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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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829 ハトちゃん、再び




 学校がおわって、私は帰路についた。

 今日も1日頑張った。

 早く家に帰って、のんびりとしたいものだ。


 我が家は――。

 3階建ての綺麗な建物。

 帝都の高級街エメラルドストリートの一角にある、「ふわふわ美少女のなんでも工房」だ。


 1階は、お店と工房。

 正面にお店があって、短い廊下の間に応接室を挟んで奥に工房がある。


 2階は、生活スペース。

 ヒオリさんとフラウは2階の客室で寝起きしている。

 リビングやキッチンやお風呂もある。


 3階は、私のプライベート空間。

 1人で使うには広すぎるのでヒオリさんたちに開放しようともしたけど、遠慮されてしまった。

 なので、私が使っている一室以外は、がらんとしたままだ。


 敷地には、広い中庭もある。

 裏には倉庫がある。


 さらに家のとなりの空地が駐車場に整えられて、皇妃様の一団が来ても店の前を塞がないようになっている。


 我ながら、立派な家に住んでいるものだ。


 あと定期的に大宮殿からメイドさんが派遣されてきて、全体の掃除や魔石の取替をしてくれている。

 いや、うん。

 そんな楽々生活をしてしまっていいものか。

 とは思うのだけど……。

 ヒオリさんやフラウが言うには、私はそれくらいの貢献をしているので、むしろ安いのだそうだ。

 なので、ありがたくお願いしている。


 そんな我が家に私は帰ってきた。


 のだけど……。


 お店の前に違和感がある。

 何故ならば、営業中には出してあるはずの立て看板がない。

 ドアの掛け看板がCLOSEになっていた。

 いつもなら普通に、エミリーちゃんとフラウが店番をしている時間だけど。


 ふむ。


 お店の中には、エミリーちゃんとフラウと……。

 なぜかヒオリさんもいるね。

 魔力でわかる。


 あと――。


 小さな反応が2つあった。


 なんだろうか……。


 少なくとも敵ではないようだけど……。


 私は油断しないように、いつでも動ける態勢でお店のドアを開けた。


 すると……。


 あー。


 なるほど。


 私はすぐに、状況を理解した。


 お店のフロアにいたのは、2体の小さな魔法人形。


 ハトの形をしたサンドゴーレム。

 人型のサンドゴーレム。


 その2体が、私を歓迎するかのように――。


 ハトちゃんは、羽を動かし。

 人型ちゃんはお辞儀をした。


 お店の奥には、エミリーちゃんとフラウとヒオリさんがいて、誇らしげな顔を私に向けていた。


「おめでとう。成功したんだね」


 私は笑って言った。


「ハトちゃん! 生まれたよ!」

「頑張ったのである。クウちゃんが生成の時の魔力の動きを何度も丁寧に教えてくれたお陰なのである」

「本当に素晴らしいことです。某も協力した甲斐がありました」

「うん。すごいね。本当に」


 大したものだ。

 夏から始めて、まだ半年も経っていないのに。


 私は2人のゴーレムをしゃがんで見つめて、3人からそれぞれに生成の苦労話を聞かせてもらった。


 その後で、私はアイテム欄からファーを出した。

 ファーは私が生成したAI搭載のメイドロボだ。

 近くで見ればロボだとわかるけど、少し離れてしまえば普通にメイドさんにしか見えない。

 私の渾身のゴーレムだ。


「おお。ファーである! こんにちは、なのである!」


 フラウがファーに駆け寄る。

 見た目だけならば、好奇心旺盛な幼女の姿だ。


 ファーは反応しない。

 ファーは今のところ、私の命令があるまでは立っているだけだ。


「ファー、登録済みの相手に挨拶されたら、挨拶を返してあげて」

「了解シマシタ」


 一拍を置いてファーは、くるりと回って肉球ポーズを決めた。


「ニクキュウニャーン」


 おお。

 すごい。

 完璧だ。


「し、しまったのである……。妾ともあろう者が、にくきゅうにゃ~んのことを忘れていたのである」

「ファーちゃん、にくきゅうにゃ~ん」

「ニクキュウニャーン」


 エミリーちゃんは見事に挨拶を交わした。


「にゃ~んなのである! にくきゅうにゃ~ん!」

「ニクキュウニャーン」

「やったのである! 成功なのである!」

「やったね、フラウちゃん」

「やったのである!」


 フラウとエミリーちゃんが手を取り合って喜ぶ。


「某も……。肉球……にゃ……にゃ……」

「ヒオリさん、無理にやらなくてもいいからね?」

「も、申し訳ありません……。某、先日の試験に合格しておきながら、今日は妙に気恥ずかしさを覚えてしまい……」

「私が言うのもなんだけど、それが普通だから気にしなくていいよ。私的にも義務になるのは嫌だし。見ててくれればいいよ」

「そういうわけにはいきませんっ! 余人ならいざ知らず、某は店長にお仕えさせていただいている身! たとえ火の中、水の中、店長のなさることにはどこまでもついていく所存です!」

「んー。じゃあ、私もやるから、一緒にやる?」

「はい! ありがとうございます!」

「あ、せっかくだし、ゴーレムくんたちにも指示してみようか」


 ハトちゃんは、くるりと回って、羽をパタパタ。

 人型ちゃんは、くるりと回って、小さな腕を前に出す。

 ファーは普通に練習した通りで。


 さあ。


 みんなで一緒に挨拶しよう!

 くるりと回って。


「にくきゅう」


「クウちゃん! 来ましたー!」


 バッチリのタイミングでドアを開けて、笑顔のセラが現れた。


「にゃ~ん」








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でたよ狂信者姫w
[一言] 暴風襲来w
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