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私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


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827 お見合い話のお相手は……。





 放課後、学校がおわって、私はすぐに大宮殿に飛んだ。

 久々に姿を消して、陛下の執務室の外に向かう。

 幸いにも陛下は執務室にいた。

 透明化を解除して、外から窓をトントン、と叩くと――。

 中に入って来いとジェスチャーされたので、お邪魔させてもらった。


「こんにちはっ!」


 私は元気よく挨拶した。


「ああ、クウ。この形では久しぶりだな。席に着いて少し待ってくれ」

「はぁい」


 陛下が部下の人に命じて、バルターさんを呼んでこさせる。

 バルターさんは公爵なんだけど、陛下の直属の部下として内務を取り仕切っている有能で温厚な人だ。


 部下の人が紅茶を出してくれたのでいただく。

 うん。

 風味豊かで美味しい。


 バルターさんが来たところで陛下も仕事の手を止めて、お話タイムの開始。


「それで、今日は何の用件で来たのだ?」

「はい。実は、アリーシャお姉さまのことなんですけど……」

「見合い話の件か?」

「はい。そうです」

「耳が早いな」

「今日の昼に本人から聞きました」

「ああ、なるほどな。怒っていたか?」

「それなりには。正義が許さないと言っていました」

「念の為に聞いておくが……。最近のアリーシャの妙な主張は、君が焚き付けたわけではあるまいな?」

「ちがいますからねっ! あれは完全に、アリーシャお姉さまが――」


 嫉妬して……。

 と言いかけて、私は口をつぐんだ。

 それって、うん。

 さすがに、実の親に言うことじゃないよね……。


「こほん」


 私は気を取り直して、


「お見合いの相手って、もしかしてサンネイラのトルイドさんですか?」

「ああ。そうだが」


 やっぱりか。

 そんな気がしていた。


「もしかして紹介したのって、ハラデル男爵ですか?」

「ああ。そうだが――」

「やっぱりかー」


 こっちも、そんな気がしていたよー。

 どういうつもりなんだろうか。


「クウちゃんは、ハラデル男爵ともトルイド青年とも面識があるのですよね?」


 バルターさんが聞いてきた。


「はい。と言っても、1日だけですよ。お姉さまの付き添いで、姫様ドッグ店の紹介をした時だけなので。ハラデル男爵とは、なぜか昨日、町のハンバーガー屋でも遭遇しましたけど」

「トルイド君は、どんな青年でしたか?」

「普通にいいヒトでしたよ。温厚でクセのない感じで」

「アリーシャ殿下とは、親しげだったのですか?」

「普通に仲は良さそうでしたよ」


「なあ、クウ……。ここはひとつ、単刀直入に聞くが……。アリーシャとトルイドは想いを寄せ合っているのか?」


 陛下が言う。


「さあ」

「君は詳しいのではないのか?」

「全然詳しくはありませんよー。私がお姉さまから聞いた話と言えば、正義についてくらいです」

「親が結婚相手を決めるなど時代遅れだという話か?」

「はい。そうです」

「では、推測としてはどうだ?」

「それは、うーん……。そんな気は、しなくもないですけど。ただ、絶対にそうかまではわからないです」


 違っていたら大変なので、迂闊なことは言えない。


「ハラデル男爵が言うには、孫娘とトルイド青年の婚約話を進めようとしたところ、うちの娘から抗議がきた。その抗議の内容を見るに、間違いなくうちの娘とトルイドは親しい間柄とのことでな。故に、当家は引くから、そちらの話を進めてみてはどうかということだったが……」

「それで、お姉さまに言ったんですね」

「ほんの軽くだぞ? おまえに見合い話が来ているが、どうだ? と。とんでもない怒りっぷりだったが」

「あはは」

「笑い事ではないが?」


 重いため息と共に、陛下に睨まれた。


「陛下的にはどうなんですか?」


 私は気にせずたずねた。


「強制するつもりはないぞ。本人の意思が第一だ」

「話がわかるんですね」


 皇帝なのに。


「とはいえ、誰でも良いというわけではない。サンネイラの次期当主であれば考慮には値するというだけだ」

「クウちゃん的にはどうなのですか?」


 バルターさんに聞かれた。


「私も、当人同士の問題だと思いますよ。ただ、お姉さまが暴走するとまわりの迷惑が大きいんです」


 なにしろ第一皇女なのだ。


「なので、鎮火はしたいなーと思っています」

「クウちゃん的には、具体的にどうなることをお望みなのですか?」

「それはアレですよ。今まで通りです。お姉さまには普通に、素敵な先輩でいてほしいですね」

「そうするための作戦はあるのですか?」

「んー。それが、ないんですよねえ。くまったことに。くまったくまった」


 ここで私はちらりと陛下を見た。

 以前、なにがくまだ、とツッコミをされたからだ。

 どう返すべきか。

 実は考えてある。


 すみません、猫でした。

 にくきゅうにゃ~ん。


 これはウケるだろう!


 と、思ったら――。


「すまんが、任せる。クウのいいように鎮火してくれ」


 と言われた。


「そうですな。クウちゃんさえよければ」


 バルターさんまでもが同意する。


「えっと。あのお」


 ツッコミは?

 私のにくきゅうにゃ~んは?


「残念だが、親が関わっても反発されるのがオチだ。クウに言われる方が素直に受け入れるだろう」

「左様でございますな」


 あー、なるほど。

 言われてみれば、それはそうかも知れない。


「じゃあ、そうですねえ……。お見合いの相手はトルイドさんでしたよってお姉さまに言っていいですか?」


 それが1番てっとり早い気がする。


「ああ。任せる」

「なら、そうしますねー」

「結果については、できるだけ早めに教えてくれよ」

「はーい」






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― 新着の感想 ―
[一言] 陛下が凄く落ち着いていらっしゃる さすがに慣れが出てきたと思うけど、ちょっと寂しい気もするね
[一言] クウちゃんのやらかしも一撃がデカイからね しかも二人の将来がかかってますからね これはいつもの冗談が通じないぞくまったくまったねw
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