拷問を施す、死神
密室空間で死神に拷問を受けるところ
「拷問を施す、死神」
山中 千
四畳ぐらいの密室空間の真ん中に、椅子に括られた男がいた。
男の特徴は普通といった模様。どこにでもいそうなおとこだった。
密室空間には、一時間に一度、死神がやってくる。
死神は、五感全てをいたぶってくる、そんなやつだった。
一時間前は、狭い密室空間感に、騒音という騒音が鳴り響いた。腕を縛られているために、鼓膜を守ることが出来ない。もろで、鼓膜に響いた。
ニ時間前は、匂いだ。化学的な相性の悪い液体を混ぜたような異臭。あれほど臭い匂いを嗅いだことはなく、鼻が曲がる思いをした。
三時間前は、肉体攻撃。殴る、蹴るを喜々として、された。ピンセットの爪を剥がされたり、皮膚を素手で剥がされたり、舌に穴を開けられたりした。お前の家族を呪うといい、細かなプライベートの生活を報告された。
四時間前は大量の乾パン食べさせられた。口の中の水分がなくなったが、水は出なかった。
五時間前は、強過ぎる光を浴びた。眼が、狂う。そして暗転と組み合わせて、慣れることのないよう気が遣われていた。ボタンのスイッチは死神が握っており、彼の気分次第だった。
死神は終始、笑い声をあげていた。
愉しそうだった。
楽しいか?と聞くと、趣味です、と返答がきた。
四畳の壁際には、人間の死体が積まれ、蝿が集っていた……。
苛ついてて、これができました