表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います【コミカライズ&書籍発売中】  作者: かっぱん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

826/1360

826 お姉さまのお見合い話




「ねえ、エカテリーナさん。結局、ハラデル男爵が帝都にいたのって、流行りのハンバーガーを食べるためだったの?」


 朝、登校してきたエカテリーナさんに私はたずねた。

 昨日のシャルさんのお店での件だ。


「そうですね。それもあるようでしたが……」

「他にもあったの?」

「ええ……。何やら、陛下と至急のお話があったとかで」

「そかー」


 ハンバーガーのことかな。

 それとも……。


「もしかして、例の件……?」


 私がたずねると、エカテリーナさんは肩をすくめた。


「いいえ。その件については、もうおわったことだと言われました」

「そうなんだ。よかったね」


 お姉さまの挑発作戦は、やっぱり大成功だったみたいだね。


「本当によかったです。お祖父様のことですから、てっきり、陛下にまで話を持ち込んだのかと思いました」

「あはは。ハラデル男爵なら、やりかねないよねー」

「本当に強引で困ります。今度のパーティーにも友人を連れて出るというんですよ。皇女様に紹介するとかで」

「でも、なら、何の話だったんだろうね」

「さすがに聞けませんでしたけれど、それこそハンバーガーの話でしょう?」

「陛下に?」

「だって、他には考えられませんもの」

「ふむ。それもそうだね……」


 たしカニ。


 v(・v・)v


 ルールについて言いたいことでもあったのだろう。

 たとえば、制限時間とか。

 前回のトマト勝負……。

 制限時間30分は、明らかに短すぎた。


 ただ念の為――。


 お昼休み。


 ランチの後、私は生徒会室に行った。

 お姉さまはいつも、お昼休みは生徒会室にいると言っていた。


 トントントン。


「お姉さま、いますか? クウです」


 私はドアをノックして呼びかけた。

 すると中から、


「どうぞ」


 と、お姉さまからの返事がした。


「失礼します」


 私はドアを開けて生徒会室に入る。

 生徒会室には、すっかり馴染みの顔になった、アリーシャお姉さまとメイヴィスさんとブレンダさん。

 それに、ダンジョン訓練に同行した水魔術師のレイリさんがいた。

 4人はなにかの事務仕事をしていた。


「よっ! 師匠! 今度は何があったんだ?」

「どんな敵が出ました?」

「あ、まさか! 例のセンセイガがついに帝国にも出たのか!?」

「それは朗報です。詳しく聞かせてください」


 ブレンダさんとメイヴィスさんが、そんな風に声をかけてくる。

 まあ、うん。

 何もなければ来るはずはないので当然か。

 ただ残念ながら今回は戦闘関係ではない。


「えっと。実はちょっと、お姉さまに質問がありまして……」


 私はお姉さまに目を向けた。


「構いませんわよ。どうぞ」

「実は、ハラデル男爵が陛下のところに行ったと思うのですけど……」

「そうなのですか?」

「はい。聞いていませんか?」

「ええ。何も……」

「そかー」

「でもお父様と言えば、昨日の夜、とんでもない話を持ってきましたのよ」


 お姉さまが露骨に不機嫌な顔をして言う。

 なんの話かと思ったら……。


「よりにもよって、親の決めた婚約話断固反対派のこのわたくしに、お見合い話を持ち込んで来ましたの」

「あら」


 それはなんともタイミングが悪い。


「断ったんですか?」

「もちろんです」


「せっかくなんだし、会うだけ会ってみればいいのにさ」

「そうです。いい人かも知れませんよ」


 すでに婚約者のいるブレンダさんとメイヴィスさんが、まさに余裕の上から発言でそう言った。


「断固拒否ですわ! そんなの正義が許しません! わたくしの正義が!」

「お姉さま、まだ正義とか言ってるんですね……」

「当然です。わたくしは、こうと決めたことは、しっかりと守り、最後までやり抜くタイプなのです」

「ちなみに相手はどんな人だったんですか?」

「知りませんわ。聞けば興味を持ったと思われて、勝手に話を進められてしまうかも知れないでしょう」

「そかー」

「アリーシャ。もしかして貴女、意中の相手でもいるのですか?」


 メイヴィスさんが鋭い質問をした。


「そんな相手はいません!」


 お姉さまは即座に否定して、そっぽを向いた。

 しかし顔が赤い。


「わたくしは、正義の話をしているだけです!」

「だけどさぁ……。正義もなにも、貴族の結婚なんて、正直、家のためにあるようなものだと思うぞー」

「そうですね。よほど変な相手なら、もちろん別ですが」


 ブレンダさんとメイヴィスさんは、お見合いくらいしとけ派だね。

 私も事情を知らなければ、そっち派だったかも知れない。

 なにしろ皇女様だ。

 普通の出会いなんて簡単にはないだろうし。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あ……(察し)
[一言] ポンコツお姉様せめて詳しい内容聞いてから・・・これはやらかしたかなあ
[一言] ポンコツお姉様変わらず 男爵が持ってった話って…… 拒否したら陛下にも「無いのかー」と勘違いされますよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ