表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

移籍と出会い

私はファートム国ローズユニット副官のパトラ・フランメージュ大尉です。自分で言うのもなんですが、これでも二つ名持ちの優秀な隊員です。そんな私は上官であるローズさんから朝礼後に呼び出され、

「はい?、私が移籍ですか?」

いきなりの指令だったのでつい、聞き返してしまった。

「いや、違うよ。正確には異動で、そして、これは命令じゃなくてあくまで提案だよ、だから、フランが好きに決めていいんだよ」

「それは私の力不足による放逐ということでしょうか?でしたら、その事実を甘んじて受け入れて……」

「違うよ!?そんなマイナスな受け取り方をしないでよ。いい?」

そういうと今回の提案の意図をローズさんは話し始めてくれた。


現在、私たちのファートム国は、敵対しているメルガリウス帝国の大幅な戦力拡充のために戦況はやや押されている状況だ。これ以上の被害拡大を防ぐために、上層部はそれぞれのユニット同士の連携力強化を目的とし、隊士を一時的に異動させることで交流を図っていこうという方針に決めたそうだ。



「確かに、今までユニットは完全独立でそれぞれのやり方を尊重してきました。しかし、これからは共闘することも増えていくと考えるとよい考えかもしれませんね」

「まあね、隊長クラスのインパクトがあったからこれまではよかったんだけど。がっつりメンバー同士を組ませていきたいからね。そしてウチからはフランをまず第一陣として推薦したんだよ。どう、いってくれる?」

「そういうことならわかりました。研鑽の機会と考え、いかせていただききます。」

「固いなぁ、まあとりあえず了解ってことで。」

細かいことは後で伝える〜 そう言われ、私は隊長室を後にした。

ある程度廊下を歩いた後、私は「はあーーっ」と安堵のため息をついてしまった。

異動の話をされたときはドキッとしたが、ローズさんから見放されたわけではないことことに深く安堵していた。

私はローズさんを尊敬している。

彼女はその実績と実力の高さから女性最年少ユニットの隊長になった人物であり、的確な指揮とサポートコードの実力から青の指揮者マエストロと呼ばれている。彼女のようになりたくてこのユニットに志願した。

まあ、もう一人尊敬している人がいるのだがあいにく、二つ名しか知らず、現在の所属などはわからない。

「それなのに……」そう思いながらも訓練をサボるわけにはいかないので訓練場に歩みを進めた。

私は移動するユニットがあ そ こにならないことを祈りながら訓練に取り組むのだった。


嫌な予感はいい予感よりも当たりやすい

そんなジンクスを信じるぐらいには私の嫌な予感は的中した。

私が訓練から帰ってくるとローズさんからメールで移動先について届いていた。そこには

「ごめん~、くじで引いちゃった!がんばってね!」

と書かれており、尊敬している人とは言え、さすがにイラっとした。

移動先は、軍の中でもクセが強く、多くの問題点があるユニット

通称ヴァイオレンス・ユニット

このユニットは、上層部からの指令も達成はするが、二次被害がひどかったり、護衛対象とのいざこざだったり、良いうわさを聞いたことがないくらいには問題があるらしい。

隊長であるアラン・ロストは戦闘車両のスペシャリストだが、その粗暴の悪さから新人からのユニット志望度が毎年ワースト一位なのである。

気は進まないが上官からの指令なので、あきらめて、異動の準備を進めるのだった。



翌日、私はアラン・ロストが隊長を務めるユニットのブリーフィングルームの前にきていた。

やたら他のユニット室と離れているが、ここでも嫌われているのが現れているのかなと思った。

どんな人がいて、どんな目に合うのか今考えても仕方がない。

いくら噂がひどくても所詮うわさはうわさでしかない。

そう考え、腹をくくった私は、その扉に手をかけると―—――


ドガアアアン!!!!!


扉と一緒に私は吹っ飛ばされた。

あまりのことで受け身をとるのが困難だった私は、壁に激突した。くらくらと頭を回しながら、入り口に目を向けると、砂埃の中から二つの人影が見えた。

「だから、いつもいつもいうとるやないか!、室内でぶっぱなすのはやめろて!」

「ひゃはははは、そんなこと言ってたら気持ちよくなれねえじゃねえか、この快音はいつでも聞きたくなるんだよぉ!」

「とほほ、また予算をじじいからぶんどってこんといけんのかぁ、あ?」

そんな声を聞きながら、私の意識は薄れていった。薄れゆく意識の中で、一つの疑問が解消されていた。

ああ、確かにこれが頻発するなら他の人たちは近くにおけないなぁ




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ