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憧れ

私の目の前には、あの日、私を助けてくれたあの人がいた。



4年前の私が育成学校を卒業する年のことだった。

戦線に赴き、実際の状況を体感するという演習でおもいがけない敵の大攻勢に巻き込まれてしまいました。

引率していたユニットの方々はそのまま戦線に参加していましたが、学生の私たちは慎重に撤退するようにという命令がされました。。

駐屯地までもう少しといったところで、この先に遮蔽物が一切ない野原になっていることに気づいてしまいました。

こんなところを走ったところでハチの巣にされてしまうだけ。

「どうする!?まだ距離があるのに身をさらすなんて自殺行為だぞ!」

「いったん落ち着いて。いったんこの場にとどまって機会を待つのはどう?」

「いや、迂回路を探して―—―――」

「ッ!!みんな伏せてッ!!」

学生たちの間でどうするか話し込んでいましたが、敵はそんなのを待ってくれませんでした。

爆風が私たちを押し出してしまい、身をさらけ出してしまったのです。

爆風は直撃はしませんでしたが、それでも怪我をしてしまった人が何人かいました。

私は、少しでも多くが生き残るように閃光弾を掲げながら、注意を集めて皆とは逆方向に駆け出しました。

「ハア、ハア、!あっちだ!」

銃弾が頬をかすめながら、逃げた先に運よくが住宅街があり、そこに身を隠すことはできたのです。

ですが、仲間とは、大きく離れてしまっており、助けを期待することは難しい状況になったのです。

孤立無援となった私は、建物の陰に隠れていました。

「おい、いたか?」

「いや、こっちにはいなかった。ただあの様子ならそこまで遠くにはいってないはずだ。」

だんだんと周りには敵の数が増えていき、敵の包囲網が完成していくのを感じ、その場から逃げられないことを悟りました。

せめて最後に一矢報いようと、意を決して飛び出しました。

不意を突いたことで一人二人、と倒したところで足に銃弾を受けてしまい、動くことが出来なくなってしまいました。

「手こずらせてくれたなぁ、このガキ」

敵が近寄ってきており、頭に銃を突き付けていました。

痛みで冷や汗がとまらない。涙も止まらない。私はこんなところで私は終わっちゃうの?。

(この先はよくて捕虜かなぁ、あとは殺されちゃうの二択しかないよねぇ。いやだよぉ、まだしにたくないよぉ)

と情けないことを思いながら、震えることしかできませんでした。あきらめかけていたその時


ビュオンッッ!


風を切る音が聞こえた。

銃声とは違うその音に恐る恐る目を開けると、目の前の敵兵士はいつの間にか事切れてしまっていました。

私はさっきの音が攻撃で会ったことに今更気づきました。

「打たれたぞぉ!警戒し、ガァ!!」

「隊長!くそ、どこにいr—――」

私の周りに集まってきていた兵士たちは次々と倒れていった。ただ私を助けてくれている味方の姿は私にも一向に見えなかった。もしかすると透明になるコード使っているのかと思っていると、通信が入ってきた。

「あー聞こえるか。養成学校の生徒だな、良く持ちこたえてくれた。そのまま戦線を離脱しろ。俺が狙撃で援護する。」

⁉ありえない!

ここは住宅街で遮蔽物も多い。それなのに狙撃で相手を制圧していくことなんて神業にも等しい!

そんなことを思っているとまた通信が入ってきた。

「おい、どうした?早く撤退しろ。」

「す、すいません。足を負傷してしまい、移動が困難です。」

「・・・なるほど。了解した。そのまま近くの家屋に入り、手当てをしながら救援を待て。その時間くらいは俺が稼いでおく。」

そう言い残すと通信は切れてしまった。通信が切れた後、私は屋内に入って警戒はしていたけれど、そんなのは何も意味をなさなかった。

近づいた敵がすべて倒され行くのだから。一人二人は私も視界内に入れたけれど、次の瞬間には撃ち抜かれていた。

一時間ほどすぎた時に、通信が入ってきた。

「救援があと五分ほどで到着する。警戒は解いても大丈夫だ。この辺りは制圧させてもらった。俺も合流する。」

信じられない気分だった。私の目の前には絶望があった。諦めと悔しさで心が埋め尽くされていた。

それなのに風の音がすべてを吹き飛ばしてくれた。

搬送される際に彼の姿を見た。黒と白が混ざった髪色をして、スナイパーライフルを担いでおり、私と年は大きく離れていないぐらい青年でしたが、歴戦の風格を漂わせていました。

すでに意識は朦朧としていましたが、お礼を言わなくてはと思い、

「あ、ありがとうございました。」

そう言いきり、私の意識は落ちていったのですが、最後に撫でられような感触と

「よく頑張ったな」

と励ましてくれたその声は記憶に残っているのです。



その後、医療施設で治療をしてもらっている中で彼のこと調べた。彼はその正確さと素早い狙撃の技術により、二つ名を得た当時の主力ユニットのメンバーであることを知った。

その後、無事に学校に復帰することが出来、学校に戻った際にはたくさんの人から感謝の言葉を言われました。特に評価に影響することもなく、私は無事に首席で卒業することが出来ました。

ちなみに、卒業時に提出する希望ユニット調査でローズさんと彼のユニットどちらにするか悩んだことがあるというのはわたしだけのひみつでもあります。

彼が所属していたユニットは2年前の大規模戦闘の際に壊滅的な被害を受け、リーダーは死亡。

その後、ユニットは解散。残ったメンバーはそれぞれの道を歩んだと聞いた。

そこから彼の消息が分からなくなり、どのようにしているかもわからなかったけれど、まさかこのユニットにいるとは思わなかった。

憧れの人に会い、私は浮かれていた。だからこの時の私は、あんなことに彼がなっていたとは思わなかったのだ。





回想って意外とかくの難しいですねw

アドバイスなどがあればぜひお願いします。

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