表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お題シリーズ3

豆腐メンタル

作者: リィズ・ブランディシュカ



 私は豆腐メンタルだ。


 豆腐の様に心がやわらかくもろいから、ちょっとした事ですぐへこむ。くずれる。


 他の人からしたら大した事ない事でも、けっこうダメージを受ける。


 こんなんじゃいけないと思って頑張ろうとするけれど、無理をした反動が後からどさっとやってくる。


 失敗するたびに、このまま一生かわらないのでは、と思ってしまう。


 けれど、そんな私にもどうしてもやりたい事があった。


 それは料亭の料理人になる事だ。


 見た目もよくて、美味しい。


 そんな料理を作って、お客さんに美味しいと言ってもらいたい。


 色々ダメな所ばっかりだけど、こればかりは人に褒めてもらえるから、自信が多少あった。


 けれど豆腐メンタルだから、やる前にあれこれ悩んでしまう。


 もし、人から文句を言われたら。


 もし、自分が思っているほど美味しくなかったら。


 もし、お客さんの前で何か失敗してしまったら。


 考えだしたら、きりがない。


 そんな夢なんてなかった事にして、あきらめてしまおうと何度も思った。


 でも、それでもやりたい。


 がんばりたい。


 私はそのたびに包丁を握り、料理と、いや、己の心と向き合った。


 そして。







「いらっしゃい」

「久ぶりに来たよ。今日もいつもの出しとくれ」

「はいはい、三十分くらいでできるから席について待っててね」

「ほんと楽しみだな。新しい店が出ても、ついついこの店の味を思い出して、戻ってきちゃうんだよ」


 十数年後。私は自分のお店でお客さんの前で包丁をふるっていた。


 ちなみに得意料理は豆腐料理である。

 ちょっと複雑だけど、メニューに困った時は助けられてる。

 相性が良かったのかな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ