自己紹介
私がポロッとヴァ―チルさんの二つ名をこぼしたところをしっかり聞いていたのかロスト隊長は笑いながら、
「なんや、ルイのことは知っとんたんか。こいつはなぁ、前のユニットから移籍するときに引く手あまたやったんやけど、コミュ障で誘いを引き延ばしてたところをワイがかっさらってきたんよ。」
と話を進めてくれた。私は興奮しながら、話を続けてしまった。
「はい、そのご高名はかながね存じておりました!私より年齢は一つしか変わらないのにその実績は群を抜いており、戦場では狙った戦士は逃さないハンターであり、前のユニットでは―—――。」
「おうおう、スゴイ勢いやなぁ。まあ、その話は後でするとしような。今からおるメンツで自己紹介でもしていこか。名前とポジションやけでいいから」
つい夢中になって話をしてしまいそうだったところをなだめられてしまい、恥ずかしくなりました。
気を取り直して皆さんに向き直り、
「失礼いたしました。改めて本日よりお世話になります、パトラ・フランメージュです。ポジションはアタッカーとサブコマンダーをしておりました。イグニコードのシングルです。よろしくお願いいたします。」
突然ですがコードについて説明したいと思います。
コードはこの世界に存在するマナを使って、事象を実体化させる技術のことです。
コードにはイグニ(炎)、アクア(水)、シルフ(風)、エレク(雷)、ガイア(土)の5つがあり、それぞれが対応した事象を起こすことが出来るのです。
例えば私が使うイグニコードは、マナを使い、炎をだすことができます。
コードを扱うにはデバイスが必要であり、デバイスの形は人それぞれですが、現在は銃の形がもっとも多く使われています。
シングルというのは扱うことが出来るコードの数を示しており、コードを複数使うとバランスのよく状況に合わせることが出来ますが、一つを極めてきたものには正確さや火力面で劣るというのが通説です。
以上がざっくりとしたコードの説明となります。
「イグニってことは火力に期待ができるなぁ?」
アラン隊長はからかうように言うと自分の自己紹介を始めました。
「わいはアラン・ロストや。ポジションはドライバーや。どんなところでもいけるし、迎えにいくで~。コードはガイアのシングル。よろしゅうな。」
ドライバーというポジションはどうしても戦果をあげにくい。
それなのに隊長になっているということはそれだけの実力があるということ。
侮ってはいけない人だということを改めて思いました。
そして、この場にいるのは後二人。
「あたしはナル・クライスってんだ。ポジションはまぁ、いうならアタッカーだ。ただあたし個人的にはボマーってのがあってると思うだけどよ。コードは秘密だ♪なかよくしようぜ!」
コードはその人の強さに直結するので隠すのはわかるけど、ポジションがボマーって言うのは物騒すぎる気がする。
まぁ、ただのジョークですよね。
そして私が一番気になる人の番が回ってきてたのです。
「・・・ルイス・ヴァ―チル。アタッカー、シルフのシングル。」
「・・・って、そんだけかい!もっとこういろいろとあるやろ!せっかくお前のこと知ってくれてるんやから」
「・・・それは前の俺だ。そして忠告しておく。そんな幻想はすぐに捨てることだな。」
今日は休ませてもらうといい、ヴァ―チルさんは行ってしまった。
冷淡な感じに戸惑い、何も言えずにいました。
クールな感じは予想していた通りでしたが、あそこまで冷淡なのはすこし解釈違いでした。
頭を掻きながら、ロスト隊長は
「いやー、ごめんなぁ。あいつコミュニケーションが苦手でついぶっきらぼうな態度になってしまうんよ。ただ良いやつたから、安心してな。」
と励ましてくれた。
今日は顔合わせだけだったので、そのまま解散の流れになりました。
明日から本格的にユニットとして動き出すそうなので準備は万全にしてほしいとのことでした。
部屋に戻った私は、お風呂に入りながら、つい鼻歌を歌ってしまいました。
呆気にとられた部分はあったけれども憧れの人と一緒のユニットで戦うことが出来るのだから、どうしてもテンションが上がってしまう。
そして、またほめてもらいたいなと考えていました。
そしてふと彼の言葉を思い出したのです。
”・・・それは前の俺だ。そして忠告しておく。そんな幻想はすぐに捨てることだな。„
彼にいったい何があったのか。
幻想とはいったい何のことなのか
そしてなぜスナイパーではなくアタッカーなのか。
たくさんの疑問が私の頭に浮かんできたのでした。
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