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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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948 お姉さまキタエ隊、結成




「おいおい、姉御と話がしたければ、まずは親衛隊の俺らを通して――」

「うっさい!」

「ぐはっ!」


 学院の昼休み。


 私はロビーでくつろいでいたメイヴィスさんを見つけた。


「ちょっとメイヴィスさん」

「あら、クウちゃん」

「どうせメイヴィスさんですよね? お姉さまを変に焚き付けたのは」


 短期間、しつけるまで――。

 ということで連れていたギザたちが未だに親衛隊なのは、細かいことなので今は気にしない。

 なんかもう、自然な景色になってしまっているし。


「あら、なんのことですか?」

「とぼけてもわかりますからね。でなけりゃ、いきなりダンジョンとか言い出すわけがないんですから」


 メイヴィスさんは、お姉さまの同級生で親戚。

 清楚な見た目の公爵令嬢だけど、実際には剣と闘争とダンジョンが大好きな狂犬のお嬢様だ。

 お姉さまと対等に話せる数少ない女生徒の1人でもある。


「また人聞きの悪いことを。わたくしはただ、アリーシャに相談されて最適と思われる解を提示しただけです」

「じゃあ、連れていきませんからね?」

「確かに焚き付けました。それで、いつ行きますか? 今日ですか?」

「行きませんよ? お姉さまには、自力で頑張れと言いましたし」

「あら」

「まあ、ただ、悪いことではないとは思います。お姉さまがしっかりしていないと示しがつきませんし」


 なにしろ第一皇女。

 押しも押されぬ、帝国を代表する淑女なのだ。


「そうですよね。その通りです」

「というわけで、メイヴィスさん。貴女は今日から、お姉さまキタエ隊の正式な隊員です。私が許可するので徹底的に鍛えてください。それで成果が出たら考えてあげます」

「わかりました。今日の放課後から鍛えます」

「はい。お願いしますね」

「クウちゃんのことは、隊長と呼べばいいのかしら?」

「はい。いいです」

「ブレンダを誘っても?」

「はい。いいです」


 話はまとまった。


「邪魔!」

「ぐはっ!」


 うしろにいたデカいヤツを蹴っ飛ばして、私は教室に戻った。


 教室には平和なお昼休みがあった。


 レオは元気だ。

 相変わらず、レオ英雄伝説の創作を頑張っている。

 すごいね。

 これをキッカケに、将来は作家だね。

 その相棒として共にウツロ村でヘタれていたカシムも、レオに調子を合わせて言いたいことを言っている。

 1人ならともかく、2人で口を合わせていると、なんだか真実にも聞こえてくるから不思議だよね。


「クウちゃんも大変だったみたいだね」

「まあねー。アヤは来なくて正解だったと思うよー」


 私は、アヤにエカテリーナさん、それに他の女の子たちともカードゲームで遊びつつおしゃべりした。


「私は最初から行く気なかったからね?」

「そかー」

「クウちゃんが無事でよかったです。ゾンビの大襲撃なんて、想像しただけで身が震え上がります」


 エカテリーナさんがそう言うと、他の子たちが口々に同意した。


「スケルトンだったけどねー」


 私は笑って訂正した。


「どちらも同じです。クウちゃんは怖くなかったのですか?」

「あー。えっと。私は、儀式のお手伝いをしていたから、直接には見ていないというかなんというか」

「そうでしたね。不幸中の幸いでしたね」

「あとは評価が楽しみだねっ! クウちゃんのパーティー、カッコよく救援に駆けつけたんだよねっ! 高得点がもらえるといいねっ!」

「だねー」


 アヤの言葉に私は同意した。

 野外研修の表彰式は、今週末の予定だ。

 全校生徒が大講堂に集まって、盛大に行われる。

 どんな結果になるのか。

 すでにマウンテン先輩の二次選抜入りは内定済みだけど、どうせなら高評価の方がいいのは当然だ。


「来週には、ダンジョン町の見学もありますよね。ゾンビとか、怖い魔物が出なければいいですけど……」


 エカテリーナさんが不安そうに言った。


「さすがに平気だと思うよー。ちゃんと整備された場所だし」


 マーレ古墳のダンジョン町は、綺麗な湖が近くにあって帝都からの気軽な観光名所としても知られている。

 その分、安全にも気が使われているのだ。


「そもそもダンジョンに入ったりすることはないんだよね……?」


 アヤに聞かれた。


「さすがにないよね?」


 と私は思ったのだけど、どうやらあるらしかった。

 あるんだ。

 私はちょっとびっくりした。

 クラスの女の子が言うには、クラスごとに突入して最初のホールでの狩りを見学するのだそうだ。

 夏休みに、マウンテン先輩たちが大暴れして、新人冒険者の子たちがネームドを倒した場所だね。


「たくさんのスケルトンがいるらしいよー」


 女の子が、幽霊っぽいジャスチャーで脅すような仕草をする。

 ちょうど男子たちも同じ話をしていたようで――。

 レオとカシムが自信満々に、スケルトンなんて片手で粉砕できるぜ、と大いに息を巻いていた。








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― 新着の感想 ―
[良い点] さすがはクウちゃんさまなのである。流れるように、お姉さまキタエ隊、結成してしまうとは。これはもう、感動と尊敬を込めて言わざるを得ないのである。すなわち、略して、さす [一言] 前回の感想返…
[一言] 押し付けに成功か?
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