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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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993/1359

993 放課後おしゃべりタイム2






「そういえば、クウちゃん」

「ん? どしたの、セラ?」


 また改まって。

 あ、さては。

 また、やりたくなっちゃった?

 クウちゃんだけに、くう。

 もー。

 しょーがないなー。

 でも、いいよ。

 少しだけなら。


 はい、どうぞ。


 と、受け止める準備をしたら、ちがった。


「先日は、またお兄さまがクウちゃんをお説教したそうですよね。嫌な思いをさせて本当にごめんなさい」

「あ、うん」


 なんだそのことか。

 クウちゃんだけに、しないのね……。

 私はがっかりした。

 なんだろうね、この気持ち。

 やられまくっている時にはウンザリしていたけど……。

 やられなくなると逆に寂しいなんてね……。


「わたくし、お兄さまは真面目すぎると思うんです。遊び心がまったくわからないでは問題ですよねっ!」

「ちなみに、セラ。お兄さまはなんて言っていたの?」

「クウちゃんは遊び心が過ぎると。町中で暴れるなんて言語道断。常識というものを今日はよく教えてきたと」

「そかー」

「ちなみに、クウちゃん。町中を障害物競走みたいに走り回っていたというのは本当なんですか?」

「それ、お兄さまから聞いたの?」

「はい……。なんだか歯切れの悪い様子でしたけど、具体的に何をしたのか聞いたらそう言われたので……」

「そかー」

「ただ、人に迷惑をかけたりはしていないんですよね?」

「それもお兄さまから聞いたの?」

「はい。そうですけど……」


 なるほど。


 自分の罪を私に被せたのね。

 よくわかりました。

 まあ、うん。

 イルとキオのことを隠そうとした苦し紛れなんだろうけど……。


「安心してください、クウちゃん! わたくし、言ってやりましたから! クウちゃんとは、まさに青空! そこには一切の曇りなく、純粋な輝きこそがクウちゃんという存在の本質! すなわち美! すなわち究極! すなわち、クウちゃんは何も考えていないからこそのクウちゃん! クウちゃんが常識なんてものを身につけたら、いったい、どうなってしまうのか! それはまさに雲に覆われた空! それはまさに世界の悲劇となるのだと!」


 セラが力説する。

 それはもう、本気のご様子で。


「あの、セラ……。曇り空は世界に必要だと思うよ? 晴れてばかりだと暑いし、雨も必要だよね?」

「クウちゃん……」

「うん。セラ」


 どしたの?

 そんな驚いたような顔をして。


「まさか、常識を身につけてしまわれたのですか!?」

「あの、セラ……」


「安心していいわよ、クウ。セラは別に、クウのことをバカにして言っているわけではないから。本気だから」


 ファーのところからアンジェが戻ってきた。


「当然です。わたくしは、あるがままのクウちゃんが大好きなのです。そもそもクウちゃんは自然体でも完璧ではありませんか。善良で優しくて思いやりがあって最高のお友だちです」

「あ、うん。ありがとね、セラ」

「ただ、お勉強については必要だと思いますけれど。テストで赤点を取るのはよくありませんよね。本当ならわたくしが教えてあげたいところですが……。お優しいクウちゃんはクラスメイトのことも大切にされているので……。それについては涙を呑んであの女に譲りましたが……」

「エカテリーナさんね。あの女じゃないからね」

「はい。失礼しました。エカテリーナさんにお譲りいたしましたが。とにかく! クウちゃんだけに――」


 くう?


 私は咄嗟に反応しかけた。

 だけど、それよりも早くセラは言葉を続けた。


「クウちゃんだけに苦労はさせません! わたくし、なんでもいたします! なんでも言ってください!」

「……あ、うん。ありがとね、セラ」


 ちがったです。

 残念なのです。


「とりあえずは急務として……。クウちゃん、お兄さまに遊び心というものをわからせていきましょう! 真面目ばかりで融通が効かなくては、今後、皇太子としての公務にも支障が出かねません」

「あー。ねえ、セラ」

「はい!」

「そのことなんだけどね、大丈夫だと思うよ。お兄さまは、ああ見えて、けっこう遊び心もあるし」


 私は、セラとアンジェにイルとキオのことを話した。

 お兄さまが放課後に帝都障害物レースで遊んでいることも話した。

 まあ、うん。

 いいよね、2人には隠さなくても。

 お兄さまには悪いけど……。

 隠して誤解されているより、ずっといいよね。


「……わたくし、言葉も出ません。あのお兄さまが、まさか、そんなことをしているなんて。しかもそれを、クウちゃんになすりつけるなんて」

「遊び心があってよかったじゃない」

「それとこれとは別です! お兄さま、帰ったら問い詰めてやります!」

「お手柔らかにしておきなさいよ……」


 アンジェが困った声で言った。


 私が怒っていないことは、もちろんセラに伝えました。

 兄妹で喧嘩しちゃダメだよね。


「でも、そっかー。いつかは来ると思っていたけど、水の大精霊様と風の大精霊様もこっちに来ていたのね。私も会ってみたかったな」

「近い内には紹介するよ」

「ホント!? やった!」


 その時には、楽しいパーティーにしたいねー。







レビューをいただきました!

ありがとうございましたー!

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― 新着の感想 ―
[一言] ポンコツ姫様危ない子w
[一言] お兄様もクウちゃん様に会いに行くって名目で街中疾走してたわけだし、セラのクウちゃん様に関わる時だけ思考がバグるのに近いような。やっぱり空色の精霊の力が悪影響与えてませんかね?
感想一覧
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