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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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831 ガーデン・パーティーの開始前




 10月最初の休日。

 ついに。

 この日が来た。

 今日は、エカテリーナさんの自宅でガーデン・パーティーだ。

 朝、お出かけ前に、鏡の前で身だしなみチェック。


「うん。問題なしっと」


 学院生は制服での参加なので、いつも通りの姿ではあるのだけど、我ながら慎重になるのは仕方がない。

 なにしろパーティーなのだ。

 正直、パーテイー自体は、今までに何度も出てきた。

 しかも大宮殿で行われる、帝国でも最高に豪華なパーティーに。

 だけど今日ほど緊張したことはない。

 なにしろ、いろいろとあった。

 今日まで私は頑張った。

 セラもお姉さまも、よくわかってくれた。

 エカテリーナさんに見当違いな攻撃をすることはないだろう。

 ないはずだ。

 うん。

 万が一があるといけない。

 私はしっかりと目を光らせておこう。


 準備を整えて、いざ出発。


「じゃあ、行ってくるねー」

「楽しい話を期待しているのである」

「行ってらっしゃいませ、店長」


 ヒオリさんとフラウに見送られて、私は学院に向かった。

 ちなみに、お店は今日も営業する。

 エミリーちゃんも来る。

 せっかくゴーレムの生成に成功したのだから、今日はゴーレム生活してくれてもよかったのだけど……。

 休日は儲け時なので、ちゃんと開店するそうだ。

 ありがとう。

 よろしくお願いします。

 店長ばかり遊び呆けていてすみません。

 まあ、うん。

 今日は遊びではないけど……。


「おっはよー! アヤ、みんなー!」

「おはよう、クウちゃん」


 アヤとは学院の正門前で合流する。

 他の子たちも何人かいた。

 少し待っているとお出迎えの馬車が来たので、乗り込む。

 エカテリーナさんが手配してくれたものだ。

 馬車が動き出して大通りを進む。

 帝都の大通りは、しっかりと舗装されていて、十分に広くて、馬車でも快適に進むことが出来る。

 馬車の中では挨拶の練習をした。

 セラとお姉さまが来るとあって、みんな緊張していた。


 馬車がエカテリーナさんの邸宅に到着する。

 私たちは案内されるまま、まずはお屋敷の中に入った。

 歩く廊下から庭の様子を見ることができた。

 まだ他のお客さんは来ていない。

 庭では、メイドさんや執事さんが慌ただしく最後の準備を進めていた。

 私たちは客間に入る。

 客間には、すでにクラスメイトが何人か来ていた。

 クラスメイト組は、いったん集まって、始まる時間になったらみんなで一緒に庭に移動する予定だ。


「ラハ君、おはよー」

「おはよう、マイヤさん」


 ラハ君の姿を見つけて私は挨拶した。


「シャルさんは元気でやってる? 新作バーガーは完成した?」

「ごめん。あれから姉さんの店には行っていないや」

「そかー」


 残念。


「あ、でも、姉さんに頼まれたからって、母さんが聖国の珍しい調味料を探していたから頑張っているとは思うよ」

「そかー」


 聖国の珍しい調味料というと、醤油や味噌になるのかな。

 聖国ではユイの影響で、和食文化が大いに花開いている。

 なんにしても頑張っているのならよかった。

 私が安心していると――。


「そかー」


 と、クラスのヤンチャな男子レオが馬鹿にした口調で言った。


「なによー」


 私は腰に手を当ててレオのことを睨んだ。


「べっつにー。ちょっとうなずいてみただけですー」


 くううううう。

 完全に私をおちょくっているな!

 しかし!

 私はレオになんて、「クウちゃんだけに」してやらないのだ!


「だいたいなんで、レオはここにいるわけ? 君、貴族でしょ? 後から別枠で偉そうに登場しなよ」

「嫌だよ。皇女が2人も来るんだぞ。失敗したらコエーだろ。今日はクラスメイトの1人として俺は埋没する。今日は美味いモンをひたすら食って、満腹になって満足して帰る予定なんだよ」

「チキン」


 私は短く冷たく感想を述べた。


「おう。チキンは好きだぞ、安心しろ」

「あーはいはい。さいですかー」


 まあ、好きにすればいいけど。

 私には関係ないしね。


「というか、別枠っていうなら、むしろおまえだろうがよ」

「私はいいの。私は、ふわふわの子だから」

「それを言うなら、俺は自由の男だぞ。将来は冒険者になって、この世界を自由に飛び回るのさ!」

「叶うといいねー」


 レオも最近は剣の修行を頑張っているみたいなので――。

 否定はしないでおく。

 私は、これでも優しい子なのだ。


 そんなこんなの内、クラスメイトは揃った。

 時間になると、エカテリーナさんが迎えに来てくれる。


「皆さん、今日はようこそおいでくださいました。さあ、これから会場に案内させていただきますわ」


 エカテリーナさんが、優雅にお辞儀をする。

 いつも上品なエカテリーナさんだけど、今日の仕草は一際に素晴らしい。

 制服が、まるでドレスのように見えた。

 うん。

 気合が入っているね!


 テーブルの置かれた庭園には、すでにそれなりの来客がいた。

 エカテリーナさんの家と縁のある市民の方々だ。

 今日のガーデン・パーティーは盛大に行われれる。

 大勢の人が招待されていた。


「では私は、両殿下のお出迎えがありますので一旦失礼いたしますわね。皆さんは時間までお寛ぎを」


 私たちを残して、エカテリーナさんは邸宅に戻った。

 私たちは大人しく待機する。


「あー。俺、早くも腹が減ってきた」

「レオ、つまみ食いしたら駄目だからね?」

「しねーよ。できるわけねーだろ」

「あはは」


 さすがのレオも、近くで準備中の甘味を取ったりはしないか。


「だいたい俺は、甘いものは好きじゃねーんだよ。俺は肉だ。俺は豪快に肉を食べる予定なんだ」


 今日のパーティーはビュッフェ形式だ。

 まだ出てきていないけど、料理には力を入れたから期待してほしいとエカテリーナさんは言っていた。

 加えて、ハラデル男爵が来ているのだ。

 絶対に口を出して、料理のグレードを上げたに違いない。


「どんな料理が並ぶのか楽しみだねー」

「まずはご挨拶だけどね。あー緊張するー」


 アヤがぶるっと身を震わせる。

 パーティーが始まったら、私たちは順番に、エカテリーナさんのご両親とセラとお姉さまに挨拶することになっている。

 なんか、うん。

 私の目からすると、最近のセラとお姉さまって……。

 はっきり言って、ただの困ったちゃんで……。

 威厳なんて、まるで感じないけど……。

 やっぱり、アヤを始めとしたみんなの反応を見ていると、厳然たる帝国最高の淑女なんだなぁって思う。

 人前で説教したりしないように、十分、気をつけよう……。

 まあ、うん。

 セラもお姉さまもわかってくれたのだ。

 そんな場面はないと思うけど。







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― 新着の感想 ―
肉というかオールバーガーなんですね、わかります()
[一言] フラグですね(ワクワク
[一言] 最初の頃はセラとお姉さまが良識的でお兄様がちょっと困ったちゃんな感じだったけど いまや…!
感想一覧
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