じ生徒会副会長の、ラーク・ヴェルトン様よ。 いったいどうしてここに…」


 生徒会の中でも副会長は1人しかいない、生徒会長である第二王子の最側近にあたる。

 そのような人物がわざわざ何のようだ、と思っていると、ラークは壇上に上がり、男性にしては少し高い声で告げた。


「このクラスに、ミリア・マイルという男子生徒はいるか」


 全クラスメイトの視線がミリアに注がれた。


「…は?」


 ミリアの頭には疑問符しかない。

 何故自分なのか、先入書だとバレたのか、何か問題でも起こしたもしくは捏造されたか。

 ミリアの思考は巡り回ったが、結局分からず頭がショートした。

 ふと助けるを求めるようにニナを見ると、そっと目を離された。


(クソ…何で私が呼び出されているんだ?)


「君が、ミリア・マイルだな?」

「は、はい…」

「私について来い」

「ええ…」


 ミリアが思わず嫌そうな顔をすると、ラークに不機嫌な目を向けられた。 

 ミリアは生徒会に近づけることは嬉しいが、別に厄介事に巻き込まれたくはないし、そもそも授業があるのだ。

 授業欠席で怒られたくはない。


「授業があり、ます」

「安心しろ。 アーリア嬢、2時限目の教授に、生徒会からの呼び出しでいないと伝えておいてくれ」

「分かりました」

「えっ!」

「不満か? 生徒会から呼び出されたというのに?」

「いえ、全く! 光栄の─ゲホッ、極みで…ございます」


 こうしてミリアは強制で教室を後にし、生徒会室に連行された。

 ニナは急展開過ぎて能の処理が追いつかず、ミリアは困惑と不満を胸に連行された。

 対して外でこの状況を覗き見ていたメロは笑い転げ、しっかりとニナに目撃された後、ミリアに密告されて叱られたとさ。

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