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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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910/1359

910 出発の朝!




 おはようございます、クウちゃんさまです。

 11月の中旬。

 今日はついに野外研修の日です。


 さあ、がんばるぞー!


 学院の制服を着て、ベルトを巻いて、そこに水筒とポーチを固定して、外套を羽織って、ツバの広い帽子をかぶる。

 旅の魔女。

 鏡に映る自分は、なんとなく、そんな感じだ。

 うむ。

 我ながらオシャレに決まっている。


 最後に、保存食や旅の道具がたっぷりと入ったバックパックを肩に担いで、私は部屋を出た。


「みんな、おっはよー」


 2階のリビングに降りて、元気に挨拶する。


「おはようございます、店長」

「おはようなのである、クウちゃん」

「クウちゃん、おはよー!」

「ニクキュウニャーン」

「やっほー、クウ。朝に会うのは久しぶりだねー」


 ヒオリさん、フラウ、エミリーちゃん、ファー、ゼノが、すでにリビングにいて私を待っていてくれた。


「クウちゃん、旅の衣装、すっごい似合ってるね!」

「ありがとー、エミリーちゃん」


 エミリーちゃんはわざわざ、見送りのために来てくれていた。


「今回は魔術師として旅に出るの?」

「ううんー。ただのオシャレだよー」

「そかー」


 と、これは私ではなくエミリーちゃんです。


「ゼノ、もしも何かあったら、任せるからテキトーにやっといてねー」

「りょーかい。とりあえず、ボクたちの平和な日々さえ守られれば、あとはなんでもいいんだよね?」

「うん。なんでもいいよー」

「クウちゃん、妾にも任せておくのである。いざとなれば、すべてを焼き払ってやるのである」

「うん。おねがいねー」


 もちろんフラウも頼りにしているよ。


「……何やら不穏にも聞こえますが、留守はお任せください」

「うん。ヒオリさんもお願いねー」


 ヒオリさんには、特にファーのことをお願いした。

 ファーは家に残していくのだ。


 ちなみにヒオリさんは、すでに賢者の衣装に身を包んでいる。

 ヒオリさんは帝都中央学院の学院長。

 今日は学院でも、私を含めた野外研修に出かける生徒たちのお見送りをすることになっている。


「クウちゃんっ! わたしもがんばるよっ!」

「うん。エミリーちゃんもお願いねー」


「さあ、ともかく店長! たっぷりと食事をお取りください! 旅に必要なのは何よりスタミナですよ!」


 テーブルには、山ほどの食事があった。

 まあ、うん。

 ヒオリさんとゼノとフラウがいれば、食べちゃうんだろうけど。

 私は朝は、トルティーヤ1つで十分です。

 あ、でも。

 今日は確かに旅だし、頑張ってふたつ食べておくか。


 ぱくぱく。


 ごちそうさまでした。


 食事が済んだら、しばらく、のんびりタイム。

 ヒオリさんは先に学院へと出かけた。

 私は、エミリーちゃんが淹れてくれた紅茶を楽しませてもらった。

 その後で私も家を出た。


「じゃあ、いってきまーす!」


 みんなに見送られて、私は窓から朝の空に飛んだ。

 朝の風と光を感じる。

 本当はすぐに姿を消すべきだけど、姿を消すと風や光の爽やかな気持ちよさを感じられなくなる。

 なので、まあ、少しだけ。

 学院には、普通に正門から入った。


 野外研修に出る生徒は、教室には入らず、直行で学院のロータリーに集合ということになっている。

 ロータリーには、すでにたくさんの馬車が待機していて、これから旅に出る学院生たちの姿も多くあった。

 マウンテン先輩の姿は、その中でもわかりやすい。

 なにしろ大きい。

 私は、すぐに見つけて駆け寄った。


「おっはようございまーす!」

「クウちゃんさん、おはようございます」

「おはよ、ヤマちゃん先輩!」

「クウちゃんさま、さん、いえ、クウちゃん。おはようございます! 本日よりよろしくお願いします!」

「うん。サクナもよろしくねー」


 すでにサクナも来ていた。


「それにしてもクウちゃんさんは、本格的な姿ですね」


 私の魔女スタイルを見て、マウンテン先輩は言った。


「……ふむ。ちょっと大げさだったかな?」

「いいえ。よくお似合いですよ。それに野外に出るわけですから、むしろそれくらいの方が当然です」

「でも先輩、普通ですよね?」


 マウンテン先輩もサクナも他の参加者たちも、いつも通りに学院の制服を着ているだけだった。

 違うといえば帯剣していることくらいか。

 なんにしても、軽装だ。

 大きな帽子と外套を身に着けた私が、なんだか浮いている。


「防具は、すでに他の荷物と一緒に馬車に積みましたよ。現地ではちゃんと身に着けるのでご安心を」

「そかー」


 朝から着てくる必要はなかったか。


「よー! クウ!」

「レオ、おはよー」


 手を振ってレオがやってきた。


「おまえ、出発の前から、なんかすげー格好してるなぁ……」


 レオは、私の姿をじろじろと眺めると、


「そんなに必死にならなくても、たいしたことじゃねーぞ、初日の移動なんて。おまえは素人だし、無理もねーけどよ」


 わははは!

 と、思いっきり笑ってきた。


「出発前からそんな余裕こいてると、酷い目に遭うよー」


 なんかもうレオの態度は、すべてがフラグに見える。

 怒るより先に私は心配になるよ。


「はっ! んなわけあるかっつのー! 俺にはな、ゴブリンの討伐経験があるんだぜ素人じゃないつっーの!」


 最初の話では、ゴブリンを追い払った時についていっただけ、みたいだった気もするけど、どんどん膨らんでいる気がする。

 まあ、いいけど。


「レオ、やめろ。店長さんに失礼だぞ」


 レオのパーティーメンバーにして5年生の先輩、ブレンディ先輩がやってきた。






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― 新着の感想 ―
[一言] 読み返して気付いたけど、ゴブリン討伐していなかった。レオは追い払ったところについて行ってただけでしたね。
[一言] ゴブリンの討伐経験、たいしたことなさそうだけど リアルで考えると凄いことだよね
[一言] さてどうなるかなあ
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