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無情の魔術師  作者: 情緒箱
第九章:編入編
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第百五話:狩りの開始

 ヘッケランは木によりかかりながら、鼻歌を鳴らしていた。

 既に『狩り』の準備は終えている。後は魔法戦が始まり、獲物達が罠に飛びかかるのを待つだけだ。

 ヘッケランの家系では基本的に一撃にどれだけ威力をのせられるかを重視しているが、ヘッケランは違う。

 彼が重視しているのは、どう楽しく狩りをするか、だ。


「今回の獲物達は、どれだけ俺を楽しませてくれるかねぇ?」


 ヘッケランは目を瞑った。

 そうして思い出すのは、ゴードンに在学していた頃のモナカの姿だ。

 彼女が15かそこらの時、ヘッケランはモナカに魔法戦を挑んだ。

 モナカが無詠唱魔術を扱えることは知っていた。だだ、無詠唱だろうと当たらなければ意味がないと当時は考えていた。

 そして、その思い違いは魔法戦開始から立った一秒で崩れ去った。

 モナカは針に糸を通すような命中精度で追尾術式を使い、ヘッケランを圧倒した。

 ウサギ狩りのつもりで魔法戦を行ったヘッケランは、圧倒的な猛虎と対峙したような気持ちになった。

 その時覚えた高い興奮を忘れたことはない。


「さぁて…楽しみだなぁモナカ?俺はお前とやりたくてやりたくて仕方がなかったんだぜぇ?」


 ヘッケランが舌なめずりをすると、遠くから魔法戦開始の鐘の音が聞こえた。


「まずは誰か1人、見せしめというか」


 ヘッケランが余裕の笑みを浮かべるのと同時に、上空に黄色い鎖が出現し、無数の雷が森に堕ちた。

 その雷のうち2本がヘッケランに直撃した。


 * * *


 雷がやんだ後、ヘッケランは木にもたれかかりながら息を吐いていた。


「クソッ。ミリア、アイツやりやがって…」


 さっきの雷のせいで、ヘッケランの魔力は約半分も失われてしまった。

 ヘッケランは今回の魔法戦においてあまり魔術は使わないことで魔力を温存しようとしていたが、今の状態だと、4人をあいてにすると負ける可能性が出てきた。

 ヘッケランが感知の魔術を発動すると、空からここまで一直線に飛んでくるものを感知した。


「さっきは散々だったが…さて、狩りを始めようかぁ」

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