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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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978 お昼休みの生徒会室




 イルとキオの騒ぎにも一段落がついて、私には平和な学院生活が戻ってきた。

 そんなお昼休み。

 私はセラたちの顔を見に生徒会室に来ていた。

 生徒会室には、ちょうど、セラとアンジェとスオナだけがいたので、少しのんびりさせてもらっている。


「ねえ、セラ。ひとつ、聞いてもいい?」

「はい、クウちゃん。いくつでも、なんでも聞いてください」

「えっとね」

「はい」

「次のお茶会はいつなの?」

「え」

「え、じゃなくて、お茶会、ね」


 私は、アンジェとスオナが仕上げた書類の確認をしていたセラに、実に素朴な質問をしてみた。

 最近は私も大変だったけど、セラも頑張っているのかなーと。


 そうしたところ……。

 なぜかセラは、手に持っていた書類を落として硬直した。

 不思議だね。


「あの……。クウちゃん……?」

「うん」


 どしたの?


「なぜ、そのような恐ろしい質問をわたくしに……?」

「いや、うん。別に恐ろしくはないよね? すごく普通だよね?」


 なにしろお茶会は皇女様の義務だ。


「クウちゃん」

「うん」

「わたくし、今は書類の確認が忙しいので……」


 生徒会の仕事は、けっこう大変だ。

 なにしろ、学院祭や野外研修などの大きな行事がある度に……。

 日程の管理。

 予算や人員や物品の調達と分配。

 内外への必要な手続き。

 そうしたことを、ほとんど一手に行うのだ。

 学院には先生がいるし、事務局もあるけど、学校行事については、あくまで生徒会が主体なのだ。


 今は、野外研修がおわって――。

 使われた予算の確認をしている。

 セラが手に持っていた書類には、ずらりと数字が並んでいた。

 うん。

 12歳の仕事じゃないよね。

 私なんて、ちらりと見ただけで目眩を覚えた。


「ねえ、セラ」

「は、はい……。クウちゃん……」

「いくつでも、なんでも、って言ったよね?」


 うん、最初に。


 すると、今まで黙々と計算仕事をしていた長い黒髪の少女、スオナが顔を上げて私に笑いかけた。


「クウ、意地悪はせずに、ハッキリ言ってあげたらどうかな」

「そうね」


 と、同じく計算仕事をしていた赤い髪の少女、アンジェが同意する。


「じゃあ、言うね」

「あの、クウちゃん。わたくし急用が」

「お茶会、しようね?」

「わたくしには、クウちゃんの家に行くという大切な使命が……」

「私の家に来るのは、お茶会の後でね?」


 私も最近は頑張った。

 セラにも頑張ってほしいところだ。


「そんなー! クウちゃんの家にいけないなんて、わたくしの放課後はどうなってしまうのですかー!」

「お姉さまだって、いろいろありつつもお茶会は開いているよね」

「はい……」


 セラは、がっくりうなだれつつもうなずいた。

 うん。

 わかってはいるようで安心だね。


「会長と言えば、この数日、大変みたいね」


 アンジェが言う会長とは、アリーシャお姉さまのことだ。

 大変というのはキタエ隊のことだね。


「あー。うん。でも、もう解決したと思うよ」

「そうなんだ? でも、特訓の理由ってアレよね? そんな数日で解決するとは思えないんだけど……」


 アンジェが首をひねる。


「心構え的に、ね」


 ダイエットという目的は達成できていないけど……。

 いろいろ、すっぱりと割り切ったというか。


「そうなんだ。それならよかったわ。会長が来てくれないと、さすがに決裁できずに停滞しちゃう書類も多いし」

「そうだね。計算だけなら僕たちでもなんとかなるけど」

「あ、そうだ、クウ。話は変わるけど、昨日、イレースから手紙が来たわよ」

「イレース?」


 今度は私が首をひねった。

 はて。

 なんだろか。


 イレースって、消去?


「……ごめん、アンジェ。何か消しちゃったっけ、私?」

「消したとすればアンタの記憶ね」


 呆れた声でアンジェに言われた。


「私?」


 ホントに、なんだろか。

 わからないでいると、アンジェが説明してくれた。

 あー!

 イレースって、ウツロの村で……。

 メティネイルに自ら望んで体を明け渡しちゃったエルフの女の子か!

 いたいたっ!

 アンジェとは、共に竜の里に保護されて、短時間とはいえカメの子として一緒に暮らして仲良くなっていた。

 そのイレースは、無事に寄宿舎に入ったそうだ。

 なにしろ悪魔に憑依されていたので、当面の間は、監視の目の届く場所で生活することになっていた。

 将来のことはまだわからないけど……。

 環境が一新されて、随分と気持ちは楽になったそうだ。

 よかった。


「思い出してくれてよかったわ」

「あはは」


 誤魔化して笑ったところで、生徒会室からはお暇させてもらった。

 仕事中だったし、長居は邪魔だろう。

 私はそのまま『透化』と『浮遊』で、お姉さまたちのいる鍛錬場に向かった。


 ふむ。


 今朝の様子からして、お姉さまは特訓なんて放棄して、すべてを忘れて食べまくるのみと思ったけど……。

 メイヴィスさんとブレンダさんと、3人で熱心に剣を振っている。

 どういうことだろか。


「どうもー。お疲れ様でーす」


 私はとりあえず、話しかけてみることにした。






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[一言] 記憶をイレースw
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